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夏の香り  作者: はる
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あの時の僕

八時に起床、九時に出勤、残業で午後十時に帰宅、零時に就寝、次の日も八時に起床、九時に出勤、午後十時に帰宅、零時に就寝。

毎日同じことの繰り返し。

大して趣味もなく、仕事にやりがいも感じない。恋人など居たのは何年前だろう。何となく高校に入りそれなりの青春を過ごし、何となく大学に入り、そして何となく就職した。

そして今に至る。上司には何も感じない。優しいが仕事上でしか話をしない。かと言ってよく聞くような上司への不満は、ない。同僚も仕事上の関係でプライベートではあったことも無い。ていうか、昼一緒に食べたこともない。後輩も慕ってくれる奴なんか1人もいない。仕事を辞めたいとは思わないが、このまま続けたいとも思わない 。つまらない。

こんな日々に一は飽き飽きしていた。


零時。明日も仕事だ。早く寝ないといけないのになかなか寝付けない。眠りにつくかつかないかの狭間はいろんなことを考えてしまうから嫌いだ。

あー、いつだっただろう。毎日が楽しくて布団に入っても明日のことしか考えてなかったときは。好きな子に告白されるのを想像しながら空想に浸っていたあの頃は。

みんなで自転車を飛ばして駄菓子屋まで走った日々。

あれ、俺、今いくつだろ?

えーと、1974年生まれだから…ひくと、

43かぁ〜 忘れてた。

母ちゃん元気かな?兄ちゃん結婚してるし孫は大丈夫だろ。俺には当分出来そうにない。ていうか相手いないし。43でこれってダメ人間じゃないのか?でも、働いてるしまだ大丈夫?あぁーー、もう一回人生やり直したいな。出来れば人生で一番楽しかった時から。一番楽しかった時、一番楽しかった時、

そうだ!小学校時代!あの時は楽しかったな~。毎日が新しくてなんにも考えなくてよかったんだよな。あー懐かし。小学校時代の夏休みに戻りたzzz


一はそんな事を考えながら眠りについてしまった。


「起きなさい。遅れるで!ほら、はよ起きろぉぉぉ!!!」


「うぉっ!だれっ!?」


「なにいってるん?アンタ。わけわからんこと言っとらんと、はよ起きなさい。ほんま、おかしな子やわ~」


「え…母ちゃん?なんで?てか、若くない?何ここ大阪?え?」


「はよ、顔洗ってき!」


「う、うん。」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


「朝からうっさいわ!」


あれ、俺なんで子供の顔?仕事終わってからいつもどうり寝て、で起きたらこれ?夢か?いや、夢じゃない…。なんだ?なんだ?変なことが起こったぞ。いや、もしかするとこれは、神様がつまらない人生の俺に与えてくれたチャンスなんじゃないか?そうだ!きっとそうだ!第2の人生がこれから始まるんだぁ!


「いつまで顔洗っとん!遅刻するで!」


「すぐ行くー!」


これから新しい人生が始まるんだ!


一はこれからの人生に胸を踊らせながら懐かしい居間へ向かった。

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