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換金と坑道の情報

あまり話が進まないです。すみません。


前回のあらすじ。

一応剣は直してもらえることになった。



 宿に帰ってきたベルムートたちは夕食を頼んだ。

 出てきた料理はパンとサラダと肉の入ったスープで、普通においしそうだった。

 食糧にはあまり困っていないのかもしれない。

 アンリは笑顔でもぐもぐ料理を食べていた。

 エミリアは何か考え事をしていたようだが、特に話はしなかった。

 食べ終わると、アンリとエミリアは相部屋で、ベルムートは別に部屋を借りていたので、それぞれ部屋に戻った。



 翌朝。

 ベルムートたちが朝食を食べていると、エミリアが話を切りだした。


「坑道を調べてみたいのだけどいいかしら?」


「どうしてだ?」


「この間、王国でも異変があったでしょ? この件も何か関係があるかもしれないし、関係なくても将来的には問題になるかもしれないから、原因を知っておきたいのよね」


「ふーむ……」


 ベルムートの用事は急ぐほどでもない。

 それに、望みは薄いがこの都市にも強者がいるかもしれないので、少しくらい滞在するのは問題ないとベルムートは判断した。


 むしろ、エミリアの方が支障がでるはずだとベルムートは考えていた。


「話は分かったが、エミリアは任務で帝都に行くのだろう? 寄り道していていいのか?」


「少しくらいなら大丈夫よ」


「そうか。エミリアが構わないのなら、私も問題ない」


 雇い主であるエミリアの意向ならば、ベルムートとしても特に反対する理由もない。


「アンリはどうだ?」


「うん、わたしも平気だよ。それにゴーレムと戦ってみたいし」


 ベルムートが尋ねるとアンリは元気よく答えた。


「決まりね。と言っても行くのは剣が直ってからになるわね」


「そうだな。今日のところはまずギルドに行って、お金を得た後に少し坑道の情報を探るくらいだろう」


 朝食の後、アンリの要望で、ベルムートたちは馬の様子を見てから宿を出て冒険者ギルドに向かった。


「あ、どうも……」


 今日の受付もクラーラだった。

 相変わらずギルド内に人はあまりいない。


「昨日の素材の査定は終わっているか?」


「はい……こちらへどうぞ……」


 席を立ったクラーラについていき、ベルムートたちは倉庫に入った。


「おう、きたな」


 暇そうにしていたデリンがすぐにベルムートたちを見つけて声をかけてきた。


「鍛冶屋の件は助かった」


「見つかったのか」


「ああ」


「どこの鍛冶屋だ?」


「ドリンという者がいる鍛冶屋だ」


「ははは! そうか! そいつは良かった!」


 ベルムートの話を聞いて、デリンは嬉しそうに笑った。


「それで査定はどうなった?」


「ちゃんと終わってるぞ。査定の結果だが、スプリンクルスパロウの討伐報酬は1体銅貨2枚で計14体討伐してるから小銀貨2枚と銅貨8枚、デスパレートラビットの討伐報酬は1体銅貨5枚で計18体討伐してるから小銀貨9枚、クロッドゴートの討伐報酬は1体小銀貨5枚で計5体討伐してるから銀貨2枚と小銀貨5枚、ヒートベアーの討伐は1体たげだから討伐報酬は金貨1枚だな。素材の買い取りの値段はスプリンクルスパロウの肉が1体につき小銀貨2枚だから14体で銀貨2枚と小銀貨8枚、デスパレートラビットは1体につき肉が小銀貨5枚で毛皮が銅貨3枚だから18体で銀貨9枚と小銀貨5枚と銅貨4枚、クロッドゴートは1体につき肉が銀貨5枚で毛皮が小銀貨1枚だから5体で小金貨2枚と銀貨5枚と小銀貨5枚、ヒートベアーは1体で肉が金貨2枚と小金貨2枚で毛皮が金貨1枚だな。ヒートベアーの毛皮は傷が多いから多少値が下がってるが、綺麗な方だからこの値段だ。ほとんど傷がなければ金貨3枚はくだらないが、ここまで原型を留めているだけで大したもんだ。あとはクロッドゴートから出た小さな魔石が3つで小金貨3枚、ヒートベアーから出たそこそこの大きさの魔石が金貨1枚ってところだな。そこから解体費用の小銀貨5枚を差し引いて合計で金貨5枚と小金貨9枚と銀貨1枚と銅貨2枚だな」


(さすがにオークの住処を壊滅させたときよりは収入が少ないな。まあ、これだけ稼げれば困ることもないが)


 ベルムートは改めてオークの価値を知ると共に、十分な収入に満足した。


「思っていたよりもヒートベアーの毛皮の買い取り額が高いわね」


 エミリアが呟いた。


「ヒートベアーの毛皮は火に耐性があるし、防御力も優れているから防具にちょうど良い。他のところに卸せば需要があるから、もう少し値が釣り上がるかもしれない。ただ、その場合は少し時間がかかるが、どうする?」


 デリンに尋ねられたエミリアはちらりとベルムートに視線を送ってきた。

 判断はベルムートに委ねるらしい。


「いや、いい」


 お金は今受け取っておきたいと考えたベルムートはデリンの申し出を断った。


「そうか。んじゃ、これが金だ」


 ベルムートはデリンからお金の入った麻袋を渡された。

 ベルムートは念の為麻袋の中身を確認した。


「確かに」


 特に問題はなかった。

 これでベルムートは帝国の貨幣を手に入れることができた。


(しかし、ほとんど王国の為替相場と変わらなかったな。まあ、店を回ってみないと断定はできないし、帝都での物価も違うかもしれないが)


 ベルムートから見ると、都市ドルディグの物価は武器関係を除いて安定しているようだった。


 金銭を獲得したベルムートは、もう一つの目的を達成するためにデリンに尋ねることにした。


「それで、坑道に行ってみたいんだが、私たちでも入れるのか?」


「なんだゴーレム退治でも引き受けてくれるのか?」


「少し坑道を調べたいと思ってな。ついでにゴーレムもどうにかできれば対処するつもりだ」


「そうか」


 ベルムートの話を聞いて、好感を抱いたデリンが笑った。


「クラーラ、説明してやれ」


「はい……坑道の出入りに関しては、普段はここの領主が立ちあげた鉱山組合で許可を取り仕切っているんですが、今は特例で採掘依頼を受けてくれるなら冒険者ギルドで許可を出せることになっています……」


「そうなのか」


 クラーラの話にベルムートは理解を示した。


「まあ、この採掘依頼を受けるにはCランク以上必要だし、たいしたうまみもないから正直ボランティアみたいなもんだ。実際Cランク以上なら護衛依頼を受けた方が実入りがいい」


 デリンが補足した。


(ふーむ……まあ、鉱山組合とやらに顔を出す手間が省けるなら依頼を受けても構わないだろう)


 少し考えた後ベルムートは依頼を受けることに決めた。


「この依頼を受けようと思うが、2人はいいか?」


「ええ」


「うん」


 ベルムートが聞くと、エミリアとアンリが頷いた。


「本気か?」


「ああ」


 デリンに尋ねられてベルムートが頷くと、デリンは少し呆れた表情になった。


「おい、クラーラ。依頼の手続きを先に済ましておけ」


「はい……」


 デリンに言われて、クラーラは手続きのために倉庫から出ていった。


「それで他にも聞きたいことがあるんだがいいか?」


「いいぞ」


 ベルムートが話しかけると、デリンは頷いた。


「坑道の中はどうなっている?」


「あー……ゴーレムが出る以外には特に変わったところはないな」


「崩落の危険は?」


「魔法で天井と床と壁を補強してるし、支えになる木枠も一定間隔で作ってるから、危険は最小限に抑えられてるぞ」


「なら、坑道に行く際に必要な物は?」


「魔力での明かりだな。坑道内にも魔道具の照明はあるが、一応自分たちでも用意しておくといい。火を使うと空気がなくなるからな。それと塵が舞っているだろうから呼吸しやすいように口を覆う布があるといいかもしれない」


「わかった」


 ベルムートがいろいろと質問すると、デリンはできるだけ答えてくれた。


「坑道って私たちの身長でも入れるのかしら? ドワーフの大きさに合わせてるんじゃないの?」


「いや、鉱山労働者はドワーフ以外の種族もいるからそれなりに広くつくられている」


「なら大丈夫ね。ゴーレムの強さは?」


「Dランクなら少しきついが、Cランクなら油断しなければ問題ない程度の強さだな」


「なるほどね」


 エミリアの質問にもデリンはちゃんと答えてくれた。


「できました……」


 クラーラが依頼書とインクとペンを持って戻ってきた。

 ベルムートは、渡された依頼書にいろいろと書き込んでクラーラに返した。


「はい大丈夫です……ありがとうございます……」


 これで手続きが終わった。


「ツルハシ持ってくか? ギルドで貸し出しているが」


「いや、魔法でどうにかするから必要ない」


「ん? おまえさん土魔法が使えるのか」


「ああ」


 ベルムートがデリンの質問に答えると、デリンは少し驚いた表情をした。


「なんだよ、じゃあそれなりに稼げるんじゃねぇか?」


「かもしれないな」


 ベルムートがそう言うと、デリンはくつくつと笑った。


「まあ、がんばってくれ」


「ああ」


 デリンの言葉にベルムートが軽く頷い後、ベルムートたちは倉庫を出た。


「気をつけてね……」


「うん、ゴーレム倒してくるよ!」


 クラーラに見送られながらアンリが答え、ベルムートたちはギルドを出た。



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