24: ニアバス子爵の愚行(3)※
何者かが、開拓地へと向かっていた
「そろそろ、見えるはずだぜ」
「へへっ、今回も略奪しようぜ」
「ああ、前の村は大したこと無かったからな、女も少なかったし」
「今回も開拓地だろ?女は居ないんじゃないのか?」
「それが、ハルトって奴の奴隷は上玉らしいぞ。獣人も居るが、人型だから使えるだろ」
「マジかよ、獣人は試した事無いな」
「俺もねえな、たまにはいいかもしれないな」
「おい、静かにしろ」
「すまん、すまん、すまん」
「そろそろ着くはずだが…」
「なんだ?あの壁は?」
「開拓地だよな?」
『何者だ!ここに何のようだ!』
「あ?なんだ?」
「おい、あそこにいるぞ」
「あれは監視塔か?なんでこんな所に城塞があるんだ、セロに来たわけじゃないよな?」
『答えろ!』
「うるせえな!どうせ見せかけだろ、やるぞ」
「「おお」」
『攻撃を開始しろ!ボーガン放て!』
矢が無数に放たれる
「「ギャーー」」
「クソ!なんだってんだ!」
「頭を下げろ狙い撃ちにされ……」
「おい!大丈夫か?!」
「ちくしょう!」
『開門!出撃せよ!』
『『おお!!』』
「やべえ」
「クソ、逃げるか?!」
「無理だ、矢が降ってくるんだ、背中を見せたら殺られる」
「ちくしょう!」
「よし、生き残りは捕まえたな」
「はっ、全て捕えました」
「代表者はいるか?」
「俺だ」
「ふむ、襲撃を指示したのは誰だ?」
「言えない」
「そうか、10人ほど連れて来い」
「はっ!」
「何をするつもりだ?」
「処刑する」
「なっ?!」
「盗賊を村に入れる訳にはいかないからな」
「盗賊じゃねえ!」
「盗賊だろ?開拓地を狙ってきた盗賊だろ?」
「ち、違がう!」
「言わなくていいぞ、正体は知ってるからな」
「な、何故?」
「ん?何処かの貴族の私兵から、盗賊になったんだろ?盗賊なら殺しても大丈夫だからな」
「待ってくれ!」
「俺たちは、ニアバス伯爵の私兵だ!」
「助けてくれ!」
「ダメだな、伯爵の名を語るなど許されない」
「これを見てくれ!」
羊皮紙を差し出す
「なになに、ハルトの作っている開拓地に行って、ニアバス開拓地から逃げ出した住民の殺害と、ハルトの開拓地を破壊して来いと書いてあるな。印まで押してある」
「そうだ、伯爵からの指示で襲ったんだ!」
「頼む助けてくれ!」
「ふむ、どうするか?」
「処刑でよいのでは?襲撃は立派な犯罪です」
「頼む助けてくれ!」
「死にたくない!」
「良いだろう、助けてやるが、変わりに奴隷になって貰うぞ」
「なんでもやるから、助けてくれ」
「分かった、被害にあった移民に聞いて、貸し与えるとしよう。引き上げるぞ」
「「了解」」
開拓地に戻り、私兵達を新しく作った牢屋に入れてから、屋敷に戻ってくる
「王宮に襲撃があった事と、2ヶ月後に陛下に謁見したいと伝えてくれ」
「わかりました」
「セロの街から奴隷商を呼んでくれ。それから奴隷の貸出の準備と説明も頼む」
「手配します」
「王宮に向かう前に、ある程度は建設を終えないといけないな」
「移住者は増えていますからね」
「そうだな、向こうがダメになったから、こちらに流れてくるだろうし、王宮に行ったら支援を要請するか」
「我々は残りますので開拓を続けてます」
「よろしく頼む」
1ヶ月後
「建設の進捗はどうだ?」
「はい、住居は3割ほど出来ましたが、これ以上の速度は出せません」
「なるべく急いでくれ」
「了解しました」
「団長、王宮から使者が来ています」
「使者が?」
「はい、屋敷で待っています」
「分かった」
「お待たせしました」
「いえ、お忙しいところ恐縮です」
「それで、今回はどのような御用ですか?」
「ニアバス子爵の、開拓地が襲撃されたのはご存知でしょうか?」
「ええ、知ってます」
「そうですか、その為ハルト殿の状況を見てくるようにと、指示を受けてやってきました」
「では、案内しますので少しお待ち下さい」
「ありがとうございます」
「住居はあまり増やせて居ないようですね」
「はい、ニアバス子爵と同時期に開始したため、職人が足りないのです」
「それは仕方がないですね。ですがハルト殿はスキルで作れると聞いたのですが、違うのですか?」
「可能ですが、仕事を取るわけにはいきません」
「そうですね、防壁が2重になってるのは?」
「防壁は、私が作りました」
「やはり…、明らかに早すぎますからね」
「ええ、防壁はどうしても必要ですから、最優先で作ってます」
「職人が揃えば、問題無く開拓は成功しますね」
「はい、ですから新たに領主を派遣して貰おうと思っています」
「今回の功績で、爵位を与えられると思いますよ」
「もっと相応しい方が居ると思います」
「国王陛下の判断になると思いますが、打診はされるでしょうね」
「かもしれませんね。では防壁を確認して頂きます」
「お願いします」
あらかた案内したので館に戻る
「いやぁ、素晴らしいですな」
「ありがとうございます」
「要塞としても使えますから、いざとなったら付近の村から避難も出来ますね」
「セロの街がありますが?」
「セロは公国との交易の拠点になりますし、商人などの受け入れがありますから余裕がありません。ここは王都との経由地ですが
、ハルト殿が1万人規模を想定してくれたため、充分なキャパシティーがありますね」
「宿場町よりは、多様性を持たせた方が発展出来ますからね」
「安全な畑もありますし、食料の生産量もかなりの物になるのではないですか?」
「ええ、住民が1万人になっても、余剰分を輸出、出来ます」
「素晴らしい!モンスターのせいで、穀物や野菜は不足していますから有難い事です」
「肉は飽きましたので」
「分かります。この歳になると肉ばかりでは重くていけません」
「ハハハ、では収穫物は王都にも輸出しましょう」
「是非お願いします」
「では、私は明日王都へ帰るとしましょう」
「もう少しゆっくりして行ってはどうですか?」
「そうしたいのですが、陛下はこの開拓地を気にしてらっしゃいますから、早く報告しなければならないのですよ」
「そうですか、丁度収穫時期ですから、陛下に野菜を持って伺うとお伝え下さい」
「わかりました、陛下もお喜びになるでしょう」




