33: 対策会議※
王国軍は、帝国領に進軍し北部地域を占領した
帝国はモンスターの氾濫によって、南部地域を占領された事で王国との停戦を望んだ
「皇帝陛下は、謝罪をしたいと仰いました」
「では、会談の準備を致しましょう」
「それなのですが、帝国南部で厄災が発生しました」
「厄災ですと?」
「はい、ゴブリンの厄災のようです」
「なっ?!ゴブリンの厄災ですと!!」
「どうした?」
「カルア伯爵!すぐに王宮へ連絡を!」
「落ち着け。ゴブリンの厄災なら脅威ではあるが、焦るほどではあるまい」
「いえ!ゴブリンの厄災は、そんな甘いものではありません!厄災が現れると、メスが産む数を増やすのは知られていますが、ゴブリンはその数を数十倍にまで増やすのです。帝国南部の穀倉地帯を奪われたなら、100万を超える数になるかもしれません!」
「100万だと…」
「すぐに王宮へ連絡して公国にも参戦してもらい、3カ国連合軍を結成すべきです」
「だが、確実な話ではなかろう」
「そうです。帝国内部に、王国と公国の軍を入れるのは躊躇われますな」
「後悔するかも知れませんぞ?」
「ゴブリン如き、帝国軍で充分に対処出来ます」
「そうですか…」
「では我々は失礼します。改めて会談について使者を出しますので」
帝国の使者が帰ったあと、ゴブリンへの話し合いが改めて行われた
「それで、ゴブリンが100万を超えると言うのは確かなのかね?」
「はい、前回のオーク大氾濫の後に文献を調べたのですが、過去の大氾濫で被害が大きかったのは、ゴブリンとレッドオーガでした。ゴブリンは弱いですが、厄災が現れると繁殖力が爆発的に増えますから、厄災を倒さない限り増え続けるゴブリンに人類は疲弊したそうです」
「しかし、数が増えると言っても食料が必要だろう?ゴブリンが畑を作るなど聞いた事がない」
「ゴブリンは共食いをしますから、数を維持出来ます。更に少食で飢餓にも強いですから、駆除しなければ増え続けます」
「確かにそう聞けば帝国だけでは厳しいだろな」
「恐らく帝都まで引く事になるでしょう」
事実、騎士団長は帝都へ南部の住民を避難させる決断をする
「そうなると厄介だな。帝都を救援するにしても、兵も食料も足りん」
「ハルト殿に協力を要請するのはどうでしょう」
「ハルト殿に?」
「防壁に畑を作れば、ゴブリンが流れて来ても防衛出来ます」
「しかし、すぐには収穫出来んぞ」
「パル草を育てればいいと思います。パル草なら10日で収穫が出来ますから」
「あれは家畜の餌ではないか」
「そうですが、栄養はありますし、充分な量が収穫出来ますから、帝国の住民には我慢して貰うしかありません」
「確かに量は取れるな……。良かろうハルト殿に防壁の建設を依頼しよう」
ハルトによって防壁内でパル草が大量に収穫された事で、帝都の住民は飢えを凌げた
「なんとか帝国民に、パル草を輸送出来ているがどうなのだ?」
「帝都でもパル草の収穫が始まっているそうです」
「そうか、ゴブリンの方はどうだ?」
「やはり帝都まで押し込まれそうです。騎士団長が撤退を決めたそうですが、皇帝はゴブリン如きに撤退した騎士団長を更迭したそうです」
「どれだけ愚かなのだ……」
「もはや、軍を統率出来る人物は残っていないでしょうね」
「このままでは、王国にまでゴブリンが来るではないか?」
「その前に、北部地域を防衛しなければなりません」
「王宮に増援の要請をするべきか…」
「それでも、広範囲を守るのは難しいです」
「北部地域を占領したのは失敗だったな」
「厄災の発生など予見出来ませんでしたので、仕方ありません」
「とにかく増援の手配を頼もう」
王宮からの増援で、帝都北部を防衛することにした王国側であったが、帝都へゴブリンの大軍が迫っているとの情報が入る
「伯爵閣下、帝都へおよそ20万のゴブリンが迫っているとの情報が入りました」
「20万だと…」
「100万近い繁殖との話しが、現実味を帯びてきましたね」
「うむ……。帝都の防備はどうなのだ?」
「兵力は4万ほどで、食料の備蓄や士気を考えても2ヶ月持てばいい方だと思います」
「あの皇帝が2ヶ月も我慢出来るとは思えんがな」
「どうなのでしょう?有力貴族などが皇帝を引きずり下ろすのではないでしょうか?」
「無能な皇帝では耐えきれんだろうしな。どちらにしろ王宮から指示があるまで、我らは動けん」
「傭兵ギルドは、既に帝都救援に向けて傭兵を集めているようです」
「足並みを揃えたいところだが、果たしてどうなるか……」
2週間後に、王宮から傭兵ギルドとの合同で帝都防衛をするようにとの指示が来た
「やはり傭兵ギルドとの合同になったか」
「はい、グランドギルドマスターがお見えです」
「こちらにお通ししろ」
「はっ」
会議の場に現れたグランドギルドマスターは、齢70を超えてなお覇気に満ちていた
「カルア伯爵殿ですな?儂は傭兵ギルドのグランドギルドマスターを務めている、レギオスと申します」
「これはレギオス殿。御足労頂き有難うございます」
「人類の危機となれば駆け付けるのは当然の事、古の盟約に従い我ら傭兵の力を存分にお使い下され」
「これは心強い、是非とも御力添えをお願いしたい」
「もちろんですとも。それでこれからの動きですが…」
こうして、王国と傭兵連合軍による帝都防衛作戦が、開始されようとしていた




