主観と客観は違う件について(仮)
時刻は午後10時、宮内が井上家をでてから、30分が経った。
かおるは、その間、ピクリとも動くことなく椅子に座って呆然としていた。
自分の無力さ。
自分の情けなさ。
それでも、こうするしかなかった。
自分には彼女を救うことができるものが一つもなかった。
そして、彼女に気遣われた。そのやさしさがさらに胸を締め付ける。
ふーーー。
かおるは大きくため息をつき、天井に視線を上げる。体を動かしていなかったので、体が硬直していた。首を動かすのもしんどい。こんなに自分の体が重たかったのか思う。
そのとき、リビングの扉の脇にある階段から、物音がする。別に老朽化しているわけではなく。この部屋が静かになりすぎるので聞こえてくる物音だ。
その物音の主が、扉をあけた。そしてかおるの目の前に、テーブルを挟み立った。
「宮内さんは、帰ったの?」
「ああ」
ハルカはもう、気持ちを取り直しているようだ。先ほどとは違い、冷静で、いるもどおりである。
「そう。」
ハルカは、そういい。キッチンに入っていった。
その中で、ハルカは何か作業をしている。その間、さっき、ハルカに声をかけられたときもかおるは天井を眺めているままだった。
しばらくして、キッチンからハルカが出てくる。そして、その足でかおるの側に立つ。
「はい。のど渇いたでしょ。」
そういうと、ハルカはキッチンで入れたハーブティーをかおるの目の前に置く。それは彼女が普段飲んでいるもので、普段なら絶対にかおるに出すはずがないものだ。
それから、ハルカはさっき、三人でいたときとは違い。いちも通りにかおるの目の前に座る。そして、自分の分のハーブティーを、両手で大事そうに持って飲む。
かおるは、視線をハーブティーに向け、ハルカを一瞥してから、彼もハルカを同じように、両手で大事にコップを持ち、飲む。そのコップから伝わる暖かさが心地よかった。
どちらも、少しの間、何もいわなかった。
最初に口を開いたのは、かおるだった。
「別に自分が、今ままで、一生懸命に生きてきたとは思わない。」
「そうね。あんたはそういうタイプじゃない。」
少し間があってから、ハルカがいう。
「だから、自分に何か特別な・・・、人から認めたれるようなものがあるとは思ってない。」
「そうね。」
「でも・・・・、だからといって、自分が無力だからといって、人に無関心でいたいわけじゃない。」
「ええ。」
「だから、人が困っているというなら、できる範囲で協力はしたいし。それでいいと、自分の能力の範囲で無理せずにできればいいとおもってた。大きな助けとなることはなくても、小さな助けさえできればって・・・。」
「・・・・・。」
「でも、俺はその小さな助けすら・・・できない。」
「・・・・・。」
「自分が自分で悔しい。けど、そういう人生を俺は歩んできたんだ。だから・・・・。」
「どうすることもできない?」
ハルカのその言葉に、かおるは無言でうなずく。
ただの言い訳になっているのかもしれなかったが、かおるは口に出さざる終えなかった。
ハルカは、またハーブティーを大事に飲む。そして話し始める。
「私は、小さいときから、あんたを見てきた。だから、あんたが、積極的でないにしても、人のためになろうとしているところは知ってる。」
かおるはハルカを無言で見つめる。ハルカもそれに返す。
「でも、さっき、あんたが言っていた言葉と私が認識してるもので、違うところがある。」
「違うところ?」
「ええ、確かに、あんたは、無力で無気力で、役立たずなしょうもない人間だけど・・・。」
「はは、そこまでか・・・。」
「いつも、その中でも、なんとか周りのためになろうとしていた。絶対にあきらめたりはしていなかった。」
ハルカはかおるをまっすぐな目で見る。
「それでも確かに小さな力にしか、あんたはなってなかったけど、それでも助けにはなる。」
「小さくても・・・。」
「つまり、何が言いたい勝手いうと、あんたみたいな人間は、あきらめたら、本当にだめなやつになるってこと、諦めがわるいのが、唯一のできることだって言ってるの!!」
ここまでのやり取りで、急に恥ずかしくなったのか、そういうと、ハルカは立ち上がった。そして、扉のように向かって歩き出す。
「わかった!?」
「ああ、随分ひどい言われようだけどな。自分がやらないといけないことは、少しわかった気がするよ。」
「ふん! だいたい、あんたが何かを悩むこと自体がしょうもないのよ。」
そういって、扉から出て行こうとする彼女に、かおるが決心から出た言葉を言う。
「ハルカ!」
ハルカが振り返る。
「今日は、帰りが遅くなると思う。今からちょっと出てくるよ。それで、その・・・。」
「わかった。私はゆっくりとあんたを無視して寝るわ。そして、明日の朝、あんたに今日のハーブティーのお礼を貰う。」
「これ、貸しだったのか。まあ、わかった。御礼をしますよ。」
「楽しみにしてる。」
ハルカは満面の笑みを向けて、部屋をでていった。
(さて!行くか!!)
かおるは、席を勢いよく立った。しゅ




