余裕のよっちゃんな件について(仮)
「わたしもかおるさんと戦います」
「いいのか? 正子」
「何いってるの。わたしたちはいつでも一緒だったじゃない」
正子はトシコに微笑んだ。
「それなら、わたくしも一緒に戦いますわ」
「え?」
そこで孝子が2人に近づいてきた。
「でも、孝子はかおる側に着くつもりなんだろう?」
「それとこれとは話が別ですわよ。わたくしだって2人と一緒にいつもいましたもの、ここだけ仲間はずれだなんていやですわ」
「はは、2人とも最高だぜ」
「じゃあ、3人で俺と戦うんだな?」
かおるが正子たちに聞く。
それに、3人ともうなずいた。
「よし、じゃあ、いつでもいいよ」
かおるは、そこでにこやかな表情となった。
正子たちはお互いの顔を見合わせてから動いた。
まずはトシコが先行する。
そして、正子と孝子が、遠隔からの補佐に回った。
ここで正子たちはかおるに勝てるとは到底思ってはいない。
彼はすでに大罪の力をいくつも持っている。
そんな人間に歯がたつわけがない。
しかし、自分たちの思いを相手にぶつけるにはこれしかなかった。
それはかおるも同じなのだろう。
「はあ!」
トシコが手裏剣を飛ばしながら、かおるに近づいていく。
それをかおるはすべて黒炎でなぎ払った。
かおるの周囲に魔弾が集まってくる。
「マジカルバースト!」
魔弾がかおるに向かってくる。
かおるは周囲を黒炎で包んでそれを防ぐ。
トシコは自身の気配を消す。
かおるの黒炎がなくなった瞬間に飛び込むつもりだ。
そして、黒炎がなくなる。
「雷撃の撃墜!」
正子の攻撃がその瞬間にかおるに向かう。
雷撃の輝きで視界がくらむ。
その瞬間にトシコがかおるの懐に入り込んだ。
「はあああ!」
トシコのクナイの攻撃がかおるに向かう。
かおるは微笑んだ。
「流石、いい連携だな」
が、その瞬間にかおるはトシコのクナイを持っている手首を掴んで、トシコをその場で足を相手の間に潜り込ませてこかし、正子の攻撃を黒炎で焼き尽くした。
「くそ!」
トシコの体はかおるが捕らえている。
「雷竜の衣!」
そこで、正子は全身に雷を纏う。
「マジカル・アップ」
孝子がそんな正子に対して強化魔法を施す。
これにより、正子の身体能力は数倍に跳ね上がった。
かおるはトシコの腕を黒炎で拘束して、正子と対峙する。
「それ、新しい力?」
「はい。かおるさんの力を参考とさせていただきました。流石に黒炎だけでは難しいと思いますよ」
「随分自身があるんだね」
正子がかおるに向かっていく。
二つの力で強化された正子はスピードはものすごく、2人の距離は一瞬で詰まった。
正子がかおるに雷撃を付加した攻撃を放とうとする。
しかし、正子がかおるの体に触れる瞬間、正子の体は止まった。
「なっ!」
「流石に俺も、その速さに対抗するためには黒雷を使わないと無理そうだから、そうなる前に止めさせてもらったよ」
正子は自身の足を見た。
そこには地面から伸ばされた黒炎が足首に巻きついていて、そのせいで正子の動きは止められていた。
「あんまり早すぎると、その速さ自体に自分の感覚がついていかないからね。どうしても直線的な動きになる。だから、軽い罠を付けさせてもらったよ」
かおるは正子に手を向けてきた。
それにより正子の全身が黒炎に包まれる。
そして、その場に拘束された。
「マジカル・エクスプロージョン!!」
そのとき、全員の上方にものすごく大きな魔方陣が出現する。
「まさこ、孝子がここまで力を高めていたなんて予想外だわ」
それをみてアリスが言った。
この力は、アリスがかおるたちと最初に戦闘したとき、最後に放った力と同系統の力である。
そこからあらゆる属性の力が出てきて、そのすべてがかおるを襲う。
「これなら、流石のかおるさんも簡単に防ぐのは至難なはずですわ!」
しかし孝子たちは、漆黒の力のキャパを見誤っていた。
彼女たちがかおるの力を直接的に見る場面はいつだって、相手もかなりの強敵のときばかりである。
そのため、彼が持つ力が本当にどれほどなのか、体験する機会はこのときが初めてだった。
「俺がただの異能力者なら、多分この攻撃で結構消耗したんだろうな」
かおるは、自身に伸びてくる攻撃に対して、特に何もしなかった。
正確には、今までの攻撃に対しても彼が動く必要があった攻撃はどれ一つもない。
正子たちの連携や、彼女たちの力がどの程度のものなのかしっかりと判断するために、彼は攻撃を防いだり、相手を拘束したりしたわけだ。
「そ、そんな馬鹿な・・・」
かおるに無数の攻撃が当たる。
しかし、そのすべてが無残にも霧散して消えた。
つまり、かおる自身の体に通る攻撃はどれ一つなかった。
しかも、それはかおるの回りに張られている軽いバリアで防がれてしまう。
これから、わかることは、正子たちの攻撃はかおるが黒炎を出す必要も本来ならないということだ。
ひとしきり攻撃を受けた後、かおるは孝子を拘束した。
「まったくもって完敗ですわね」
孝子がつぶやくようにしていった。
トシコは唇をかみ締めている。
正子も悔しそうな顔をしていた。
彼女たちはかおるにほとんど力を使わすことなく負けた。
そして、3人とも思った。
彼が戦争を起こせば、間違いなくこの土地は崩壊すると・・・。
「もっとやさしくしてあげなよ」
「まあ、そうだな」
「そんなんだから駄目だんだよ!」
「何に対しての怒りだんだよ?」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。