海利「2人の日常のはじまり」
朝
トゥルルルルルンwwトゥルルルルルンww
「んぁ...」
眠たいが携帯のアラームを止め、起きようと努力する。
その時いつもなら無いはずの感覚があった。
昨日の女の子と手を繋いで寝ていたのだ。
「なんで手繋いでるんだ...?」
昨晩なにかあったか全く覚えてない。
とりあえず寝た所までは覚えているが...
「こっちに来たのかな...まぁいいか」
と、手を繋いだまま空いてる手で携帯を見ると、見たことのない所からメッセージが届いていた。
「なんだこれ?内容は?」
『おめでとうございます!!
あなたは研究サンプルとして膨大な数の人間の中から選ばれました!
これから必要なものを先日お聞き致したとおり配達させていただきました!
また必要なものがあればこちらのメッセージにお送り下さいませ!
追記
返信などは特に致しませんのでご了承ください』
「は?」
先日?必要なもの?サンプル?
イタズラか?いや、違うだろう。
恐らくこの女の子からみの何かである。
その配達したものはいったい何なのか。
「この子のこと...はたまたこの子に必要なものか?」
よくわからないがそれを探す必要がありそうだ。
この部屋、配達だから外からきてるから玄関にありそうだが...
「とりあえずさがしn...いってぇ!?」
何が起こったかわからないが目の前にダンボールが足の指先の上に落ちてきた。
結構重い。
「ちょちょこわいこわいこわい」
朝から怖い思いをしまくってるのだが、ビビってる訳にもいかないので箱を開ける。
そこには服やら下着やらが色々入っていた。
「これは...この子の?」
いや、それ以外ないだろう。
おれがこれを着て女装してくださいなんてオチはあるわけが無い、てかあるなんていやだ。
そんなこんなをしてると女の子が起きた。
「あ、おはよ」
「う...うん...」
眠いのか目がほとんど閉じている
「起きてすぐで悪いけど、これはきみの?」
「なにそれ...知らない...」
この衣類に関しては知らないようだがサイズとか見たら合いそうなのでこれを使おうと思った。
「これで服はどうにかなるな...あとは?」
食べ物とか必要だろうけどそこはなんとかなる...ハズ
コンコン ガララッ
「あ」
親フラである。
朝毎日おれの部屋をまたいだところにあるベランダに干しにくるのだ。
完全に忘れていた。
「」
「おはよう...?」
「お...う、あん」
「今日もいい天気ねぇ...」
「は...?」
「よく乾きそうだわ〜」
おかしい、身も知らずの女の子が部屋にいるのに反応がない。
まるで見えていないかのようである。
「な、なぁ」
「なに?」
こっちに視線を向かせたが、気づいた様子はない。
どうやらからかってたり、見て見ぬふりをしてないようにしてる訳でなく、ほんとうに見えてないらしい。
親は慣れた手つきで選択ものを干し、部屋から出ていった。
「見えて...ないのか...?」
女の子の方を見る。
さっきからずっとおれのほうを見たまま動かない。
その顔には感情はなく、ただじっと見つめてくるだけだった。
「まぁ、外に出ればわかることか...」
そして、昨日から考えたことを言う。
「じゃあ、ルル、準備しようか」
「るる...?」
「きみの名前だよ、ルル」
考えたが、いい名前なんてネーミングセンス皆無のおれが考えられるのなんてこの程度だ。
それにおれが決めたと言わなければ別に恥ずかしくない、親の友達の子供を預かってるとか言えばいいだろう。
「るる...るる...」
ルルは嬉しいのかどうかわからないが、自分の名前をずっとつぶやいている。
その間自分は着替えて、荷物の準備をし終えた。
「さぁ、行こうか、ルル」
「ん、」
今日はバイトも休み。
行くところなんて考えてないけど、きっと。
ルルと一緒なら色々どうにかなるだろう...たぶん
ルルの手をとり、玄関に行く。
「あ、靴がないな」
「くつ?」
「まってて、箱の中に入ってたはずだし、取ってくるよ」
と、海利は部屋に戻った。
「るる...る...」
ルルは初めて与えて貰った名前を、ただずっとつぶやいていた。
「おまたせ、行こうか」
「うん」
自転車の後ろにルルを乗せ、二人で初めて出かけた。
「さぁ、遊びに行こう!!」
「おー」