不安な時間
夜
私のことを一通り聞き終わった彼は寝た。
『あ、おれは海利でいいから!』
「カイ...リ?」
名前は上城 海利、でもそれでいいと言われたのならそれで呼ぶしかない。
私が知っていることは彼の名前、ヒトには睡眠が必要とか、食事が必要とか最低限の知識しかない。
私はヒトだけど、ヒトじゃない、まがい物、不純物、本来なら居ないはずの存在しないモノ。
作り物の私に、彼らは何を思ってカイリの所に連れてきたのだろう...
...このモヤッとしたのはなんだろう?
胸の奥に不安のような...これが恐怖、怖いと思っている証拠かもしれない...
『女の子には紳士にいかないとな!』
『ベッドは君が使って!おれは適当に寝るから!』
と、言ってカイリはさっき床で寝始めた。
ベッドの上で寝ることもせずこうやって考え事ばかりしている。
さっきまで睡眠していたから寝れないのもそのせいかもしれないけどそれだけじゃない...
このわからない感情?が怖い?と思っていたのだろうか...?
気がつけば、カイリの横に座っていた。
寝ている。
吐息だけが部屋の中で音として存在している。
「カイリ...」
起こしたい訳では無い。
ただ呼びたくなったのだ。
なぜ?...知らない、わかるわけが無い。
彼以外ヒトを知らず、彼のそばに居るように言われた私は、彼に頼ることしか出来ない。
弱い、とても、何も出来ない、怖い。
理解した、これが嫌な感情だということ。
これが怖いということを。
夜、カイリが寝て、話すことが出来ないのが、怖い。
私は眠れない、今のこの感情が、私を支配しているから。
私は想った、カイリに起きてほしいと。
少しでも話したいと、願った。
トゥルルルルルンwwww
「ビクッ!!」
携帯?スマホ?と呼ばれていたものが大きな音を鳴らした。
そっと見てみるとメッセージが届いたとある。
「...あ?音切ってないんかい...」
カイリが起きた。
音が大きかったため、目覚めたのだろう。
「あ、ごめん、それ取ってくれね?」
「うん」
と渡そうとするが、何かに引っかかっているのか、うまく渡せない。
「それの下の方に付いてるやつ、引き抜いてみて」
「なにか、ついてる...?」
なにか線のような物が付いていたため、言うとうりに抜いて、渡した。
「ありがとう、びっくりしただろ?」
「すこしだけ」
「すこしか、おれは結構びっくりしたわw」
「でも、反応薄かったよ?」
「寝てたからね、オォンってなったw」
と言いながら操作し、私の外した線を再び繋いだ。
「起こしたか?」
「ううん、起きてた」
「そうか、...ん?」
とカイリは顔を見てくる。
「なるほど...?えぇ...どうしよ...」
「?」
「そうだな...じゃあ...」
と、私と手を繋いだ。
「これで少しは安心するかな?」
「あんしん?」
「そうそう、なにかあればいつでも起こしていいからな?」
「わかった」
「じゃあおやすみ」
また寝た。
少し話は出来たけど、まだ払拭しきれてない気がするようなしないような...
「なんで繋いできたの...?」
わからないけど...なぜか、怖くなくなる...
そんな気がした