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勇者パーティーの戦士だってハーレムギルドを築きたい!  作者: ぱたた
別れと出会いと別れ
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戦士ハールの求人

 謁見の間に戻った勇者たちに王から告げられた事は、魔王が最後に放った紫色の光についてだった。どうやら光が飛び散った先の村や町から、魔物が増えたと報告があがったようだ。魔物の残党が暴れ回って被害を及ぼすことは今までもあったが、各々の自警団で対処が可能な範囲だったものが、絶対数が増え、今まで以上に狂暴化している個体も散見しているらしい。その結果、自警団では対処が難しいので、王都からの冒険者を派遣して対処に当たる流れになった。



 言葉は悪いが、ギルドを新しく作ろうとしている身としてはこれ幸いである。魔物討伐の仲間募集と銘打って、ギルド協会側に申請しておけば求人を公開してくれる。そしておれは、かの有名な勇者パーティーの戦士!「元勇者パーティーの戦士、独立しました!一緒に戦ってくれる仲間を募集中!奮って応募ください!」

 うん。これだけでもかなりの人が集まるだろう。え?勇者の名前を使うのは反則だろう?そんなことは関係ない!大事な大事なネームバリュー、使えるものは使う主義である。

 おれは、申請用紙を片手に颯爽と受付嬢のもとへと駆け出した。


「すいません!新しくギルドを作りたいんですけどお願いします!」

意気揚々とギルドの受付嬢へ申請用紙を渡すと、メガネをかけた理知的な雰囲気を纏う彼女はこう答えた。


「元勇者パーティーの戦士?あなたが?」

……いやいやいや!凱旋パレードやったよね!?あれ、王都中の人が参加してたはずだよ。レリットの隣にいたんだから見えてたよね!?


「そうですよ!戦士ハールです!凱旋パレードやりましたよね?勇者レリットの隣にいたんですけど!?」

おれは必死に説明をする。もしかしたら体調悪くて参加してないのか?それだったら声を荒げてしまった事は後で詫びよう。


「ごめんなさい。レリット様しか目に入らなかったもので。あ、戦士ハールって名前は聞いたことありますから!」受付のお姉さんは慌ててフォローする。前言撤回。ガッツリ参加してました。そして、聞いたことあるってその程度の認識しかないの!?ずっと長いこと旅してたのに……


 ここでもレリットとの差が浮き彫りになる。だが、今はそんなことを気にしていても仕方ない。早く仲間を募集しなければ。


「……大丈夫、気にしてないです。慣れてますから。それで、申請したいんですけどこれで通りますか?」

「ちょっと待ってくださいね。……ギルドメンバーは誰を募集しますか?例えば、前衛とか魔法職とか、ヒーラーなどですね。足りない部分を補うメンバーを仲間にしたほうが効率よく進められますよ」

 さすが、メガネをかけて理知的な雰囲気を醸し出しているだけのことはある。的確なアドバイスをくれる人だ。それにしても誰を仲間にしたい……か。正直、かわいい女の子なら誰でもいいと思っていたが、確かに今後の討伐の事を考えると慎重になる必要があるかもな。さっきの報告で狂暴化している個体もいると言っていたし。


「そうですね……おれは戦闘補助の経験が長いので、バリバリの前衛剣士か攻撃魔法が得意な子が入ってくれれば嬉しいですね!」

 戦士としてのポジションではあるが、能力アップや戦況分析スキルが長けていたので後方ポジションで戦うことが多かった身だ。最初は先陣切って戦ってくれる子がいた方がいいだろう。


「分かりました。それではその条件で募集しますね。応募があればお知らせしますので、定期的にいらしてください」

 あぁ、楽しみだな!ようやく自分のギルドを持つための第一歩を踏み出したわけだ。楽しみ過ぎて夜眠れるのか心配だぜ!



 そして待つこと3日。受付嬢から声がかかった。思っていたより長くかかったな……そうか!応募者が多すぎて、集計するのに時間がかかったんだな!そういう事なら仕方あるまい、目をつぶろう!


「ハールさん。応募がありましたよ。ご希望通り前衛剣士です。」

「そうですか、そうですか!それで?それで?」

「……それでとは?」

「いや、いや。もったいぶらなくてもいいですよ!他にもたくさんいるんでしょう!?」

ニマニマしながら問いかけるおれを見て少し引き気味になった受付嬢は、衝撃の一言を放った。


「……応募は彼女だけですよ」


 

 おかしいな。聞き間違いか?耳掃除は昨日したばかりなんだけどな。……いいや、違う。確かに彼女だけと言った。でも、念のためもう一度確認しておこう。これは決して現実逃避ではない!


「えっ!?嘘ですよね。まだ、集計が終わってないとかじゃなくて!?」

「はい。残念ながら一人だけです。このまま継続して募集することをおすすめします」


 ……これ以上駄々をこねても見苦しいだけだ。それに、応募がなかったわけではない。一人でも応募してくれているのであれば、その子と全力で向き合うのが筋だろう。


「わかりました。続けて募集をお願いします。そして、その子と会いたいです」


 彼女はこちらの都合に合わせてくれるようなので、翌日に段取りを組んでもらった。善は急げだ!話してみていい子なら即採用しよう!



目論見通りとはいかなかったものの、明日の初対面に胸を躍らせるハールであった。



こんにちは!ぱたたです。評価及びブックマークをしてくださった方、本当にありがとうございます!

その行動が書き手としては本当に励みになります。精力的に執筆していきますので、お付き合いお願い致します!

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