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幕間 とある普通の冒険者たち

前回のあらすじ。

ベルムートたちは王都を出た。



 都市サルドでなんとかCランクに昇格したカイル、ビル、クレア、ホリーの普通の冒険者パーティは、牛の化け物やオーク、盗賊に襲われながらもなんとか生き延び、昨日の紫ゴブリンとの戦いでも死にそうな目に遭いながらも誰ひとり欠けることなく無事に生き残った。


 そして今日、カイルたちのパーティでは、王都を出て別の場所に行こうという話になり、ちょうど良い護衛依頼でもないかと冒険者ギルドを訪れたところ、2人組の男女の冒険者が騒いでいるところに出くわした。


「あいつらはどこにいったんだよ!」


「教えなさいよ!」


 2人組の男女はすごい剣幕でザックに詰め寄っている。


「あの2人って……確か昨日、強力な炎の渦の魔法で紫ゴブリンを蹴散らしていた人たちよね?」


「そうだな」


 クレアの言葉にカイルは頷いた。


「だから、知らねぇって言ってるだろうが! まあ、知ってても教えねぇけどな!」


「「ぐぬぬ……」」


 まったく動じていないザックの発言を聞いて、2人組の男女は歯噛みした。


「もういい! 自分たちで捜す!」


「あっかんべーっだ!」


 かなり子どもじみた文句を言って、2人組の男女は冒険者ギルドから出ていった。


「やれやれ……」


 ザックは額に手を当てて呆れている。


「あの、大丈夫ですか?」


「お! お前らいいところに来たな! ちょうどお前ら向けの依頼がきてるぜ!」


 カイルが声をかけると、さっきまでの様子が嘘のように努めて意識を切り替えたザックが明るい声を上げた。


「俺たち向けの依頼ですか?」


「ああ、実はここから帝国の帝都までの護衛依頼がきてるんだが、お前ら受けてみないか?」


「「「「え?」」」」


 カイルたちは顔を見合わせた。


「ランクもCに上がったし、一度帝国に戻るってのも悪くはないんじゃないか?」


「そうですね」


 ビルの発言に、ホリーが同意した。


「そうね。でも、依頼内容をちゃんと聞いてから決めた方がいいと思うわ」


 クレアは慎重だ。


「そうだな……。とりあえずは、詳しい話を聞かせてもらえないことには決められないですね」


「ははは! まあ、そうだよな! なら、今ギルドの部屋に依頼主がいるからいっぺん会ってみるか?」


「はい」


「よしきた」


 ザックは笑顔でカイルたちを先導し始めた。

 カイルたちがザックについて行くと、ギルドに設けられた部屋の一室の前に案内された。

 ザックは扉の前でノックをしてから部屋の中の人物に向かって声をかけた。


「ザックです。依頼を受けてくれそうな冒険者を連れてきましたぜ」


「はいはいどうぞ入って」


 部屋から軽い感じの男の声で返事が聞こえた。


 ザックが扉を開けて中に入り、カイルたちが後に続いた。

 部屋の中には、フードを目深に被った怪しい人物が2人向かいあうようにソファーに座っていた。

 片方は全身白色で、体つきから辛うじて女性だということがわかった。

 もう片方は全身灰色で、こちらは普通に男性だということがわかった。


「ザックさん、あの2人めちゃくちゃ怪しいんですけど……」


「ははは! まあ、なりはああだが悪いやつらじゃないぜ」


 カイルが小声でザックに問いかけると、ザックはまったく気にした様子もなく笑って返した。

 失礼だとは思いつつも、カイルたちは4人ともフードの2人に胡散臭そうな視線を向けた。


「いやぁ、そんな目で見られると困っちゃうなぁ」


 全然困ってない口調で灰色のフードの男が言った。


「すみませんね」


「いいからいいから」


 謝るザックに対して、灰色のフードの男は手をひらひらと振りまったく気にしていない素振りをした。


「あ、報酬は金貨50枚でどう?」


「「「「はぁ!?」」」」


 そして、灰色のフードの男からなんの脈略もなくあまりにも唐突に告げられた内容に、思考が追い付いていないカイルたち4人の声が綺麗にハモった。


「はははは! いやぁおもしろいね君たち。気に入ったよ! ぜひ、君たちに僕たちの護衛を引き受けて欲しいなぁ」


 灰色のフードの男は冗談めかして言っているが、割と本気だということはカイルたちにも伝わってきた。


 正直かなり胡散臭いとカイルたちは警戒していたが、熱心にザックからあれやこれやと説得された結果、カイルたちはしぶしぶ護衛依頼を引き受けることになった。


 それから、準備を整えたカイルたちは、フードの2人が用意した木と鉄で出来た速さよりも頑丈さに重きをおいた馬車に乗り、帝国に向かうべく王都を出発した。



これまでの時系列をざっくり整理。

・オークをベルムートが倒す。

 エミリアはフィルスト村の調査。

・ベルムートとアンリが王都に到着。

 エミリアは都市サルドに到着。

・ベルムートとアンリはサディアスの家でのんびり。

 エミリアは盗賊を討伐。

・ベルムートとアンリはエミリアと戦闘。

・騎士団が紫ゴブリンと戦闘。

 ザックたちが畑の魔物と戦闘。

 ベルムートたちはルリアと戦闘。

・ザックたちは紫ゴブリンと戦闘。

 遅れてきたベルムートたちが壁の外にいた紫ゴブリンをほぼ殲滅する。

 騎士団は超巨大紫ゴブリンに手も足も出ない。

・二迅の炎嵐がベルムートたちと戦闘。

 国王によって王都を守る結界が発動。

・超巨大紫ゴブリンが消滅し騎士団が沸く。

 冒険者たちが壁の内にいた紫ゴブリンを倒しきる。

 ベルムートたちが冒険者たちに合流。

 国王が暗殺される。

・カイルたちが怪しいフードの2人組を連れて帝国に出発。

 その後、ベルムートとアンリとエミリアも帝国に向けて出発。

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