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心霊弁護士 上尾誠司  作者: ニナコ
3/26

上尾からのプレゼント

3話です。よろしくお願いいたします。

 ワンピースを購入した後、美佳は宮子の為のパンプスも購入した。宮子はこれ以上はと思い美佳を見るが、美佳の笑顔の圧力により何も返せなかった。

 あらたかの買い物を終えた2人は美佳のお気に入りのカフェで疲れを癒やした。

「宮子ちゃん、私の荷物を全部持ってくれてありがとね。」

美佳は宮子が持ってくれた衣類や食料品等の紙袋の山を見て言った。

「すごく高いワンピースとパンプスを買ってもらったんです。それ位はさせて下さい。」

「敬語やめてよ、フランクにいこうよ。」

注文したマキアートを飲んで言った。

「宮子ちゃんさ、さっきの質問だけど上尾先生と付き合わないのはどうして。」

宮子は直球に来た問いにコーヒーを吹きそうになる。

「どうしてそんな事を聞くんです。」

「上尾先生と宮子ちゃんにくっついてもらいたいからよ。」

「逆に質問いいですか。どうして私と先生を必死でくっつけようとするのですか。」

宮子はずっと気になっていた事を尋ねる事にした。

「上尾先生って、宮子ちゃんも知っている通り早くに両親も亡くなって事実上天涯孤独なの。ゆうちゃん学生時代から上尾先生の事知ってるから上尾先生の事を誰よりも心配ているの。おまけに特殊な人だから気味悪がられたりして心を開くって事宮子ちゃんが来るまで無かったのよ。ゆうちゃんがね、いつも言ってるの。『宮子ちゃんしっかり者だし上尾が宮子ちゃんと一緒になれば幸せになれるな』って。だから、私とゆうちゃん、出来る限り上尾先生の恋を応援してるの。」

「愛されてますね、先生は。」

「ねぇ、宮子ちゃん彼氏とかいないでしょ。上尾先生と恋人になりなよ。」

「美佳さん、私は」

しかし、タイミング悪く山田と上尾が喫茶店に現れた。

「あと少しだったのに。」

美佳は子供のように頬を膨らませた。

「悪い悪い、それにしてもすごい量買ったな。」

「ゆうちゃんのシャツもいいものあったから買っておいたよ。」

「ほんとか、嬉しいな」

山田は美佳の隣に座り、一気に冷を飲んだ。

「それとね、宮子ちゃんのワンピースとパンプスも買ったのよ。」

「私セレクトよ」上から下まで着飾った宮子を上尾に見せつける。

「みやちゃん、僕には遠慮するのにこの人達からはもらうんだね。」

不機嫌さを隠さず「余計な事をするな」とにやけている山田と美佳を睨みつけた。

「別にそういう訳じゃないですよ。ただ、急に言われて戸惑っただけで。」

宮子もどうしてこうなったか完全に飲み込めておらずどう上尾に説明するべきかしどろもどろになった。すると上尾は宮子の手を取り立ち上がらせた。

「じゃあ、すぐ何か買いに行こう。誰かがみやちゃんにプレゼントして僕がプレゼントしてないの嫌だから。」

上尾は「お釣りはいいから」と1万円札をテーブルの上に置くと宮子を連れて店を出た。

「先生、どこ行く気ですか。」

「みやちゃんの欲しいもの買いに行くんだよ。」

慣れないパンプスで歩きづらい宮子を気遣いながら上尾は到着したエレベーターに乗り込んだ。

 上尾は1階に着くと手当たり次第に目についた店に入り十数万相当のバッグ等を宮子に勧めてきた。宮子は違う世界のものを見せられているようでどうするべきかと頭を悩ませる。

「みやちゃん、遠慮しなくてもいいんだよ。何でも買ってあげるから。」

「気持ちは嬉しいんですけど、そんな高価なものもらっても使う機会がないし、置き場所に困るというか。」

宮子は恐ろしくて触れる事すら出来なかったハイブランド品を思い出して身震いする。

「どういったものなら受け取ってくれるんだい。」

「ハンカチとかエコバッグとか靴下とかの方がありがたいです。」

「他に何かないの。」

「そう言われましても、」

宮子が考えていると上尾が何かに気が付いた。

「みやちゃん、ピアスの穴空いてるんだね。」

上尾は宮子の髪を軽くかきあげて耳たぶの小さい穴を見る。

「学生時代、ノリで開けただけですよ。」

上尾は何かを思い付いたようで、宮子を連れてジュエリー店に入った。

「ダイヤのピアスってある。なるだけ大きいのね。」

上尾は目についた女性店員を捕まえて簡潔に注文をする。

「かしこまりました。」

頭を下げて女性店員はショーケースからプラチナの台にはめ込まれた光り輝くダイヤのピアスを取り出す。

「みやちゃん、これなら受け取ってくれるよね。」

「そんな高価なもの尚更受け取れません。」

宮子は値札を見なくてもわかる価値に圧倒され一歩後ずさる。

「これだったら、デザインがシンプルで普段使い出来るじゃない。折角ピアスの穴空いてるんだし勿体ないよ。」

「そうかもしれないですけど、無くした時の事考えると恐ろしいです。」

「大丈夫、みやちゃんは絶対大切にしてくれるって信じてるよ。」

上尾は付け加えて「貧乏性のみやちゃんがものを大切にしないなんて考えられない」と言った。

「でも、」

「僕の気持ちは受け取ってもらえないのかい。」

上尾は顔を俯かせてブツブツと独り言を始める。周囲は怪訝な顔をして2人を取り巻く。上尾のいたたまれない姿に宮子は「好意を受け取らないのは好意を蔑ろにしているのと一緒」美佳の言葉が過る。宮子は覚悟を決めて上尾の手を取った。

「分かりました。先生、有り難くいただきます。」

「本当に!良かった、折角だから着けてみてよ。」

顔を明るくした上尾は会計を済ますと宮子にピアスを着けさせた。

「とてもよく似合ってるよ。」

「一気にお金持ちになった気分になりますね。」

「僕のあげたものをみやちゃんが着けてる。」

上尾はうっとりしたように落ち着かない宮子を見て言った。そして、「次は洋服と靴を買いに行こうね。」と上尾は婦人服売り場へ行こうとするが、宮子は上尾を必死で引き止めて駐車場へ向かう。

「僕、服も全部贈りたかったんだけどな。」

助手席に座った上尾は不満そうにスニーカーに履き替える宮子に言った。

「贈り物っていうのは、沢山あげればいいっいうものじゃないですよ。」

「沢山貰ったほうが嬉しいものじゃないのかい、」

「使えなかったりしたら逆に勿体ないじゃないですか。」

宮子が車を走らせ上尾のマンションへと向かう途中、上尾はニコニコしながら「みやちゃんは明日から僕と新潟で仕事だよ。」と寝耳に水な宮子に言った。

「明日ですか、」

「大内さんに連絡してみやちゃんの時間もらったから3日間よろしくね。」

「また急な、」

宮子はなりふり構わず自分の予定が決められいく様子に体の力が抜けそうになる。

「そんな顔しないでよ。仕事終わったどっか観光して帰ろうよ。」

「そうですね。」

選択肢のない現実にため息をつき宮子は車を走らせた。




次回から怪談チックになっていきますので、よろしくお願いいたします。

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