そして始まる物語
これでなろうで書いたのは3度目です。三個目の没にはならないように頑張ります。
トントントン
包丁で野菜を切って鍋に入れてあとは煮込んで盛り付けて。
とっても忙しい調理場で、今日も働く黒髪少年、ゼルファイス。
「がふがふ。」
「わかってるって!あ、いらっしゃいませ。」
人語を喋らずがふがふ言ってるこの店の店長バーベラさん。見た目は人狼です。料理の腕は一流で、野菜が美味しい食堂です。人語を喋らないバーベラさんのために今日も注文を取りに行きます。
「こんにちは、ゼルくん。忙しそうね。」
「あはは。まあ忙しい方が繁盛しているってことなんですけどね。」
「ふふ、そうね。じゃあいつもの定食をお願い。」
「はい。」
私の幼馴染だ。名前はレナ(この主人公の一人称は私です。ちゃんと男です。)幼馴染というか、年上ということもあって若干、落ち着いた雰囲気の姉みたいだが、多分本当の姉はもっと違うものだろう。(はい違います。家族としての姉に幻想を抱かないでください。)
家族がいない私にとっては相談ができる相手としてはいい方なんじゃないだろうか。
見た目はなかなかスタイルが良くて大人しい感じだ。何回か告白して撃沈していったやつを見ている。私は恋愛とかはしたことがないから全く分からないが、想いっていうのは伝えたくなるものなんだろうか?変えたいと思ったり進みたいと思うのだろうか?成功というかなんというか、幸せになるっていうのはやはり難しそうだ。
まぁ今はそんなゆうちょなこと考えられる訳がなく、ひたすらに注文を聞いては作って持っていって、会計して・・・・・こんなの本当に二人でやっていいことなのか?
バーベラはこのために私を引き取ったのだろうか?ただ死んでいくであろう捨て子の私を拾ってくれたのは有難いがこれはひどいな。ちょっと雇ったらいいんじゃないだろうか。5人ぐらい。何倍楽になるんだろうか。注文と会計に一人雇うだけでかなり変わってくる気がするのだが?バーベラはそんなに貯金したいのか?何か目的でもあるのか?全くわからん。せめて今みたいなお昼どきはきつすぎる。
猫の手でも借りたいが、それは獣人の差別になるから今では死語だ。
こんな言葉をいつ覚えたのかは知らない。
だがまぁ、忙しいことこの上なし。誰か助けてくれー
***
ちょっと古いガレージでトントンというハンマーの音が聞こえた。普段バーベラはハンマーとかを使わないから、とてもとても嫌な予感がする。今の装備はかなり軽装過ぎてヤヴァイ。が、大体わかっているから怖くない。まぁ何故かというと、今現在のこの食堂は3時に店も終わるのだが、最近バーベラがBARをやろうなどとぬかしおる。
それは今のところ黙らしてはいるが、新しい看板をつくろうとしているところを発見してしまった。
多分夜用の新しい看板でも作っているのだろう。
絶対に許してはならん。こんなのブラック食堂をこれ以上酷くするなど言語道断だ。
掃除とか、その他いろいろな準備とかが沢山あって、終わるのはもっと遅いのだ。
という訳で突撃。いや、ここは話し合い(物理)で決めようか。
「よう、バーベラ。何作ってるんだ?}
「バッバフ!?」
バーベラは目を見開いて焦っている。どことなく危機を感じたのだろうか。だがその姿はとても怖い。怖がっている奴の顔が一番怖いのはなぜだ。
「新しい看板かな?前の看板とは違うこと書いてるね。何を書いているんだ?ん?すごい汗かいてるじゃないか。どうしたんだ?休んだほうがいいんじゃないか?」
今俺が持っているバールのようなものは倉庫から持ってきたものだ。決していつも持っているわけではない。流石に人畜無害なことで定評のある私でも四六時中バールのようなものを持っていたら流石にアウトだ。まぁいい。さくっと終わらせよう。
「まぁここからは私がやるから、そこで見てなって。ふ~。オラ!」
バキ、ボキ、ドカ。まぁそれなりに強度はあるような気がする。結構手が痛い。しかし、私は手を止める気はない。これはきっと正義だ。多分な。
「がふぅぅぅ」
「もうこんなことするなよ。」
「がふがふ!!」
「おい、まだ俺警察にお世話にはなりたくないんだが。」
バールのようなものをちらつかせる。たちまち本能的に恐れている。
バーベラはやはり狼だもの。人間よりそういうのは敏感なはずだ。
いかがでしたでしょうか。