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女騎士、盗賊討伐! 前編

すみません。

やっぱり長かったので分割しました。


前回のあらすじ。

□□◇◇    ◇◇□□

□□◇\(^o^)/◇□□(゜д゜)(゜д゜)



 翌朝。

 作戦を立て準備を整えたエミリアたちは、盗賊討伐に向けて出発した。


 2台の幌馬車が林の中にある道を疾駆する。

 エミリアたちは、幌馬車1台につき5人一組のチームで乗っていた。

 前の馬車にはエミリア、メリッサ、シンディ、モニカ、リタが乗っており、メリッサが御者をしている。

 後ろの馬車にはノーレン、ミシェル、サラ、ソニア、グレンダが乗っており、ノーレンが御者をしている。


「そろそろ後詰めの部隊が出発する頃ね」


 だいぶ日も高くなった頃、簡単な食事を取りながら先頭の馬車に乗っているエミリアが呟いた。

 エミリアたちが出発した後に、時間差で都市サルドからの部隊が来る手筈になっている。


「そうですね」


 メリッサが頷いた。


「まさか、うちらが囮にされるとはっす」


 シンディが嘆いた。


「まあ、女だらけの隊ですものね」


 モニカが頬に手をあてて言った。


「なんか、捨て駒にされたみたいでやる気出ないっす」


 シンディは不貞腐れている。


「そんなこと言ってないで、しっかりしなさいよ。馬車から落とすわよ?」


 御者席にいるメリッサが背中越しにシンディを睨んだ。


「じょ、冗談っすよ! 任務なんで、やることはやるっす!」


 慌ててシンディが弁解する。


「リタ、体調は大丈夫?」


「ばっちり」


 エミリアがリタを気遣う。

 リタは十分な睡眠をとったおかげで、クマが取れて元気を取り戻している。


「後ろの皆はどうしてるのかしらね」


「さあ? エミリア様と一緒の馬車に乗れなかったことを嘆いてるんじゃないっすか?」


「ありえる」


 モニカの疑問にシンディが答えて、リタが同意した。


 その後、盗賊に出会うこともなく、エミリアたちを乗せた馬車は順調に進んだ。

 日が暮れ始めたところで、馬車を停めて野営の準備をする。


「来なかったっすね」


 シンディが木の枝と石を組んで、たき火ができるようにする。


「そうね。でも、王都に着くまでは油断は禁物よ」


 モニカが食材を切る。


「うん、禁物」


 リタが魔法でたき火に火を着ける。


「わかってるっすよ」


 シンディも調理に取り掛かる。


 サラとソニアは馬の世話、ノーレンとエミリアは道中何があったかの確認と今後の話し合いをしており、ミシェルとグレンダは付近の捜索に出ている。


 馬の世話と食事の準備が終わる頃、ミシェルとグレンダが偵察から戻ってきた。


「このあたりには人はいないみたいです」


「魔物も全然いなかったな」


「そう、ありがとう2人とも。それじゃあ、食事にしましょうか」


 エミリアがミシェルとグレンダを労った。

 皆でたき火を囲んで食事を取る。


「今日は盗賊現れませんでしたね」


 メリッサが口を開いた。


「そうね。でも、目撃地点はまだ先だから」


「それもそうですね」


 エミリアの発言にメリッサが頷いた。


「それより、エミリア様と一緒の馬車はどうだったのよ?」


 ソニアがメリッサに尋ねた。


「どうって言われても、特に何も?」


 メリッサは首を傾げた。


「みんなで楽しく女子トークしてたっすよ!」


「そうね」


「うん、シンディの言う通り」


 シンディが悪戯っぽい笑顔で答えると、モニカとリタも肯定した。


「何それ羨ましい」


 ソニアが恨めしそうな表情でエミリア以外の先頭馬車組4人を見やった。


「私もエミリア様と一緒の馬車が良かったなー」


 サラも言葉を漏らした。


「ねえ、誰か代わってよー」


 サラが4人に目配せした。


「嫌っす」


「嫌」


「お断りするわ」


「ローテーションです。仕方ありません」


 シンディ、リタ、モニカ、メリッサがきっぱり拒否する。


「むー」


 サラが頬を膨らました。


「あたしは? この前からエミリア様と一緒になってないんだけど」


「グレンダに選択権はない」


 グレンダが口を挿むが、リタにバッサリ切られる。


「ていうかグレンダ、馬車の中で寝てたじゃない」


 ソニアがグレンダを非難する。


「だってやることねえんだもん」


「いや、あるでしょ。周囲の警戒とか」


「ミシェルがいるから必要ないだろ。なあ?」


 ソニアと話していたグレンダが突然ミシェルに話を振った。


「え? あ、そ、そうですね」


 話を振られると思っていなかったミシェルは、よくわからないままグレンダの言葉に頷いた。

 ミシェルはテオのために食事を木皿に取り分けていた。

 よく見るとあまり顔色が良くない。


「ミシェル、大丈夫?」


「いえ、少し疲れただけです。たいしたことありません」


 エミリアが尋ねると、言葉通り少し疲れた表情で答えるミシェル。

 ミシェルはテオと一緒に視界を共有して一日中周囲を警戒していた為、見た目以上に疲労していた。


「ミシェルとテオは夜の見張りから外しましょう」


 それを察したエミリアが皆に提案すると、ミシェル以外の全員が頷いた。


「いいですよそんな」


 ミシェルはみんなに悪いと思ったのかそんなことを言った。


「ダメよ無理しちゃ」


「そうよミシェル。明日もあるし、ゆっくり休んで」


 モニカとソニアが心配そうに言った。


「あなたに倒れられたら、皆困るわ」


 エミリアの言葉に再度皆頷いた。


「……わかりました。みなさん、ありがとうございます」


「ピィ!」


 ミシェルがお礼を述べるとテオも返事をした。


「よし。それじゃあ、あとの皆で2人ずつ交代で見張りをしましょう」


 エミリアが皆に提案する。


「それだと1人余りませんか?」


 メリッサが尋ねた。


「そうね……そうじゃあ、グレンダは2回ね。始めと最後」


「え!? なんであたし!?」


 エミリアの発言に思わずグレンダが聞き返した。


「だって、馬車で寝てたんでしょう?」


「あ……」


 エミリアの返答にグレンダが固まった。


「自業自得ね」


 さすがのメリッサも同情の余地なしとため息を吐いた。


 こうして誰の反対意見も出ずにミシェルの分の見張りがグレンダに決まった。


 その後、エミリアと一緒に誰が見張りをするかでひと悶着あったが、最近エミリアと組んでいないグレンダがエミリアと一緒に見張りをすることで決着がついた。


 それから夜になり食事も終わって、皆それぞれ馬車に戻って寝る準備をしたり、見張りのために移動したりしていた。


「じゃあ、私は外で寝ますので」


「悪いわね」


「しょうがないですよ」


 気を遣うノーレンに対して申し訳なさそうにするエミリア。


 ノーレンは、地面に布を一枚敷いて毛布にくるまった。


 エミリアは見張りのためにグレンダのもとへと向かい、交代までグレンダと他愛もない話をして過ごした。



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