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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第一部 ハードボイルドがわからない件について(仮)
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外見と内面は一致しない件について(仮)

 

 場所は校舎裏にある錆びれた倉庫、昔、まだ日本が少子化になる前に作られた簡易更衣室として作られて倉庫だ。そこに現在かおると江良さんはいた。先ほど、江良さんに右腕の紋様を隠すのを手伝ってやるといわれてここまで、かおるはついてきた。入学してから校舎の裏側なんかに来るのは初めてだった。


 「まあ、適当に座ってくれや。」


 時刻は午前9時、かおるは江良さんに促され、入り口の近くにあるパイプいすに座る。倉庫は外見からは創造がつかないほど、整理整頓をされていた。広さは結構あり、両脇にロッカーがおいてある。中には江良さんが持ってきたのか、本当に倉庫として使われていた時期があるのか、いくつかの机といすが並べられていた。


 「どこにやったっけか?」


 江良さんは何かを探しているようで、ロッカーを開けたりしていた。かおるは手持ち無沙汰になり、スマホを開きながら、友達に一時間目にプリントなんかがあればとっておいてほしいと、お願いのメールを送る。


 「あった! これならその腕のやつも隠せるじゃろ!」


 かおるはその声を聞いて、今更ながらに、どくどくな話方をする人だなと思う。なにせ、学校での江良さんは無口で、しかもかおるとは学年も違う。普段の人柄なんてものは微塵もわからない。なので、目の前にいる人物の話方とフランクさにかなり不思議な感じがしていた。

 かおるは江良さんに返事をする。


 「それ、なんですか?」


 そこには、細長いものが握られていた。


 「これはサポーターじゃ。」


 「でも、えらく長くないですか?」


 「これは腕用じゃなくて、脚用のやつやからな。その分長いんじゃ、これならギリギリかくせんちゃうか? ほらつけてみい。」


 かおるは、そういわれ、それを渡された。明らかに汚かったが、ここで逆らうわけにはいかない。それに腕を通す。

 通してみると、本当にギリギリ、紋様が隠れた。しかし、つけるべきところに付けていないので、変な締め付けで気持ちは悪い。

 しかし、そんなことは江良さんにはわかっていないので、うれしそうにいう。


 「おお! ええやないか! なんかスポーツマンみたいやでお前!!」


 いきなり、スポーツマンでもなんでもないやつが、そんな格好をしてきたらどんな風に思うのか、江良さんはわからないようだ。まあ、本来のかおるの姿を知らないので無理はない。

 それにしても、昨日は包帯で、今日はサポータって、流石にみんなに変に思われるんじゃないだろうか?いやでも、サポーターなら中二病を疑われる心配はとりあえず回避できるかもしれない。


 「ありがとうございました。それじゃ、僕はこれで行きますね」


 「おう! 構わへん。もし、なんかあったらまた言ってきい。助けたるわ」


 江良さんはそういうと、かおるの肩をポンと叩く。助けると断言するほどこの人は自信があるんだな。すごいなと、かおるは思った。

 礼をして、かおるは倉庫を出た。それにしてもかなりいい人だったな。確かに、自分から絡んだりするようなタイプではないのはなんとなくわかっていたが、あそこまで接しやすいとは思わなかった。少し、押し付けてくるタイプではあるが。まあ、全然許容範囲だ。そう思い。校舎へと向かう。



 流石に、一時間目の途中から入るのは気が引けたので、一時間目が終わるまで図書室で本を適当に読んで時間を潰してから、二時間目までの休み時間に教室に入った。そのときにまっさきに声をかけてきたのは、岡本だった。


 「かおる。どうしたんだよ。一時間目」


 「まあ、寝坊かな」


 正直、静かに入ってきて、何事もなかったように二時間目から参加したかったので、派手なグループの岡本に話しかけてきて欲しくはなかった。別に岡本が嫌いなわけではないが、気分が沈む。


 「寝坊ってなんだよ。昨日何時にねたんだ?」


 「12時くらいかな。」


 「起きたのは?」


 「8時半くらい。」


 「それなら、間に合ったじゃん。なんで、わざわざ、二時間目から来るようなまねしてんだよ。」


 しまった。と思った。かおるだって、一時間目に間に合うように出てきたのだ。だが、ハプニングがあった。それを言うべきが迷うが、聞こえ方によったら、江良さんに絡まれたから遅れたという愚痴に聞こえる。それが江良さんの耳にでも入ったら大変だ。それなら、10時くらいに起きたことにすればよかった。


 「どうせ。中途半端なタイミングに入ってくるのはよくないとか言う変な思考を働かせたんだどうけどさ。もし、これが仕事とかだったら、絶対早くきたほうがいいからな? 変に自分の中で自己完結とかしたらだめだから」


 今日もえらく責められるな。まあ、確かに図書館で時間を潰して、二時間目に来るようにしたのは事実だ。まあ、いつものことだから聞き流しておこう。

 その後も、小言は続いたが、岡本の派手な友達が彼を呼んだところでそれは終了した。心配していた腕のサポーターのことはなぜか何も言われることはなかった。

 やっと終わったと思い。かおるはメールをしていた友達からプリントとノートを借りて、まだ時間もあるし、トイレにでも行こうと思ったとき、クラスメイトの女子から話しかけられる。


 「あの、稲垣君。これ、さっき宮内さんが来て渡してくれって言われたんだけど」


 「え?」


 かおるはクラスメイトが持っている紙切れを受け取る。それはルーズリーフか何かを破ってあるものだった。折りたたまれており、それをトイレまでの道のりであける。

 中には文字で書かれていた。


 我が同士よ。貴殿との会談を今日の牛の正刻にて

 行いたい。

 メンバーは、貴殿、我、忍ぶもの、輝きしものにて行う。

 会談場所は貴殿の胸の中にて行う。


                   覇竜を宿しもの


 それは、謎の会談の招待状であった。


 

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