子離れしないといけない件について(仮)
「結婚?」
「ああ」
確かに、高校一年生といえば、女性なら結婚ができる歳ではある。
かおるは、トシコを見る。
「だから、俺は結婚なんてしませんから!」
「見合いだけでも、いいじゃないか。相手にあえば気が変わるかもしれないじゃないか」
2人はそんなやり取りを何回がする。
「あの?」
2人の会話が落ち着いたときにかおるが尋ねる。
「なんで、こんな拉致するようなことを?」
「それは、トシコがまるで言うことを聞かないのと、あの戦いからトシコを離脱させるためだな」
「まさか! 俺のこと常に見張ってたんですか!」
「当たり前だ! 愛する娘を見守るためなら、俺はどんな手でも使うぞ!」
「いい加減、子離れしてください!」
「うるさい! いいから、お前は俺の決めた婿と結婚して、子供を3人は産んで、幸せに生活するんだ」
その言葉を残して、トシコの父親は部屋から出て行く。
「はあ、はあ、はあ」
トシコは父親との言い争いで大分疲れていた。
かおるは、天井を見ながら思う。自分がどうして、トシコと共に連れ去られてのか。一番聞かないといけないことを聞き忘れた。
「かおる」
「ん?」
「本当に、俺の個人的な問題に巻き込んでしまって申し訳ない」
トシコが頭を下げる。
「まあ、今更どうこう言っても仕方がないからな。今はこの状況をどうにかすることを考えよう」
「それなんだが、いい方法があるんだ」
「え? それって、どんな?」
「それが・・・・」
トシコは言いづらそうに口ごもる。
「この場だけの話なんだが、その・・・」
「なんだよ? いい方法があるなら言えよ」
「父上は、俺が結婚さえすればいいと考えているんだ。だから、そこさえクリアすればいい」
「つまり?」
「俺達が付き合ってることにすればいい」
トシコは、顔を真っ赤にして、すぐさま伏せる。
「・・・・・・・・」
「なんか、言えよ!」
「・・・・、いや、ごめん、唐突だったから」
「これなら、父上は満足すると思うんだ」
かおるは、このとき思った。絶対に上手くいかないと、先ほど、かおるがトシコの父親をお父さんと呼んだときの彼の怒り様、あれは自分の娘に変な虫が付くことを許さないという意思によるものだ。
「えっと・・・、その、もう少し考えよう」
「いや、確かに、俺みたいなやつとそういう関係になりたいとは思わないかもしれないけど、今回は状況が状況だからさ、それは我慢してさ・・・」
「いや、別に篠原が嫌とはじゃないって、むしろ篠原はかわいい部類に入ると思うぞ。そこじゃなくてさ」
「俺が、かわいい?」
トシコは顔が再び真っ赤になる。
そのとき、再び、部屋の扉が開く。
「すまない。さっきはつい頭に血が上ってしまった」
しょんぼりとしたトシコの父親が入ってくる。
トシコは、その言葉を無視して、顔を背ける。
「あ・・・」
トシコの父親の顔が見る見るうちに真っ青になる。
かおるはその状況を見て、いったい自分はどうして、こんな茶番につき合わされているのかと思った。
「トシコ、先ほどまでの俺の言動は謝罪する。でも、一回、まともにお見合いをしてみてはどうだ? 今回の相手はすごいぞ。あの有名な忍一族、阿久津一族のご子息だぞ。お前も気に入るかもしれない」
「父上!!」
トシコの眼光が、自らの父親を射抜く。
「残念ながら、俺にはすでに将来を誓った人がいます」
「え? いや、俺の調べではそんな人間は一人もいないはずだ」
(いやいや、俺の調べって、どんだけ娘のこと調べてるんだよ)
それにしても、まずい状況だ。絶対に、これからトシコが言う言葉で、彼女の父親はかおるのことを目の敵にすることになる。
トシコの言葉を防がなければ・・・
「あの、トシコさんの父上!!」
お父さんと言わないようにしたら、変な表現となってしまった。
「なんだ? 今、君と話をしている時間はない。おい! トシコ! どういうことだ!?」
「あの!」
「トシコ!!」
「俺は、この横にいる人物、稲垣 かおると将来を誓い合った仲だ!!」
(防げなかった・・・・)
付き合うことにするはずが、何かもっと大きなものになってしまっている気がする。
「なん・・・だと・・・?」
トシコの父親は、鋭い眼光をかおるに向ける。明らかに殺意がこもっているものだった。
そして、瞬時にかおるとの距離を詰めてくる。
かおるの鼻先に、トシコの父親が迫る。
「少し話をいいかな? 稲垣 かおる君・・・」
「はは、お手柔らかに・・・」
かおるは、無理に微笑む。
「父上、そういうことなので、お見合いはお断りします」
「トシコ・・・」
トシコの父親はかおるを指さす。
「どうしてこんな地味で、オーラのない人間がいいんだ!? どこがいいというんだ!? トシコおおおお」
(なんて、失礼な人なんだ!)
かおるは、目の前にいる人物を張った押したくなったが、できないので我慢する。
「父上! そのオーラがないのがいいのです! それでこそ、忍というもの! なんの取り柄もないのがいいんです!」
(全然フォローになっていない・・・)
「はは、随分な言われようだね。かおる」
「本当だよ。まったくやってられん!」
「でも、かおるはMだからなあ」
「おい! その発言は誤解を招くから撤回をしてくれ!」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。




