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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第四部 大戦争を起こす件について(仮)
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決心をつけるのは後一人な件について(仮)


「そんな・・・」


 正子がつぶやく。


 それから、アリスは、高校の一学期の終業式の日に起きた出来事を話し始めた。

 かおるが真実を知り、あがき、もがいて、負けた日の夜のことを・・・。


「江良昌樹、それが天邪鬼が持つ最大の武器なんだな?」


 トシコが言う。


「ええ、でもその他にも天邪鬼は手ごまを持っているわ」


「ってことは、圧倒的にかおるたちが不利ってことか・・・」


「まさか、あの日にそんなことがあったなんて驚きですわ」


「かおるさん・・・」


「さて、私が話せるのはここまでよ。これからあなたたちはどうするのか聞かせてくれる?」


 アリスがそういって微笑んだ。


 はっきり言って正子たちが予想していたことよりもかなり大きなものが、アリスの口から聞かされた。

 まさに自分たちの存在がちっぽけに感じるような内容だ。

 

「一つ聞いてもいいでしょうか?」


「何?」


「どうしてかおるさんは、この話を最初からしてくれなかったんでしょうか? もしも最初にこのことを話してくれれば状況も変わっていたはずです。あんな戦いにもならなかった・・・」


「本当にそうかしら?」


「え?」


「もしも、あそこでかおる君がこのことをあなたたちに話しても、はっきりいって信じられなかったと思う。だって、こっちにはあの上野がいるし、戦争を始めようとしている側の人間の言葉は、多分、あなたが思っているよりもずっと入ってこないと思うわ」


「それは・・・」


 確かにそうかもしれない。 

 正子は思った。


「それに、これは推測でしかないけど、ちゃんと戦争ということを考えて欲しかったんだと思うわよ。犠牲がでることを行うの。例えそれが大切な人のための行動であっても許されることではないわ」


 そこで、アリスが少し悲しい表情になった。


「お姉ちゃん・・・」


 彼女も大切な人のために人を傷つけてきた。

 かおるの気持ちは痛いほど理解ができるのだろう。


「まあ、戦争が始まるまでもう少しあるから、それまでゆっくりと考えてみなさい。私は外に出てるから、決心が着いたら呼んでちょうだい」


 アリスは立ち上がってから正子たちに微笑んで、部屋を出て行った。


 部屋には先ほどと同様に正子たちだけとなる。

 だが、状況は違う。

 すべてのことを知った。

 だからこそ、彼女たちは迷っている。

 かおるの気持ちはわかるし、彼がそう行動するのも最もだと思う。

 それでも、その行動に対しての結果が戦争であることに、どうしても引っかかりが取れなかった。


「わたくしは、最初から変わりませんわ。かおるさんの力になります!」


 沈黙を破ったのは孝子。

 彼女は目に意思を込めて二人を見た。


「孝子さん・・・」


 正子は彼女から目をそらす。


「俺はまだ正直納得できない部分はある」


 トシコが手を握り締めながら言った。


「トシコ・・・」


「でも、俺もかおるの側に付くよ。確かに、俺たちを助けてくれたのは良太郎の計画があったからなのかもしれない。だけどそれでも、助けてくれたのはかおるで、今のかおるもあのときのかおると同じ想いで動いてると思うから、だから・・・、なんか上手くいえねえけどさ! とりあえず。俺もかおるの力になる。例えそれが、戦争を起こすことになってたとしても、最後にはハッピーエンドになるって信じてるぜ!」


 トシコはそこで笑った。


「正子はどうするんだ?」


「わたしは・・・・」


 トントン


 そのとき、部屋の扉がノックされた。

 そして、部屋の中にある人物が入ってくる。


「え、そんな・・・」





<><><>







 場所は正子たちがいる隠れ家とは別の隠れ家。

 そこに、かおる、上野、杉村、中田がいた。


「後、一時間か・・・」


 かおるが窓から見える町並みを見ながら言った。


「なんだよ。ちょっと感傷にでも浸ってんのか?」


「そんなんじゃねえよ」


 かおるは上野に向かって笑った。


「まあ、緊張するのも無理はないわよね」


 杉村がウーロン茶をコップに注ぎながら言った。


「どれだけ兵力を集めても、相手に江良という怪物がいるんだからね」


「江良さんは、今回に限っては脅威じゃないですよ」


 中田が杉村に言う。

 彼はソファーで寝転がっていた。


「そうなの?」


「そうだよね?」


「まあ、こっちの作戦が成功すればの話だけどな。問題は、フードのやつと、七つの美徳だろうな」


「大罪と対を成す存在、美徳。でも、本当にそんな人たちがいるの?」


 杉村が椅子に座った。


「いるぜ。これは良太郎が調べて結果でもあるが、その前に美徳はある人物と戦ってる」


「ある人物?」


「ああ」


 上野はかおるを見た。


「まさか、稲垣君?」


「俺が戦ったわけじゃないですよ。俺の中にいる存在。つまりベルゴが戦ったことがあります」


「それは、大罪になる前にってこと? それとも大罪になった後にかおる君以外の人間の中に居たときってこと?」


「後者ですね。まあ正確にはベルゴが、というよりも。そのときの宿主がって感じですけど」


「それってもしかして・・・」


「そうです。俺の父が昔、七つの美徳と戦ったことがあります」


 戦争まで後一時間・・・・。

「戦争に参加するかどうかなんて簡単にはねえ」


「まあ、複雑だろうな」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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