うそーんな件について(仮)
特別棟の中は、ほとんど明かりがない状況で、ほとんど窓もないので、月明かりも入ってこない。なので
、かおるの目がなれるには時間がかかった。
かおるは、炎でも出して周りを照らすことも考えたが、もしも、近くに人がいた場合、自分の位置をまんまと、相手に教えることになるので、それはやめた。
数秒、かおるは目を閉じる。そして、ゆっくりと開いた。
建物内の概要を把握できるくらいには、周りが見える。
特別棟の一階は、玄関から入ったすぐ前に大きな階段がドンと構えている。もし、これで装飾品でもあれば、どこかの大きなお金もちの屋敷にあるような階段だ。
特別棟の構造については、良太郎から、情報を聞いていた。といっても、良太郎といえども、すべての構造を知っているわけではないので、大まかな構造をである。
特別棟は、そのほとんどが階段で占領されている。今、かおるの目の前にある階段と同様のものが、六階まで連なっている。それから、要人を守るための部屋が10階まであるという。といっても、これもどこまでが本当であるかはわからない。
そして、先ほどの良太郎の言葉の通り、ここは、対魔術、魔法、異能力でできており、魔法電波なども通ることができにくい。
かおるは、階段の隅を足早に、しかし慎重にあがっていく。
この階段は、侵入者を正確に捕らえるためのもので、相手が決っして、簡単に逃げたり、上の階にあがることができないようになっているものである。
さっきの転移魔方陣でも作戦で、おそらく、この特別棟にいた人間も幾人かは、玄関に出たはずであるから、人は少なくなってはいるはずだが、そう簡単に動じるものばかりじゃないだろう。
かおるはいつ襲われてもいいように、今までよりも分厚いバリアを張る。
二階、三階、四階と上に上がっていく。
誰にも会わないし、襲ってもこない。
かおるは、それを不思議に思いながらも階段を昇っていく。
五階に上がった頃には罠はあった。何回か、機械的な動作の後に、やりが飛んできたり、銃弾が飛んできたりと、無人攻撃をされるようにはなる。
だが、それはかおるには効かない。もちろんバリアのおかげであるが、ここまで、侵入してきた相手にする攻撃にしては、威力の小さなものである。これは、初期に行うべき攻撃であり、こんな最深部で行うものではない。
それが、この攻撃を受けながら、かおるが感じたものであった。
そんなことを考えていると、もう7階にたどり着く、六階に上がったころには、大きな階段は無くなり、普通の病院のような様相になっていた。
かおるは、7階にある部屋を一つずつ開けていく。
7階にある部屋は、10部屋ほど、それを上がってきた階段から近いほうを、なるべく音を立てないように開けていく。
(何かが変だ。)
その違和感は部屋を開けていくたびに大きくなっていく。
一つ、二つとどんどん開けていく。
数を重ねるごとに、扉を開ける音は大きくなっていく。
気が付けば、目の前には最後の一部屋だった。その扉を開ける。
ガラっ・・・。
「なんでだ・・・?」
そこには、何もなかった。
(ここまで来て、なぜ? すべて、上手くいっていたはずだ。)
かおるは、必死に頭を働かせる。そこで、あるひとつの答えにたどり着く。
「まさか、ここまでの、すべてが罠・・・?」
いや、かおるは頭を振る。もしかしたら、良太郎の情報が間違っていたのかもしれない。7階ではなく。八階だったのかもしれない。六階だったのかもしれない。
かおるは、自分でも気が付かないうちにパニックになっていた。
これは、別に2人が部屋にいないことが大きな原因ではない。よく見えない建物の中で、誰からいつ襲われるかもわからない。そんな中にある。よくわからない攻撃、その攻撃により起こる光信号、それまで上手くいっていたのに、急に起こる失敗、なれない、今までの戦闘。
すべてが、かおるの精神を少しずつすり減らす効果を果たしていた。
《落ち着け。》
かおるが、パニックに陥って、混乱している脳にその言葉が聞こえる。
《お前が、パニックに陥って、本来の力が出せないようになったり、正常な判断ができないようになることが相手の狙いだ。わざわざ、それに嵌ってやる必要はない。》
かおるは、その言葉をゆっくりと聞いて、やっと自分がパニックになっていたことを認識した。
《まず。深呼吸をしろ。》
その言葉に習い、大きく息を吸い、ゆっくりと息を吐く。
(落ち着いたよ。ありがとう。)
かおるは、やっと平静とまではいかないが、落ち着きを取り戻した。
(まさか、こんな精神攻撃をしてくるとは思いもよらなかった。すべてが、相手の術中だったってことだよな?)
かおるは、最後にあけた部屋にあったパイプ椅子に座る。
《そうだな。そして、ここまで来るように指示したやつは誰だ?》
そう、その問いは予想をしていた。
かおるを、ここまで導いてくれて、その情報により、この作戦において、かおるを支えてくれたもの・・・。
「良太郎が、向こう側だったってことか・・・。」
「お前! 裏切り物だったのか!?」
かおるが、良太郎に詰め寄る。
「どうだろうねえ?」
良太郎に言葉い作者が続ける。
「どうでしょうねえ?」




