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勇者パーティーの戦士だってハーレムギルドを築きたい!  作者: ぱたた
別れと出会いと別れ
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戦士ハールの初クエスト

 冒険者たちが受けられるクエストは各ランクによって難易度が異なる。それは上から順にランク:ナウダ、ランク:スドラブス、ランク:ヴァラとなっている。ランク:ナウダは王都からの直接依頼や他国の大使からなどの、失敗が許されない超重要案件である。もちろんクエストボードに気軽に貼られているものではなく、然るべき場所で秘密裏に契約が交わされる。その影響力から情報は秘匿され、一般大衆は知る術もなくひっそりとクエストが遂行されている。

 ランク:スドラブスは貴族などの権力者や大金持ちから依頼がくることがほとんどであり、端的に言えば金か権力を持っていれば依頼ができるものとなっている。それ故に報酬額には目を見張るものがあるが、無理難題を金か権力で解決しようする輩からのものも少なくない。クエストボードに貼られている事もたまにあるが、ほとんどが縁故からの紹介であることが多く、実績や人脈が大事となってくる。

 ランク:ヴァラは誰でも受けられるランクとなっていて、村や町からの依頼が多いので難易度もそこまで高いものはない。最初はこのランク:ヴァラから始めて、ある程度実績が詰めれば上のランクに昇格できる。

 おれは元勇者パーティーの戦士とは言え、ギルドを抜けて個人で活動することになったのでランク:ヴァラからのスタートである。まぁ、レリットに口を聞いてもらってランク:スドラブスからスタートすることも可能ではあるんだけど、新しい仲間が加わった以上それはなんかカッコ悪い気がしてやめておいた。それに、一緒に冒険していく中で実績を積んで昇格の喜びを分かち合いたい気持ちもあったし、ピルマはまだ戦闘経験が浅いのでランク:ヴァラからのスタートするのが吉だろう。苦戦しているときに颯爽と助けに入って、惚れてもらうこともできるかもしれないし、グフフ。


 そんなちょっぴり邪な考えを巡らせながら、ピルマと一緒に挑戦出来そうなクエストを探しているとちょうどいいものが目に入った。


「これなんかいいんじゃないか?」

おれはクエストボードに貼られていた、一枚の紙を指さした。


【ヴィルクス討伐依頼、外れの森にて目撃情報アリ。数は1体。報酬:50,000ヴァルタ】


「ヴィルクスですか……私、戦ったことないですけど大丈夫でしょうか?」

ピルマは眉を寄せて不安げな顔でこっちを見てくる。あぁ、そんな困っている顔もかわいいなぁ。

 ちなみにヴィルクスとは鋭い爪と素早い動きが特徴の魔物で、ランク:ヴァラでは中難易度程度である。


「大丈夫だよ。ヴィルクスの動きは素早いけれどピルマの機動力なら対応できると思う。それに、おれのスキルで能力を底上げできるから、いつもより素早い動きで攻撃が出来るはずだよ。報酬50,000ヴァルタも悪くない条件だしね」

 二人で50,000ヴァルタ……初心者のピルマに戦闘経験を積ませられて、一人25,000ヴァルタなら上出来だろう。


 

ヴァルタとはこの国、ヴァルストス王国の通貨の単位で大体100ヴァルタでパンが1個買えるくらいである。本来であればこのクエストはソロで行う方が旨味があった。ヴィルクス一体に対して25,000ヴァルタは、あまりリターンが大きいとは言えない。それでも、ピルマが得意とする機動力特化の戦闘を行うことができるし、早く彼女に自信をつけてもらうことが大事だからトータルではプラスだろう。



「分かりました。ハールさんが言うならきっと大丈夫ですよね♪」

彼女は最初こそ不安がっていたが、おれの説明を聞くとはにかんだ笑顔でそう答えた。

チクショウ、かわいいなぁ!守ってあげたくなるじゃないか!


「大丈夫、大丈夫!おれに任せといて!」

「はい!それじゃ早速いきましょうか?」


 今から行っても外れの森なら今日中には帰ってこれるな。

おれは、そうしようと答えるとクエストボードに貼られていた依頼書をはがし、2階の受付へと持って行って手続きを終わらせた。



さぁ、ピルマとの初クエストだ!カッコイイところを見せないとな!




 

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