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心霊弁護士 上尾誠司  作者: ニナコ
2/26

宮子改造計画

2話更新しましたよろしくお願いいたします。

 宮子はクリーニングした背広に着替えさせた上尾を松濤にある山田邸へ連れて行った。

 移動中、上尾は宮子に何かしたいとずっとごねていた。

「どっか行こうよ。僕、みやちゃんの為だったら何だってしてあげるよ。」

上尾はかまってほしい子犬のように宮子に言った。

「先生が身の回りの事が一人前に出来たら考えます」

宮子はうんざりしながらつき返すと上尾は捨てられた子犬のような目で宮子を見つめてるだけで何も話さなくなった。

 山田邸に到着すると宮子は拗ねる上尾と共に屋敷の中へ入る。2人をで迎えたのは山田の妻の美住であった。

「いらっしゃい、ゆうちゃんが上尾先生の事お待ちですよ。」

美佳は上尾の依頼主である山田優作の待つ書斎へ上尾を案内した。

「みやちゃん、何か考えておいてね。」

上尾は宮子にそう言い残すと書斎へ入っていった。

残された宮子は山田との話が終わるまでの間どこで時間を潰そうと考えていたが、美佳がそれを引き止める。

「宮子ちゃん、待ってる間一緒にお茶でも飲まない。」

美佳はお人形のような綺麗な笑顔で宮子に言った。宮子は行く宛がないので美佳の誘いに応じて庭のよく見えるリビングへと通された。

「遠慮しないで座って。」

美佳は革張りのソファを宮子に勧めるとお茶を淹れ始めた。

「気を使わせてすいません。」

「気にしないでよ、宮子ちゃん泉屋のクッキー好きだったよね。昨日いただいたから一緒に食べましょ。」

「ごちそうさまです。」

宮子が頭を下げると「だから気を使わないでいいわよ」とあどけない少女のように笑った。

 始まった2人の会話は最近見たドラマの話から好きな映画、アイドル等他愛のないものだった。

 宮子も美佳から出る友達と話すような雰囲気に慣れて自分からも話をするようになっていった。

 お茶を始めて1時間経った頃、美佳は頃合いだと判断して本題へ移った。

「宮子ちゃんは、上尾先生と付き合わないの。」

美佳はクッキーを食べる宮子に尋ねる。

「急にどうしたんですか。」

「前々から思ってんだけど、宮子ちゃんと上尾先生ってお似合いじゃない。うまくいくと思うわよ。」

「私は雇われて先生の世話をしてるだけですし、今のところそういう事は考えられないですね。」

「上尾先生、かなりの優良物件じゃない。顔もいいし損はないと思うけど。」

「それはそうですけど」

宮子は上尾の姿を思い浮かべた。上尾は伸び放題の髪で一見したらよく分からないが、はっきりとした二重に鼻筋の通った中々の男前で年齢より若く見えた。宮子はもし自分に夢が無かったら上尾の誘いにのっているのだろうと考える事が度々あった。

「やっぱり興味あるじゃない。」

「先生との付き合いはあくまでも仕事ですので、」

「美佳でいいって、それと年も近いんだしタメ口でいいよ。」

友達と話してるかのように美佳は宮子に話す。

「そうだ、これから買い物行かない。」

「今!」

急な展開に宮子は思わず声を出す。

「あの2人話終わるのかかりそうだし、梅雨明けてもう夏でしょ。新しいワンピースが欲しかったのよ。」

 美佳は立ち上がり「宮子ちゃん、行くわよ」と展開についていけない宮子を急かして行きつけの東急百貨店へ向かった。

 地下の駐車場に車を停めると美佳はなれた足取りで宮子を引っ張っていく。

「宮子ちゃん、早く早く。」

婦人服売り場に着くと美佳は構う事なく気に入った洋服やバッグを入れ食いのように買っていく。宮子は紙袋が増えていくのを見てため息をつきながらその様子を見守っていた。

「次はこの店行くわよ。」

宮子は両手にいくつもの紙袋を持ち美佳の後をついていった。

 次に入った店の中で美佳は先程と変わり服を手に取るたびにジロジロと宮子を見ていた。「どうしたんだろう」宮子が美佳に声を掛けようとした時、美佳が淡色のワンピースを手に持ち宮子の前に来た。

「これなら似合いそうね。宮子ちゃん、これ着て来てよ。」

美佳は確信したように戸惑う宮子を試着室に入れた。

「美佳さん、私着るんですか。」

「もちろんよ、その為に選んだんだもの。」

「早く着てみてよ」と美佳は宮子に急かすと宮子は渋々美佳の選んだワンピースを着てカーテンを開けた。

「これでいいんですか。」

宮子は慣れない膝丈の短いワンピースに顔を赤くする。

「すごくいいじゃない。流石、私。」

「あの、もう脱いでいいですか。」

宮子は自身の生足を晒す事に耐えるのに必死だった。

「何言ってるの、この服買うに決まってるじゃない。」

宮子は当たり前のように宮子に言った。

「美佳さん、私そんなお金持ってないから買えないですよ。」

コンプレックスを晒す恥ずかしさと着替える時に見た値札を思い出し泣きそうな顔をする。

「お金の事なら大丈夫よ。ゆうちゃんから宮子ちゃんに服買うお金をもらっているの。」

「どうして私の為に山田さんがそんな事。」

「ゆうちゃんがね、上尾先生の世話をしてもらってるお礼にって。宮子ちゃん、いつもTシャツとジーパンでしょ。可愛いんだし少し位おしゃれな格好で女の子楽しんでほしいっていう感謝の気持ち。」

美佳はよくできた美談のように必死に切り抜け方を考えている宮子に語る。

「でも、こんな高いワンピース受け取れません。それに今の私に着る機会だってないですし。」

「だったら、上尾先生とデートの時着てよ。」

「え、」

宮子は目を見開いた。

「宮子ちゃんが可愛い服着たら上尾先生嬉しいと思うよ。」

「いや、でもそういう訳には、」

「仕事ですので」と断ろうとすると笑顔だった美佳の顔が突然真顔になった。

「宮子ちゃん、人の好意は素直に受け取らないとそれこそその人の事を蔑ろにしている事になるの。宮子ちゃんはゆうちゃんと私の好意を踏みにじるつもりなの。」

美佳は宮子の意見を遮り、強めの口調で宮子を牽制する。動揺する宮子は美佳の剣幕にこれ以上何も言えなくなった。


次回もよろしくお願いいたします。

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