五人目の登場な件について(仮)
(白炎か・・・)
上野は岡本を観察した。
相手の言葉を信じるなら、岡本は七つの力を持っていることになる。
つまり、ある意味でかおるを相手にするよりも厄介だということだ。
しかし、気になることがある。
上野は全身に炎を纏った。
「お前の力はその炎なのか?」
岡本が上野に聞く。
「さあ、どうだろうな。それよりも、もっと力を見せてくれよ」
上野がそういった瞬間岡本が目の前から消えた。
(来た!!)
上野は時を止める力で時を止めた。
これは、大罪悪魔ルシファーの眷属となったなったことで手に入れた力だ。
かなり強力な力であり、眷属の中で最強の力だろう。
といっても、いつでもどこでもニコニコ時間を止めることができるわけではない。
副作用的なものはもちろんあるし、制限もある。
それがばれる前にどれだけ相手にダメージを与えるかということが大事だ。
(そのために、相手の力を奪わないとな)
上野は自らの後ろに転移している途中の下半身だけが出ている岡本に触れた。
(転移っていっても空間を移動してるだけか)
そして、元の位置に戻り時間を動かした。
「はあ!」
岡本からの攻撃が上野を襲う。
それを予めわかっていた上野は相手の攻撃を寸でのところで避けた。
「芸がないんだよ。馬鹿が、転移なら後ろだってすぐわかるだろうが」
上野は岡本に炎を飛ばす。
その炎を岡本は白炎で防いだ。
「そんな攻撃で俺にダメージを与えられると思ってるのかよ?」
岡本は上野に向けて手を向けた。
すると、上野の周りにある炎が消える。
(まあ、そうなるわな)
「な、なんだ?!」
上野がその原理が理解できていたが、わざと驚いたふりをした。
「美徳の力にお前みたいなやつの力が敵うかわがないだろ!」
岡本が上野に突進してくる。
右手には白炎を、左手には白雷をまとっている。
上野はそれをじっくりと観察していた。
(やっぱりそういうことか・・・)
「くそ!」
上野はその攻撃をなんとか身体能力で避けて、3歩ほど後ろに後退した。
その瞬間にもう一度時を止める。
そして相手に触れて、また元の位置に戻っり時を進める。
「甘いんだよ!」
岡本は上野に対して再度手を向けた。
上野の体は虚脱感に襲われる。
そこで先ほどと同様に時を止めて、その虚脱感の中、なんとか岡本に触れた。
そして、元の位置に戻り、時間を進める。
「な、なんだこれは?!」
上野は名演技を続けていた。
後は憤怒に対応する寛容の力だけだが、最後にならないと使わないだろうな。と上野は思った。
「たかが、大罪悪魔一人の眷属が、美徳すべての力を持つ俺に勝てるわけがないだろう?」
「たかが、眷属の一人ね」
上野はそこで笑みを相手に見せた。
それを見て、岡本がまゆをひそめる。
相手が使っている力のうちもうすでに五つは奪った。
(もうそろそろいいだろう)
「なんだよその顔は?」
「いや、ばれてなかったんだなとおもってな」
上野は岡本に手を向けた。
その瞬間、岡本の膝が地面に着く。
(な、何が・・・?!)
見上げると目の前に上野がいた。
上野は岡本をあざ笑うように見下している。
「自分の力を受けてみた感想はどうだ?」
「なんだと・・・」
自分の力?
ということは、ドレイン(節制の力)を使われたというのか?
ドレインは暴食に対応する力で、大罪の暴食がもつ自然力から無限の力を得る力と違い。
節制は相手から魔力などを貰う力だ。
それにより、相手は魔力が欠乏する。
そしてそれが今、岡本の身に起こっていた。
(いったい・・・何が・・・・?)
「美徳は大罪悪魔の力と対応する力、同等の力をもっているって言うが、その実在は、ただの子供だましの力ばっかだろう? その証拠がこの節制の力だな。大罪が無限の力を司るに対して、節制は有限だからな」
「美徳の力を馬鹿にするな!」
「おいおい、そんなに怒るなよ。事実なんだからさ」
上野はさらに口角を上げる。
「そしてそもそも使用者が欠陥品、俺がお前の攻撃を見て気が付いてなかったとでも思っているのか?」
「何をだよ?」
そこで、上野は不適な笑みを相手に向けた。
「俺が何に気が付いていないかわからないなら、ちゃんと教えてやるよ。お前は七つの美徳の力を持って入るが、その力をかおるみたいに複合的に使うことをしていない。つまり、結局は一つずつしか使用できないってことだろ?」
「そ、それは・・・」
岡本が言葉に詰まる。
その反応はつまりイエスだということだ。
「大罪悪魔は唯一神によって作られた存在、所詮土地神とかいう小さな神によって作られたお前らとは違うんだよ」
「たかが眷属にくせに偉そうに言うな!」
岡本は力を振り絞って立ち上がり、上野に向けてドレインを発動した。
だが、力を吸収することができない。
「ははははははははは」
上野は目を押さえて笑った。
「残念だったな。美徳さんよ」
「何?」
「俺はルシファーの眷属でもあるが、実は・・・」
そのとき上野から炎が湧き上がり、化け物の形となった。
「大罪悪魔が一人、強欲のマモンだ」
《こいつ、食ってもいいか?》
「はたして最後までの七人目が登場するのでしょうか?」
「出てこなかったら、逆に面白いけどな」
「そんな賭けをするほど作者は肝が据わっておりません!」
「ですよね!!」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。