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歪む理想

 アオイ様が倒れた翌日。

 ディルバルド様は、わたくしの友人らの疑問を父である国王に聞いてみたという。

 もちろんこの国でも、聖女様の衣装などは用意をしており当日には神殿の控えに置かれるとのこと。

 しかし、先に隣国の王子からの贈り物として衣装が届けられたことは把握しておらず、またどのようなものなかも確認が取れない。

 なぜこのような事態になったのか、国王はすぐにジルバルド様を呼び立て、その一件に関してきつく問いただしたという。

 ジルバルド様は、イスカルの王子の態度に少し疑問を感じてはいたが、わたくしを幼いうちに妻にするという罪悪感から彼のアオイ様に対する愛情を純粋なものと思い込むことで疑いを払拭し、王子の用意した衣装を届けさせてしまったという。


 そして、今日当日になって、ディルバルド様がその衣装の確認にアオイ様を訪ねたところ。

 友人の教えてくれた通りの、なんとも妖艶な衣装をまとって俯くアオイ様を見つけたということだ。

 

 まだ、15歳のアオイ様にとってこんなに肌を露出させた衣装は見るだけでも恥ずかしかっただろう。

 かわいそうで、だんだん怒りが満ちてきた。


 ディルバルド様は、アオイ様をソファに座らせ、控えの間の侍女から大き目のブランケットを受取りそっと彼女にかぶせ人払いをした。

 先に少し彼らは話をしたようで、転生者という言葉にわたくしだけが動揺を見せていた。

 

 「私は日本という国で生きていました・・・・」


 聖女アオイ様は、前世の日本という国に住んでいた。

 病弱で入退院を繰り返していたが、病に勝てず病死したという。

 彼女の姉がすすめた乙女ゲームをずいぶんやりこんで、そのシナリオやキャラクターが大好きだった。


 記憶が戻ったのは、先代聖女様に力を見出されたとき。

 

 はじめは、前世の記憶がもどり、ゲームと現実の世界が曖昧でどこか夢見心地であったという。


 「私は前のシナリオの国、イスカルでゲームとも現実ともつかない心地で過ごしました。それは攻略対象者という私を好きになってくれる男性に近づいて、ちやほやされたいという、、、今思えばなんて幼稚な考えだったのか。」


 彼女が語るはじまりのゲーム。


 聖女として12歳からその仕事を任されたアオイ様は、14歳の時に隣国イスカルへ入国。

 学園に入り教育を受け、聖女の仕事もこなしてきた。

 シナリオ通りに始まる学園生活。

 攻略対象者を見つけては、そのシナリオが始まるためのフラグを立てていった。


 すべては順調にはじまり、攻略対象者の男性は婚約者たちをないがしろにアオイ様にほだされいくのがわかった。

 婚約者の彼女たちにささいな意地悪をされたりもしたが、これもシナリオ通り。


 しかし、生徒会長であったイスカルの王子エリクの攻略に苦戦することになる。


 なぜか、彼はゲームの彼とは違う性格であった

 とても嫉妬深く執着心が強い。

 アオイ様が他の男性に声をかけるのもかけられるのも気に食わないといい、何かと難癖をつけて彼らをアオイ様の前に二度と表れないように仕向けるのだった。


 はじめはアオイ様も愛の深さだと喜びもしたが、だんだん彼の拘束が強くなり彼のことが恐ろしくなりはじめてきたのだという。


 

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