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幕間 とある普通の冒険者たち その2

Vtuberにハマっていたので遅くなりました。

Vtuber多すぎて、追いかける時間が足りない!



 ブライゾル王国でCランクに上がったカイル、ビル、クレア、ホリーの冒険者パーティは、ザックに頼まれて、メイガルド魔導帝国まで怪しい2人組の護衛をすることになった。


 移動に使っているのは木と鉄で出来たなかなかに頑丈そうな馬車で、2頭の馬に引かれている。

 馬車には食糧や水、野営道具が積まれており、カイルたち4人が乗ってもまだ充分スペースがある。


 馬車の進む速さはそれほど速くもなく、かといってゆっくりというわけでもない。

 普通の馬車よりも重いはずだが、2頭の馬は普通の馬よりも馬力があるようだ。


 とはいえ、カイルたちは馬の負担も考慮に入れてこまめに休息をとっており、途中の町で食糧などの補給もしている。


 御者は白いフードの女で、灰色のフードの男は馬車でくつろいでいる。


 カイルたちは馬車から外に顔を出し、辺りを見回して護衛に専念している。

 ここまでは、それほど脅威になる魔物とは遭遇していない。


「このまま何事もなく順調に帝都まで行きたいもんだな」


 カイルがそんな風に考えていると、ホリーの声が聞こえた。


「魔物です! 数は3! こっちに来てます!」


「わかった。……言ったそばからこれか」


 カイルは返事をして、馬車から顔を出して魔物の姿を確認した。

 

「泥を被った猪型の魔物……マッドボアか」


 マッドボアは水と土の属性を持つ魔物だ。

 泥を撃ち出したり、地面を泥化させて足場を悪くしたりしてくる。

 大きな牙が前に突き出しており、突進による攻撃は脅威だ。


「どうするの?」


 マッドボアを確認したクレアがカイルに尋ねてきた。


「あっちの方が速い。このままだと馬車に追いつかれる。迎え撃つぞ」


「馬車はどうする?」


 カイルが答えると、今度はビルが質問してきた。


「マッドボア以外の魔物は周りに見当たらないようだし、馬車は止めてもらおう。このまま走り続けた場合、他の魔物とかちあう可能性がある。そうなれば俺たちでは守り切れない」


「わかった。伝えてくる」


 カイルの話を聞いたビルは、御者をしている白いフードの女と馬車内にいる灰色のフードの男に状況を説明して馬車を止めてもらった。


 そして、カイルたちはマッドボアを迎え撃つ態勢を整えた。


 マッドボアは迷いなく真っ直ぐにカイルたちの方に向かってきている。


「クレア! 先制攻撃だ!」


 マッドボアがクレアの魔法攻撃の射程圏内に入ったところでカイルは声を上げた。


「まかせて! 『火球ファイアボール』!」


 クレアが魔法を唱えると、火の球がマッドボアに向かって放たれた。


「いくぞビル!」


「おうよ!」


 すかさずカイルとビルが馬車から飛び出して、マッドボアの方へと駆けていく。

 ホリーとクレアは馬車で待機だ。


「グオォ!?」


 クレアの放った火の球が1体のマッドボアに当たった。


 しかし、マッドボアは自身の生み出した泥をもともと被っており、それほどダメージは受けていない。


 だが、火の球に当たったマッドボアの走る速度が少し鈍ったことで、その1体が遅れ、2体が先行する形になった。


「俺が右のをやる!」


「了解! 左はまかせろ!」


 先行する2体のマッドボアをカイルとビルは1体ずつ受け持つように分担した。


「くらえ!」


 ビルが正面から迫ってくるマッドボアの顔を盾で横から殴りつけた。


「グオッ!?」


 思わぬ衝撃にマッドボアが怯んで足を止めた。

 そこへビルが剣を振り下ろす。


「おらぁ!」


 ビルの剣は当たったが、マッドボアが身に纏っている泥に阻まれて、浅く傷がついた程度だった。


 カイルは、マッドボアの突進が当たる寸前にジャンプして、マッドボアを跳び越えるようにしながらその背中に一太刀入れた。


「とう! せいや!」


「グオ!?」


 そしてカイルは、着地と同時にすぐさま振り向きながら剣を振ってマッドボアの毛の薄い後ろ足を切り裂いた。


「せいや!」


「グオオォ……!」


 背中は浅い傷だったようだが、足の傷はそれなりに深かったようで、後ろ足に力が入らなくなったマッドボアが尻もちをついた。


「これで1体機動力を削いだ」


 倒れたマッドボアに魔法を撃ってもらうためにカイルは手を上げてクレアに合図を出しつつ、ビルの方を窺った。


「おらあ!」


「グオオ!」


 まだビルはマッドボアと戦っていた。


「悪い! もう1体は頼んだ!」


 カイルの視線に気付いたビルが声を上げた。

 どうやらビルは今相手取っているマッドボアをきっちり倒すつもりのようだ。


「わかった!」


 カイルは了承の返事をした。


「ビルなら大丈夫だろう」


 カイルは、遅れていたマッドボアへと向かった。


「グオオ……」


 遅れていたマッドボアは警戒しているようで、カイルの少し手前で足を止めた。


 その内、クレアの火の球が飛んできて、足を怪我して身動きが取れなかったマッドボアに当たり、悲鳴が上がった。


「グオオオォ!」


 それを合図に目の前のマッドボアが泥の球をカイルに向かって撃ち出してきた。


「グオァッ!」


「おっと!」


 カイルはそれを躱してマッドボアに接近した。


「なんだ!?」


 しかし、何かに足を取られてカイルの足が止まった。


「これは!?」


 カイルが足元を見ると、地面が泥化しており足が地面に沈んでいた。


 マッドボアによって周囲の地面が泥化していたようだ。


 カイルは地面から抜け出そうと足を動かすが、なかなか抜けない。


 そこへ、マッドボアが突進してきた。


「グオオオオオ!」


「くっ、ぐあぁ!」


 剣で牙は防いだが、カイルはマッドボアの突進の衝撃をまともに受けてしまった。


 そして、カイルは吹っ飛ばされて地面を転がった。


 カイルはそれなりにダメージをもらってしまったが、これで地面から足は抜けた。


 カイルは痛みを堪えて立ち上がり、剣を構えた。


 マッドボアはカイルに追撃を仕掛けて来ており、すぐそこまで接近していた。


 カイルは地面に注意を払いながら、突進してきたマッドボアに合わせてカウンターで剣を振り抜きマッドボアの目を切り裂いた。


「せいや!」


「グオオォォオォォォ!!」


 マッドボアは片目から血を流してのたうち回っている。

 カイルはそのチャンスを逃さず、マッドボアの体の中で比較的柔らかい腹に思いっきり剣を振り下ろした。


「せいやあああああ!」


 剣はマッドボアの腹を切り裂き、深い傷をつけた。


「グオオオオオオォォォォォ!」


 マッドボアは悲鳴を上げて、腹から血を流した。

 やがてマッドボアは息絶えた。


「ハァ……ハァ……」


 カイルは膝をつき、剣で体を支えた。

 カイルは自身が思っていたよりもダメージを受けていた。


「大丈夫か!?」


 すると、カイルのもとへビルが駆け寄ってきた。


「ああ……そっちはどうだ?」


「1体は俺が倒した。もう1体はクレアの魔法でこんがりだ」


「そうか。さすがだな」


「お前もな」


 カイルの言葉に、ビルがニカッと笑った。


 どうやらすべて片付いたようだ。


 ビルも多少ケガはしているが、どれも浅いようだ。


「ほら、捕まれ」


「悪いな」


 まだ満足に動けないカイルに、ビルが肩を貸してくれた。

 カイルたちは一旦馬車に戻った。


「2人とも大丈夫ですか?」


 ホリーがカイルたちに声を掛けてきた。


「なんとか無事だ」


「とりあえずカイルのケガを治してくれ。俺は後でいい」


「わかりました。『回復ヒール』」


 カイルが答えると、すかさずビルがホリーに頼んでカイルに回復魔法をかけさせた。


「他に魔物が近づいてきてないか?」


「今のところは大丈夫よ」


「なら、俺は倒したマッドボアを回収してくるぜ」


「私も手伝うわ」


 ビルとクレアはマッドボアを回収しに行った。


「終わりました。体の調子はどうですか?」


 ホリーに聞かれて、カイルは軽く体の調子を確かめた。


「問題ないよ。ありがとう、ホリー」


「いえ。これが私の役目ですから」


 カイルがお礼を言うと、ホリーは笑顔で返してくれた。


 その後、ホリーはビルのケガも治し、カイルもマッドボアの回収を手伝い、回収した3体のマッドボアを馬車に積んだ。


 そして、再び馬車は帝都に向けて動き出した。


 その後も度々魔物の襲撃に遭った。


 避けられない魔物は撃退し、時には逃げて魔物を撒いた。


 帝国が近づくにつれ、王国の都市サルドほどではないが、ちらほらと魔物と遭遇する頻度が増えてきていた。


「俺たちが帝国を出た時よりも魔物が多くないか?」


「そうだな」


 カイルの言葉にビルが頷いた。


「スタンピードが近いんじゃない?」


 それに対して、クレアが答えた。


「そうか、もうそろそろスタンピードの時期か」


「もうそんな時期なんですね」


 カイルが納得の声を上げると、ホリーも言葉を漏らした。


 帝国では毎年、帝都に魔物たちが進行してくるスタンピードがある。


 スタンピードの時に戦闘に参加できるのはCランクからで、Dランク以下はだいたい雑用だ。


 昨年、カイルたちはDランクだったので、スタンピードの時は武器や食料、薬の運搬などの雑用をしていたが、今年は戦闘に参加することになる。


 命の危険もあるが、冒険者としては稼ぎ時でもあるので、カイルたちは少し緊張してはいるが楽しみにしていた。


 そうして、進んでいる内に馬車は森の中の道に入った。


 森の中では木々に視線を遮られて魔物を発見するのが難しくなる。


 カイルたちは今まで以上に気を引き締めて警戒に当たった。


「あれは!」


 すると、何かに気付いたビルが声を上げた。


 カイルが視線を向けると、馬車の進路を塞ぐように森からヒートベアーが出てきた。


「やばいぞ!」


「ああ!」


 ビルは焦りから声を上げ、カイルも冷や汗を浮かべた。


 ヒートベアーは全身から高熱を発している熊型の魔物だ。

 近づけば熱で肌が焼け付くことになる。

 さらに、頑丈な毛皮に阻まれて碌にダメージを与えられない。


 クレアの火魔法との相性も悪いので、カイルたちでは太刀打ちできない。


 しかし、道は完全にヒートベアーに塞がれており、迂回することもできない。


 カイルたちが囮になってヒートベアーを道から引き離して、依頼主の2人をなんとか逃がすので精一杯だろう。


 だが、それには死地に飛びこむ覚悟が必要だ。


「くそっ!」


 カイルは悪態を吐いた。


 ヒートベアーは体から蒸気を発して馬車を待ち構えている。


「馬車を止めてくれ!」


「ヒヒーン!」


 カイルが声を上げると、馬が嘶き馬車が急停止した。

 御者をしている白いフードの女にカイルの声が聞こえていたようだ。


「うおっと!? 何だい!?」


 驚きつつも馬車の揺れに耐えている灰色のローブの男が声を上げた。


「ヒートベアーが出ました」


「へー」


 カイルはヒートベアーが危険な存在であることも伝えたが、灰色のフードの男の反応は薄かった。

 それどころかまったく恐がっていない。

 今まさに命の危険が迫っているというのに、平常心そのものだ。

 もしかしたら、実感がないだけなのかもしれないが。


 ただ、カイルたちのやることは変わらない。


「俺たちが囮になります。その隙に逃げてください」


 そう告げてから、カイルたちは馬車を降りた。


「俺たちであいつを道から遠ざけるぞ」


 カイルは皆の顔を見回した。


「おう!」


「わかったわ」


「わかりました」


 顔色は悪いが、ビル、クレア、ホリーは頷いた。


 覚悟は決まったようだ。


「よし、行くぞ!」


 カイルが先陣を切ってヒートベアーに向かって行こうとしたその時、


「どいてください。私が行きます」


「え?」


 唐突に掛けられた言葉に勢いを削がれたカイルが振り返ると、白いフードの女がいた。

 白いフードの女は、決死の覚悟でヒートベアーに挑もうとするカイルたちを下がらせて前に出ると、腰から剣を抜いた。


「「「「……!」」」」


 その剣を見たカイルたちは息を呑んだ。


 その剣の刀身は、一目でカイルたちの持っている武器よりもかなりグレードが高い物だということがわかった。


「さっさと片づけましょう」


 呆気に取られるカイルたちを余所に、白いフードの女が動き出した。


「あっ!」


 気付くと、すでに白いフードの女はヒートベアーとの距離を詰めていた。


「いくらなんでも一人でなんて無茶だ!」


 カイルが叫ぶが、白いフードの女は止まらない。

 そして、白いフードの女に向かって、ヒートベアーの大きな腕が迫った。


「「「「!」」」」


 皆の表情が青ざめた。


(なんとか庇わないと……! ダメだ! 今から行っても間に合わない!)


 カイルがそう思ったその時、白いフードの女が声を上げた。


「光煌剣!」


 すると、彼女の持っていた剣が白く光り輝き、剣から光の刀身が伸びた。


 そして、白いフードの女はカイルたちの心配を余所に、ヒートベアーの腕を危なげなく躱し、白く光る剣を振り抜いた。


 一閃。


 光が通りすぎると、ヒートベアーの上半身が立ったままの下半身から滑り落ちた。

 ヒートベアーの上半身が地面に落ちるのと同時に、下半身も倒れた。

 地面に血のシミが広がる。


「「「「……」」」」


 何が何だかわからず、カイルたちは呆然とした。


「いやーすごいね!」


 いつの間に馬車から出てきたのか、灰色のフードの男が興奮した様子で白いフードの女に声を掛けていた。


「それほどでも」


 対して白いフードの女は淡白な返しをした。


 白いフードの女が持っていた剣はすでに鞘に収まっていた。


 白いフードの女には返り血の一滴もついていない。


「なあ、俺たち必要なくないか?」


「確かにな」


「そうね」


「私もそう思います」


 ビルの発言にカイルが同意すると、クレアとホリーも頷いた。


 すると、白いフードの女がカイルたちに近づいて来た。


「ええと、ありがとうございます」


 カイルは姿勢を正してお礼を述べた。


「礼はいいわ。それより、素材が欲しければどうぞ」


「え? いいのか?」


 カイルは思わず間の抜けた声で聞き返した。

 普通は倒した者が素材の権利を得るのだが、譲ってくれるらしい。


「私たちには必要ないので」


 白いフードの女は言うだけ言ってさっさと馬車に戻っていった。


「あ……えーと……本当に良いんですか?」


 呆気に取られながら白いフードの女を見送ったカイルは、仕方なく灰色のフードの男に尋ねた。


「うん。全然問題ないよ」


 灰色のフードの男は笑いながらそう言って、馬車に戻っていった。


 金はあって困らないので、カイルたちはヒートベアーの素材を回収した。


「さすがに申し訳ないな……売り上げは折半にしよう」


「そうだな」


「そうですね」


「それがいいわね」


 カイルたちは軽く話し合いをして、素材の売り上げは白いフードの女とカイルたちのパーティで折半するということで、意思を統一した。


 素材を運び終わると、カイルたちは白いフードの女に声を掛けられた。


「念の為言っておきますが、私の力は当てにしてもらっては困ります。気は抜かないように」


「え、あ、は、はい」


 カイルがしどろもどろになりながら答えると、白いフードの女は特に何も反応せずに御者席に座り、いつでも出発できる態勢に入った。


「(さっきの話聞かれてたか?)」


「(かもな)」


「(帝国に着くまでは気は抜かないようにしないとな)」


「(そうだな)」


 カイルとビルは小声で話しながら馬車に戻った。


「ちょっとくらいなら、手助けしてもいいんじゃない?」


「可能な限り力は温存しておかないと。何が起こるかわかりませんから」


「でも、彼らがいないと僕たち困るよ?」


「……そうですね。では、彼らでは手に負えなさそうな手合いであれば、私が相手をしましょう」


「おお! よかったね君たち!」


「は、はあ」


 灰色のフードの男の説得により、カイルたちの手に負えない魔物は白いフードの女が倒してくれることになった。


「自分たちの不甲斐なさを嘆くべきかどうか悩むな」


「いや、逆に良かったんだ。俺たちが苦戦する相手は倒してくれるんだし」


「そうだな。前向きに考えよう」


 カイルとビルは自分たちを納得させた。


 そうして白いフードの女の助けもありつつ、カイルたちは無事に帝都へとたどり着いた。


 依頼人2人は怪しいことこの上ない格好だったが、どういうわけか門番の手続きは滞りなく終わり帝都の中に入れた。


 本来ならここで護衛の仕事は終了なのだが、冒険者ギルドで馬車に積んである魔物の素材の買い取りをしてもらうので、カイルたちはこれから冒険者ギルドに向かわないといけない。


「また街並みが変わっているな」


 カイルが呟いた。

 帝都では魔法技術の研究開発が盛んに行われており、開発または発見した新技術をいち早く取り入れるため、国主導で街の再開発が行われており、すぐに街並みが変わるのだ。


 帝都で育ったカイルたちには、見慣れない景色に慣れている。


 とはいえ変わらないものもあり、道が多少変わっていても冒険者ギルドの場所は変わらない。


 御者をしている白いフードの女にカイルたちが道を教えることで、特に迷うこともなく冒険者ギルドに辿り着いた。


 停留所に馬車が停まり、カイルたちは馬車を降りて冒険者ギルドに魔物の素材の買い取りを頼んだ。


「いやあ、助かったよ。ありがとう」


「いえ、こちらこそ世話になりました」


 すべての素材の買い取りが終わり、灰色のフードの男と代表してカイルが挨拶を交わしていた。

 ヒートベアーの素材や白いフードの女が倒して譲ってくれた他の魔物の素材の売り上げは、きちんと折半した。


「これで依頼完了だね。機会があれば、またよろしく」


「はい、ありがとうございました。こちらこそ、よろしくお願いします」


 カイルは、灰色のフードの男から依頼完了の書類を受け取って礼を述べた。


 別れを済ませ、2人を乗せた馬車が遠ざかっていった。


「行っちゃいましたね」


「そうね。見た目は怪しいやつらだったけど、話すと案外まともだったわね」


「そうですね」


 クレアとホリーが話している。


「しかし、一撃でヒートベアーを倒してしまうなんて……いったい彼女は何者なんだ?」


「さあな。凄腕の冒険者か、どっかの国のお抱えとかじゃないか?」


「凄腕の冒険者なら俺たちを雇う必要がないだろう?」


「まあ、そうだよな」


「国のお抱えかどうかはわからんが、訳ありなのは確かだな」


「まあ、気にしても仕方ない。もう会うこともないだろうからな」


「そうだな」


 カイルとビルは笑いあった。

 そして、カイルたちは宿に向かった。


「あれ? 君たちもこの宿に泊まるんだ?」


 宿の食堂で灰色のフードの男が飯を食べていた。

 隣には白いフードの女もいる。


「「「「……」」」」


 あまりにも早い再会に、カイルたちはなんともいえない表情になった。


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