14: 防衛力強化※
次々と木材が運ばれくる中ハルトはバリスタの制作を続けていく
「こちらに搬入して下さい!」
「おい、まだ足りないぞ!」
「矢はこちらに集めろ」
「発射の練習は南側の10台だ!」
貴族の兵が城壁の上で指示を出す中、市民からも有志を募りバリスタの練習をしている
「ハルト殿調子はどうですか?」
「これは領主様」
「作業を続けて頂いて結構です」
「はい」
「ハルト殿のお陰で防衛の目処がたちましたからな。感謝しております」
「いえ、他の皆さんが力を貸して下さるお陰です」
「もちろん軍や貴族だけでなく市民にも感謝しております」
「もう少しで完成しますから他の案も試そうと思います」
「他の案ですか?」
「はい、ボーガンの量産を考えています」
「ボーガンですか?」
何故ボーガンを量産するのか、理解出来ないようだ
「ボーガンは矢をセットして引き金を引けば真っ直ぐ飛びますから熟練の腕は必要ありません」
「では市民でも使えると?」
「城壁の上から撃つなら有効的でしょう。射程は短いですが上から撃てば欠点は消えますので、バリスタの間に壁を作って穴の空いた部分から撃てばオークが石を投げて来ても安全です」
「流石ですな」
「いえ、臆病なだけですよ」
「臆病なのは悪い事ではありません。臆病だからこそ如何に犠牲を少なくして勝つかを、考える事が出来ます」
「そうですね、ありがとうございます」
「いえ、これ以上は邪魔になりそうですから他の場所を視察してきます」
そう言って領主は去っていった
「団長お疲れ様です」
「ああ、おつかれソフィア」
「ミルクから昼ご飯を預かってきました」
「もうそんな時間か…」
「集中してたようですね」
「ああ、他の皆はどうしてる?」
「自分は木材の搬送を担当しています。ミルクは炊き出しの手伝いを、サーニャは斥候として伐採中の警戒を、サイカは商人に混じって道具の搬入作業をしているようです」
「そうか、皆頑張っているな」
「はい」
「もう少しでバリスタの生産も終わるから、明日は皆を集めてくれ」
「わかりました調整します」
「頼んだ」
翌日、有志の市民を集めて街の臨時訓練所でボーガンを発表する
「お集まりの皆様ありがとうございます。本日は有志の皆様にこちらのボーガンという武器を試して貰いたいと思います」
ボーガンを掲げながら説明する
「このボーガンは弓とは違い扱いが簡単ですので少し練習すれば、皆様でもオークを倒す事が出来ます」
「我々国軍が指導しますので列になって並んで下さい!」
半信半疑ながらも指示に従って並んでいく
「レバーを引いて下さい。その後この溝の部分に矢をセットします。的に狙いを付けて合図があったら発射して下さい」
少し手間取ってはいるが、全員がセットを完了する
「いいですか?では構え!」
「放て!」
ガン!という発射音と共に一斉に発射する
「「「おーー!」」」
全員が的には当たらないが真っ直ぐ飛んでいる
「良いですね。オークは沢山来ますから真っ直ぐ飛ばせば当たりますよ」
「では次弾装填!」
「放て!」
どんどんボーガンを撃っていく
「いい感じですね。皆さん筋がいい」
なるべく明るく話していく
実際にオークの集団を見たら、パニックを起こす可能性があるため、とにかく撃てば当たると言い聞かせる
「当日は壁の穴から狙い撃ちますから、オークが石を投げて来ても安全です。打ち放題ですから気楽にやりましょう」
笑顔を見せながら打ち続ける
「では皆さん本日はありがとうございました」
「「ありがとうございました!」」
「練習したい方は自由に出来ますので参加して下さい」
解散を指示するが、皆まだまだ撃ち足りないようだ
「ハルト殿、我々が付いていますので、生産にお戻り下さい」
「わかりました。後はお願いします」
生産場で作業をしていると、ギルドマスターから呼び出しがあった
「お待たせしました」
「いや、忙しい所悪いな。ボーガンの生産状況を聞きたい」
「現在までにボーガン450丁矢を6000本です1日あたりボーガン200丁矢3000が限界ですね」
「それでも凄まじい生産能力だな」
唖然とするギルドマスター
「矢だけなら1日1万本は出来ますので、ボーガンは1000丁で一旦中止しようと思ってます」
「あ、ああ…」
「オークを討伐するのも大事ですが、後の事を考えたら作りすぎるのも問題ですからね」
「貴族からは買取の打診が来ているのだろ?」
「ええ、かなりの額で生産の依頼がきてます」
「だろうな、故障の心配が少ないから信頼性が高い」
まあ、実際は金属を使ってないから、威力は抑え目にしてあるんだけどな。万が一自分に向いたら困るから量産品と言ってある
俺たちが使うボーガンは金属パーツを組み込んで射程と威力が2倍になってるうえ、盗まれても重量軽減が消えるから持ち上げるのもやっとだろう
「では、明日の会議で報告しておこう」
「お願いします」