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2: ゴブリン狩り※

「よし、ゴブリン狩りの前に注意事項を説明するぞ」


ゴブリンを狩るため街の北にある森へと移動中、ヴェルナーさんから注意事項があるらしい


「いいか、ゴブリンは弱っちいが無力って訳じゃねえ。森に住んでやがるから奴らにとっちゃ庭だ」

「俺は慣れてないから方向感覚も無くなりますね」

「それだ、よく分かってんじゃねえか」


ニヤリと笑ったあとに問題を出してくる


「でだ、迷わないためにはどうしたらいい?」

「うーん、目印を付けながら移動をするですか?」

「…………ちっ!」


舌打ち?!


「坊主の言う通り、森では目印を付けるのが有効だ。まあ、手当り次第付ける訳にはいかないのはわかるな?」

「ええ」

「そこでだ、俺達傭兵は決まった目印を付けている」


決まってるほうがわかりやすいだろしな


「この森にも先輩達が迷わないように、そして後輩のために目印を残してくれている」


言われて、周りを見ると一定の間隔で特徴的な目印が付いていた


「いいか、この目印を覚えておけ」

「分かりました」


しっかりと、方向や大体の距離などが記されているらしい


ヴェルナーさんが、丁寧に教えてくれるためにわかりやすい


「もし戦闘で目印が消えたら新しく刻むのを忘れるな」

「覚えておきます」

「よしそれじゃあ行くぞ」


それからも森で、食用に適した植物や歩きかたなどを、教えてもらった


「止まれ。この先にゴブリンが居るのがわかるか?」


え?全然わからないんだけど…


「分からないです」

「見てみろあそこの木の下だ」


目を凝らしてみると、草が揺れているのがわかる


「見えました」

「よし、なら右側から回り込んで近づくぞ」

「了解」


ゴブリンは、何やら漁っていてこちらには気づいていない


ヴェルナーさんが声を落として、指示を出す


「いいか、ゴブリンは3匹だ、俺が倒すから坊主はここで見ていろ」


そう言ってヴェルナーさんはゴブリンに近づいていく


「シッ!」


ある程度近づいてから、一気に加速して剣を抜き放つと、近いゴブリンから切り伏せていく


「おら!」


1匹目の首を狩り2匹目は袈裟斬りに、3匹目は頭上から真っ二つにした


ゴブリンが気づいたときには、何も出来ずにあっさりと始末してしまった


「ふう」

「す、凄いですね」

「まあ、こんなもんだ」


始めてゴブリンを見たが130cmほどで醜悪な感じだ


アニメで見るよな可愛げがある感じではない


「坊主袋は持ってきているな?」

「持ってます」

「そんじゃ、ゴブリンを袋にいれて魔道具を使うぞ」

「言っていた魔道具ですね」

「ああ、ゴブリンは素材が使えないから袋いれて肥料にしちまう」


なかなか残酷な感じはするが、死骸を有効利用して作物を育てられるならいいのかな?


少なくとも無駄に殺すよりはマシだろう


「見てろよ」


ゴブリンを入れた袋に魔道具を当てて起動すると、8割ほど膨らんでいたのに見る間に萎んでいく


「よしよし、じゃあ坊主は袋を頼むわ」

「はい、まだゴブリンを狩るんですよね」

「おう、今日は10匹は狩りてえな」

「10匹でどのくらいになるんですか?」

「ゴブリンだからな、討伐報酬と肥料で銀貨1枚てとこだ」


銀貨1枚てどのくらいだ?


「ヴェルナーさん」

「ん?」

「俺は宿が無いんですがゴブリンを狩れば泊まれるんですかね?」

「そうだな…」


あれ?雲行き怪しい


「安い宿なら1泊銀貨1枚で飯が2食付きだ」


なら、ゴブリンを10匹倒せば宿に泊まれるわけだな


ん?2人だから半分だろ?泊まれないんじゃ…


「あのヴェルナーさん、俺は無一文なんですが」

「1文?まあ、心配するな1泊銀貨1枚てのは宿に泊まった場合だ」

「宿以外にあるんですか?」

「ああ、傭兵ギルドには宿泊施設があるんだよ」

「そこに泊まれると?」

「新人のうちはな」


おお!福利厚生があるのか!


「値段はどうなるんですか?」

「無料だ」

「無料なんですか?!」


なにそれ、優し過ぎる


「傭兵ギルドに所属して3ヶ月経つと有料になるんだが、それまでは無料で泊まれる。坊主が借りてる装備もそうだろ?」

「はい」

「モンスターを狩って街の安全を守るのも傭兵の仕事だ。ゴブリンだって肥料になる。商人の護衛だって物流を守ってる。だから傭兵は街に必要とされているのはわかるだろ?」

「はい」

「だから傭兵は報酬から1割を毎回傭兵ギルドに積立をしてる」


積立?


「その金で新人育成や怪我の治療費なんかを出してくれる」


おー、保険制度みたいなもんか


「街の領主や商人ギルドからも傭兵ギルドに金を出してるがな」


それなら傭兵になる奴も多いだろうな


「だから坊主も稼げるようにらなったら新人や怪我人の為に頑張れよ」

「頑張ります!」

「さて、今日のノルマはあと7匹だ行くぞ」


ゴブリン探しを再開するとすぐに見つかる


繁殖力が高いだけあって数が多いようだ


「今度は2匹だな」

「少ないですね」

「ああ、それじゃあ俺が1匹仕留めるから坊主も1匹な」

「了解」


ゴブリンに気づかれないように近づきながら鞘から剣を抜き放つ


『ギギャ』


うわ〜近くで見るとやっぱりキモイな


「行くぞ」


掛け声と共にヴェルナーさんは、一気に加速してゴブリンをあっさり始末する


「俺も頑張らねば」


残る1匹は突然現れたヴェルナーさんに気を取られているため、後ろから近付き剣を横に振り抜く


「グギャ!」


胴から真っ二つになったゴブリンは悲鳴と共に息絶える


「おお、やるじゃないか」

「ありがとうございます」

「どうだ?ゴブリンを殺したのは初めてだろ?嫌悪感や吐き気はないか?」


言われて見れば初めて生き物を殺したのに嫌悪感がない


「大丈夫みたいです」

「ほう、初めてなら吐くやつも多いんだがな」

「どうやらその心配はないようです」


日本にいた頃なら確実に吐いただろうが平気だな


異世界に来た実感が無いせいだろうか?


「あと5匹だな、この調子なら早めに終わりそうだ。」


その後ゴブリンを探しながら森を回ったが、合計13匹を討伐しギルドへと戻った


俺も4匹倒したよ


「おかえりなさい」

「ただいま帰りました」

「ようカナエ精算頼むわ」

「ヴェルナーさんもお疲れ様でした」

「よし坊主、報酬貰ったら酒場で呑むぞ!」

「いや、だから俺は文無しなんですって」

「心配すんな酒くらい奢ってやるよ」

「悪いですよ」

「そう思うなら坊主が稼いだら新人に奢ってやんな!」

「分かりました」


俺イメージだと傭兵ってのは、喧嘩っぱやくて乱暴者のイメージなんだが…


「お待たせしました」

「おう、そんじゃ行くぜ坊主」

「はい」

「ヴェルナーさん、ハルトさんは大人なんですが?」


カナエさんが坊主に反応してますな


「ガハハッ、最初に坊主って呼んだからな呼び慣れちまった」

「もうっ!」

「構いませんよ」

「だとよ」

「そうだ、坊主は宿泊施設を使うってよ」

「分かりました用意しておきますね」

「お願いします」

「よし、行くぞ!」


ヴェルナーさんに付いて酒場に行ったが…あら大変!


厳つい顔しか居ない!


「おう、ヴェルナー新人か?」

「おうよ!」

「よし坊主こっちにこい」


遠慮したいんですが…


「今日は歓迎会だ朝までいくぞ!」

「「おーーー!」」


ひーーー!お助け〜


「おう坊主、初めての狩りはどうだった?ゴブリンにビビんなかったか?」

「坊主は有望株だぜ、初めてでも慎重だったからな」

「ほう、新人てのはゴブリンだからって、余裕こいて危ない場面があるもんだがな」

「俺も最初は調子こいて痛い目みたな」

「「ギャーハッハッハ」」

「ゴブリンも1撃だったしな」

「ほー、なら剣術スキル持ちか?」

「いや、坊主は荷物持ちスキルだな」


いや、重量軽減だが…まあ同じか?


「なに?荷物持ちスキルだって」

「ん?どうした」

「来週にオーク狩りに行くんだが、肉を運ぶのに人手が欲しいんだよ」


やっぱりオークもいるんだ?


食用にするんだね…


「だったら坊主を連れてきゃいい」

「そりゃありがたい」


え?拒否権無しですか?!


「そんじゃ、それまでは俺がシゴいてやるか」

「あ、ありがとうございます」

「そういや奴隷はどうした?」

「ああ、アイツらは戦闘スキル持ちだが荷物持ちとしてはな」


奴隷?!


居るんだ!


「あの、奴隷って?」

「ん?坊主は奴隷を見た事ないのか?」

「ありませんね」

「そうなんか」

「奴隷てやっぱり…そのー……せい……ゴニョニョ」

「あ?」

「いや、なんでも」

「坊主も奴隷に興味あるのか?」

「まあ、はい」

「傭兵やってくなら奴隷を買うのもありだな」

「やっぱり戦闘奴隷とかなんですか?」

「ああ、奴隷っても種類があってな


戦闘奴隷

借金奴隷

犯罪奴隷

戦争奴隷だな」


おや?男の夢が足りない気が…


「傭兵として使うなら戦闘奴隷か戦争奴隷だな」

「えーと、戦闘スキルがあるからですか?」

「それもあるが、戦闘奴隷なら戦闘スキル持ち、戦争奴隷なら戦闘スキル持ちとは決まってないが奴隷からの解放がないからな」

「奴隷解放が無い?」

「ああ、戦争で負けた側の兵士や傭兵、市民なんかが奴隷になるんだが永久奴隷になって解放出来ない決まりになってるんだよ」

「怖いですね」


「まあ、負けた側がもう一度戦争で勝てば解放出来るが、未だかつて解放された事がないから永久奴隷って呼ばれてるな」

「ヴェルナーさんは奴隷は買ってないんですか?」

「俺は買わないな」

「そうなんですね」

「うちの傭兵団には居るがな」

「傭兵団?」

「ん?知らなかったのか?」


「傭兵ギルドに所属している仲間どうしの集まりみたいなもんだ、大規模討伐や戦争の時は意志の統一は必要になる。いくら腕が立つ傭兵でも戦争になり烏合の衆だ、定期的に集まって集団行動してりゃ自分たちを守る事にもなる」


確かにな、バラバラに動いてちゃ正規の軍隊とは足並みが揃わんわな


「有名な傭兵団ともなれば普段から団で行動してるぜ」

「へー」

「まあ、奴らは別格過ぎて参考にはならんがな」

「そんなに凄いんですね」

「まあ、俺は奴らのやり方は気に食わんがな」


なんだろ随分含みのある言い方だな?


「なにかあるんですか?」

「さっき奴隷の話しをしたろ?」

「はい」

「奴らは、戦争奴隷や犯罪奴隷を、囮にしたり後ろから脅して使うんだよ」


うわ〜、ヤバそうな奴らだな


「坊主も奴隷を買うなら、そんな使い方するなよ」

「もちろんですよ」

「まあ坊主なら心配ないか」


ガハハと笑いながら去っていった

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