いきなりどうしたんですか?な件について(仮)
かおるを飛ばそうとしていた竜もいなくなり、かおるがその場に落ち着く。
「何をした!?」
《お前ならわかるだろう? この力が》
「何をいって・・・・、まさか・・・!」
地面にうっすらと術式が浮かんでくる。
「わかっているの? こんなことをしたら、どちらかの力が永遠に消えることになるのよ!」
レヴィアタンが叫ぶ。
この状況に付いていけていない良太郎がかおるに問う。
「何が起きているんだい?」
「ベルゴがある魔法を発動したんだ。といっても、これは漆黒の力同士にしか関わりがないもの。その名も・・・」
《漆黒の祭典》
「漆黒の祭典は、漆黒の力を持つものだけが行使できる魔法らしい。それを発動するときは、あらゆる力が一瞬すべてなくなる。それのおかげで、どこにも飛ばされずに済んでよかった」
かおるは微笑む。
「その漆黒の祭典ってやつの詳しい効力は何なんだよ?」
竹市が問う。
「それは・・・・」
《漆黒の祭典とは、2人以上の悪魔が存在することによって成り立つもの、悪魔が残り一人になるまで戦い、残った一人の悪魔にすべての悪魔の力を与えるもので、敗れた悪魔は存在が消える。つまり、何回も人に宿ってきた俺たち七つの大罪の悪魔にとっては、最悪の魔法ってことになる》
ベルゴが他のものに対しての説明に加え、レヴィアタンに対して挑発も込めて言う。
「まさか、その術式をあんたごときが知っているなんてね。ベルフェゴール、地下にひっそりと炎をもぐりこませて術式を作っていたのね。しかも、それを悟られないように、定期的に地下からの攻撃を加えて、私の気をそらしたってわけか、あんたいつからそんな勤勉になったのかしら?」
《ふん》
レヴィアタンが空を見上げて、目を閉じる。
「でも、残念ね。あんたの宿主の体はもう限界、同等の力である戦いにおいて、なぜ、漆黒の祭典なんてものを行使したのか、私には甚だ疑問だけどね。まあ、どうあがいても無駄よ」
レヴィアタンが笑みを浮かべる。
「おいおい、それはお前もだろう?」
かおるが指さす。
「わざわざ、俺を遠くに飛ばそうとしたってことは、その体の消耗も案外早くて焦ったってわけだ。この勝負どうなるかわかんないぜ」
と威勢を張ってはみるものの、かおるの体が悲鳴を上げているのは事実だった。
それはかおるが一番感じている。そんなに持たないだろう。
「じゃあ、その考えが正しいのかどうか。証明してみなさいよ!」
漆黒の祭典ので戦いの場合、戦闘に参加できるのは悪魔のみ。この場合は悪魔を宿している人間のみだ。
だから、先ほどまでみたいに、良太郎たちに攻撃を加えることはできない。そんなことをすると、その瞬間に敗北が決まってしまう。
そのために半径50メートルの円状の結界ができあがっていた。
これはこの勝負が決するまで、誰にも破壊することはできない。
この漆黒の祭典を行使することが、まず最初のベルゴの作戦の一つだ。これができれば、そのほかの人間が、もしいた場合、その人間を利用されることを防ぐことができる。
そして、もう一つの作戦、これは作戦というものではない。ただ、単純にベルゴが本気を出すこと、それだけだとベルゴから、かおるは聞かされていた。
問題は、それまで、かおるの体が持つかどうか・・・。
結界の中で爆風が飛び交う。
それぞれの力がぶつかりあう。
しかし、同等の力だ。先ほどと同様に均衡状態が続く・・・かに見えた。
「もう、あなたの体は限界でしょう?」
「おい、レヴィアタン、お前、喋り方が怒ったときと余裕のときとで、一致してないぞ」
「減らず口も大概に・・・!?」
「今、何が起こってた?」
2人の戦いを見ていた竹市が呟くように言う。
なぜそんなことを言ったのかというと、あきらかにさっきまでとは違う出来事が起こっていた。
良太郎がそれに答える。
「かおるの攻撃が、レヴィアタンの攻撃をかき消しているみたいだね」
その言葉だけを聞くと、これまでと同じだ。
これまで、2人の力はそれぞれの力をかき消していた。
しかし、今は違う。
かおるはレヴィアタンの攻撃をかき消せているが、レヴィアタンはかき消すことができず。よけるか、攻撃の方向を変えるなどして、結果的に防いでいる形にはなっているが、押され始めていた。
「どういうこと!? なんで、私の攻撃がかき消されて、あなたの攻撃はかき消されないの!?」
《簡単なことだ。俺が怠惰だからだ》
次第にかおるの攻撃をレヴィアタンは防ぐことができなくなっていく。
かおるが、レヴィアタンに迫っていく。
「くそっ! どうして私の攻撃が!」
「これまでのことを悔いろよ! くそったれ悪魔が!!」
もう、レヴィアタンの攻撃はかおるのバリアすら、通過できなくなる。
かおるが、レヴィアタンに突進していく。
「来るな! 来るなあああああああ!!!!!」
かおるの鉄拳が、レヴィアタンの顔にクリーンヒットする。
レヴィアタンが、後ろの結界の端まで飛ばされ結界にぶつかる。
「す・・・すごい」
「何がどうなってんだ!?」
竹市と良太郎の2人もその圧倒的展開に、驚きを隠せない。
「なんでも、明日は作者の地域では朝から雪が降るって予報らしくて、作者はもしかしたら積もったりしないかな? なんて安易なことを考えているらしいよ」
「ただの子供かよ」
「足を打ってしまい打撲になってしまいました漆黒の鎧です。明日、雪が積もってますように」




