13: 防衛強化への提案※
「邪魔するぜ!」
「いらっしゃいヴェルナーさん」
「おう」
「使ってた大剣とミスリルを出して下さい」
「ああ、これだ」
「それでは始めますね」
『造形』
まずは、余っていたインゴットと大剣を圧縮して新たに生成していく
「どうですか?握ってみて違和感はありますか」
「どれ……、いや問題ない。むしろ前より振りやすいくらいだ」
「重さはどうですか?」
「もう少し重くてもいいな」
「わかりましたミスリルをコーティングして調整します」
ミスリルをコーティングしながら重さも調整していく
融合させているため剥がれる事も無い
「うん、バランスもいいな。これで試してみて下さい」
「わかった」
ブンブン振りながら試すヴェルナー
「こりゃいい、オークぐらい真っ二に出来らぁ」
「余ったミスリルはどうします?手甲にコーティングすれば盾として扱えますよ」
「そりゃいい、やってくれ」
手甲にミスリルをコーティングして、重さも調整する
「最高だ、まさか坊主がこんなスキルを使えるとはな」
「便利ではあるんですが、あまり公開出来るスキルではないんですよ」
「今なら、引っ張りだこだと思うがな」
「いいように使われそうで…」
「たしかにな…、俺からは口外しないから安心しな」
「ありがとうございます」
「そんじゃあ俺はギルドの訓練所に行ってくらぁ」
「わかりました」
確かに造形スキルを使えば、いろいろ出来そうだが厄介事に巻き込まれそうなんだよな…
とはいえオークに街が滅ぼされたら意味がないんだが…
少し考えてみるか
「こんにちはカナエさん」
「あ、ハルトさんこんにちは」
「ギルドマスターに話があるんですが、忙しそうですかね?」
「えっと……、今は部屋にいるはずですね。確認してみましょうか?」
「お願いします」
「では少々お待ちください」
少し待つとカナエさんが戻ってきた
「おまたせしました。ギルドマスターがお会いになるそうです」
「ありがとうございます」
コンコン
「おう、入れ」
「失礼します。ハルトさんをお連れしました」
「どうも」
どうやら書類仕事をしていたようだ
「それで話ってのはなんだ?」
「その前に俺のスキルはご存知ですか?」
「たしか……、重量軽減と造形だったか?」
「はい、合ってます。その内容は?」
「そこまでは知らん。将来有望な新人だって、カナエが言うから覚えてはいたが詳しくは知らんな」
「そうですか…」
チラッとカナエさんを見るが顔が赤い……風邪かな?
「詳しく説明しますと、重量軽減は物の重さを80%までの間で自由に重さを変えられます」
「うむ」
「造形は物形を自由に変えられます」
「つまりどういう事かね?」
「オークの進行に対して力になれると思います」
「話がわからんのだが…」
「自由に物を作れるので兵器の詳細が分かれば、量産出来るということです」
「なっ?!」
絶句するギルドマスター
「それは武器の量産が出来るということか?」
「いえ、それよりもバリスタなどを量産して、城壁に配置すればオークが来ても楽に倒せるでしょう」
「なんと…」
どうすればいいか考えているようだ
「バリスタを作るとして、どの程度時間がかかる?」
「素材さえあればすぐにでも」
「わかった北の森を伐採して木材を集めさせよう。それから各指揮官に連絡して会議を開くからハルトにも出席して貰うぞ」
「わかりました」
「カナエ、連絡を頼む」
「すぐに手配します」
カナエは急いで部屋から出ていく
「しかし、そんなスキルがあるなら、早く教えて欲しかったもんだ」
「すみません、自分でも把握しきれてなかったのと、このスキルは扱いを間違えると危険だと思ったので…」
「確かにな…、だが今回はハルトのお陰でこの街は救われそうだ」
ギルドマスターと詳細を詰めているとカナエが戻ってきた
「ギルドマスター、会議はすぐに始められるそうです。それから会議室に木材を搬入しています」
「そうか、実際に見せたほうがいいな。流石だ、いい仕事をする」
「ありがとうございます」
「ではいくか」
「わかりました」
会議室に移動すると指揮官が集まっていた
「お待たせしてしまって申し訳ない」
「問題ありません。お話とはなんでしょうか?」
「今回集まって貰ったのは他でもない、ここにいる傭兵ギルド所属のハルトの話を聞いて貰いたいからだ」
皆の視線が集まる
「ご紹介にあずかりました傭兵ギルド所属のハルトです。今回集まって頂いたのは自分のスキルについてです」
「ふむ?」
「このスキルは物の形を自由に変える事が出来ます」
「聞いたことも無いスキルだな」
「はい、言葉では理解しずらいと思いますので、木材を使って説明したいと思います」
「なんで木材が積んであるのかと思ったがそのためか」
木材を用意して、設計図を取り出す。これはギルドマスターが用意してくれた物だ
『造形』
見る間に形が出来上がっていく木材をみて、ざわめきが大きくなっていく
「完成です、今回は安全のため発射機構は作っておりませんが、実際にはしっかりと機能するようになります」
「見せて貰ってもいいかね」
「もちろんです」
皆集まり完成したバリスタを見ている
「これは凄い!継ぎ目がないから耐久性が高いだろう」
「木材を圧縮してありますので剣で切りつけても簡単には切れません」
「ほう…、試してみてもいいかね?」
「構いませんよ」
「では失礼して」
騎士の1人が剣を振りかぶり切りつける
「ふんっ!」
ガキン!という音が響いて剣が折れる
「はっ?」
「剣のほうが折れたぞ?!」
「これは凄い」
「数打物とはいえ折れるとは思わなかった…」
「直しますよ」
剣を受け取り、直す
「おぉ、剣も作れるのか」
「ふむ、コレは防衛のために力を貸してもらいたいですな」
「オークが来る方向は予想されているはずだな?」
「木材は足りるのか?」
「皮も必要だろ商人に問い合わせろ!」
「皆聞いてくれ!」
ギルドマスターが場を落ち着かせる
「現在傭兵ギルドでは、北の森で伐採の依頼を出しているが、人手は足りないだろう。軍からも人手を回して貰いたい」
「ええ、軍を伐採に回しましょう」
「貴族の軍は、城壁へ木材を移動しまょうか」
「木材を指定の場所に集めてくれれば、バリスタと矢を作りましょう」
「ああ、頼む」
「時間がないすぐに指示を出そう」
軍を総動員すれば、かなりの数のバリスタが出来そうだ
作るのは大変そうだが…