初めて人を殴った件について(仮)
雷が落ち終わり、爆風が少しずつ消えていく。
宮内は、爆風の中心から離れた位置からその様子を見ていた。その中心はかなり荒れている。
先ほどの爆発により、体育館のみならず、近くの校舎から、校庭まで、その影響は広がっていた。宮内も先ほどの攻撃で、かなり力を使ってしまい、片膝を地面に付く体勢だ。
強い風が、あたりを吹ききった。天からの雷を受けた中心があらわになる。うっすらと影が見えてくる。
「そんな・・・・・。」
そこには、人が一人いる。もちろん上野だ。彼は先ほど、雷により身を拘束され、その身に宮内渾身の一撃を受けた。
はずだった。先ほどの攻撃での負傷からみて、今回の攻撃ではかなりのダメージを負っているはずだった。
「・・・・・。」
しかし、そこには、先ほどと同様のダメージしか受けていない上野がいる。右腕を天に突き出し。その右腕に黒炎をまとっている上野。彼の周りだけ地面が回りと比較すると盛り上がっている状態になっていた。
その振り上げている右腕で、先ほどの宮内の渾身の攻撃を防いだのだ。雷を打ち消した。しかも、様子からして、軽がると・・・。
「ふん・・・。」
上野が右腕を下げる。その姿を宮内は目を見開いてみている。
「二回も同じ攻撃が俺に通用するわけがないだろうよ。馬鹿が」
上野は笑っている。
「なんてな。今までのは演技だよ。せめて、お前に自分の力が少しは通用するって思わせるためのな。だから、わざと傷も負った。」
そういいながら、上野が宮内の方向に少しづつ近づいてくる。
「そんな・・・。じゃあ、今までのものは力を抜いていたと・・・?」
「ああ、お前らの持っている部隊あるだろう? あれとの戦いのときもそうだ。わざと、力を抜いて、自分達が通用できるものだと、勘違いさせてから、絶望をおわせるためにな!」
そういうと、上野は大声で笑いだした。
「ハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
「なぜ・・・。」
「なんでかだってか? そんなのあたり前だろう? 楽しいからさ、それが! だから、わざと、元々の管理者がいないときを狙ってきたんだからな! 帰ってきたときに自分の家族が、愛した土地がぼろぼろにされてたら、それはもう! 最高の絶望の表情を見せてくれるだろうよ!!」
「なんてことを・・・・!」
宮内は体が震える。それは、恐怖と怒りが合わさったものだ。
「おいおい。これは、お前ら側から提案されたものなんだぜ? 俺だけを責めるなよ。」
「!? どういうことですか!?」
「だから、俺をこの土地に招いたのは、お前ら宮内の人間だってことだよ!」
「そんな・・・・・。家のものがそんなことを・・・・。」
「おっと。これは言ったらいけないんだっけか? まあ、いいか。お前はここで、消える運命なんだからな。」
また上野は大声を上げて笑いだす。
宮内は悔しさから、涙がでそうになるが、それをこらえて、なんとか立ちあがる。
(この男は命をかけて、ここでとめる!!)
「おお? まだ、やろうってか?」
「わたしだって、こんな人間でも、宮内の人間であり、代理といえどもこの土地を管理するものです。あなたを絶対に止めて見せる!」
「おお! いいねええ。じゃあ、その心意気を見せてもらおうか。」
上野は先ほどまでと同じように、黒炎の塊を飛ばす。宮内はそれを、なんとか回避する。
「!!」
しかし、先ほどまでとは違い。よけた先にもそれはきていた。
「お前は今までの攻撃から、連射時間が長いと思っていたんだろうが、何発でもすぐに出せるんだよ!」
宮内はそれをもろに食らう。そして、吹っ飛ばされる。それは、彼女の防御壁を吹っ飛ばすだけでなく。かなりのダメージをさらに与えた。
ぼろぼろに宮内は吹っ飛ばされた先からなんとかまた立ち上がる。相変わらず上野はゆっくりと歩いている。
「がっかりだなあ。そんなもんで守れるのかよ! この土地を! 人を!」
「くっ!」
(自分の弱さが悔しい! こんなに弱いのが! こんなやつに!)
その思いに覇竜の力が呼応したのか、宮内の身に雷に近い電気がまとわりつく。それはあきらかに今までのものとは違った。
「これは?」
しかし、それは、宮内の体が持つことのできない力、耐えることができない力であることを同時に理解する。
「おお! なんだそれ?」
(これなら、まだいけるかもしれない!)
宮内は一瞬で、上野の背後を取る。
(己の力のすべてをここにこめる! たとえ体が持たなくても!!)
「はああああ!」
宮内が命を駆けた渾身の一撃を上野に放とうとしたとき、上野が手を宮内の首に差し込む。そして、そのまま地面にたたきつけた。
それにより、宮内は攻撃の態勢をとれず。さらに、その身にやどした力に体が耐えられる時間が過ぎてしまい。力がなくなっていくと同時に体に激痛が起こり始めていた。
「今のは流石に危なかったぜ。確実に俺に重症を与えられるもんだったな。でも残念。戦いってのは、単純な一発の重さじゃねえんだよ。じゃあ、もう多分これ以上、ねえだろうし。さよならだな。」
上野が首を持っている手の力を強くしようとしたとき。宮内は上野に走りこんでくるある人物を横目で捕らえた。
(かおるさん・・・?)
「やめろおおおおお!!」
かおるが上野に向かって右腕のこぶしを放つ。そのこぶしには、上野の同様の黒炎がまとってあった。しかも、それは上野のそれよりもまがまがしく、燃えている。
そのこぶしが上野の右頬を捉える。上野はそれが自身の防御壁を越えて来ると思っていなかったので、なんの受身もなしに吹っ飛ばされる。
「か・・お・・・る・・さん」
宮内がのどを抑えながら言う。
「おお。まあ、なんだ。さっきぶりだな。」




