なんて神様っぽくしゃべっている件について(仮)
「努様! 被害甚大です!」
宮内家が近衛部隊の一人が努に報告する。
「相手がまだ、誰なのか、わからないのか?」
「はい。ですが、数は軽く数十、いや百近くはいるかと」
「こんなときに正子たちがいなかったのが幸いか・・・、それで、どの程度まで進行されている?」
「は! すでに半分ほど攻め入られているます。こちらの被害は多大ですが、相手は攻撃をしても効かない人形の模様、外に術者がいるものと思われます」
「そうか、ならば残っている全員を一旦後退させろ、全員で相手を迎え撃つ。私も出よう」
『その必要はない』
努が席を立った瞬間、どこからろもなく声が聞こえる。
「誰だ?」
『我はこの土地の土地神だ。うぬらの力となろう』
「お前が、敵ではないという保障は?」
『この現状を打破してみせよう。その結果から判断すればよい』
「つまり、今攻め入って来ている人形を一掃してみせるということか?」
『そうだ』
その瞬間、その場に人が入ってきた。
「誰だ!」
近衛部隊がその人物に声を張りあげる。
『そやつが、敵を一掃してみせる』
「君の名前は?」
努は入ってきた青年に聞いた。
年は若く見える。まだ高校生かもしれない。
「江良や。わしが手助けしたろう」
「・・・わかった。やってみてくれ」
「努様!」
「相手がどんな敵かもわからない以上、こちらもなりふりは構ってられない。かといって、君が信用できるかどうかはわからない。だから、こちらの人間は全員引き下げさせてもらうよ」
「かまへん、好きにせえ」
「貴様! 努様になんて口を!!」
「いい。好きにさせろ」
江良はその場から出て行った。
その様子を中田は魔眼で見ていた。
「江良さんが出てきたみたいです」
「やっとってとこかしら、やっぱり向こうは霊脈の詳しいことを知られたくないらしいわね」
「まあ、でももう奪ってるんですけどね。それで、これからどうしますか?」
「適当に江良君と戦って、すぐに退散しましょう。彼には絶対に勝てないし」
杉村はそういうと、微笑んだ。
「そうですね」
中田も彼女の言葉に賛成した。
「それにしても、良太郎君もひどいこと考えるわよね。この土地の人間、といっても天使だけど、それを全員殺す作戦を立てるなんて」
「まあ、でも天使を残らず倒さない限り、神は倒せないですから仕方ないんじゃないですか」
「それもそうか。本当に神って存在はめんどくさい存在よね」
「神がめんどくさいんじゃなくて、あの天邪鬼がめんどくさいんですよ」
「天邪鬼だけに?」
「だけに」
そういって二人はそこで笑いあった。
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「奥にかおるさんがいるのですか?」
「そうよ」
正子の問いにアリスが答える。
上野が二階の奥に消えて数分が経った。
3人はいまだに拘束されており、アリスも3人がいつどんな行動をしてもいいように、気を引き締めているのが正子たちにもひしひしと伝わってきていた。
それからまた数分して、話し声とともに、奥から二人の人間が出てきた。
「か、かおるさん?」
「久しぶりだね、3人とも」
二階の奥から上野とともに姿を現したのはまぎれもなく、かおるだった。
かおるは二階から降りてきて3人の前に来る。
そして、右手を正子たちに向けた。
「え?」
次の瞬間、かおるの右手から黒炎が出現し、それが正子たちを包む。
正子はそれに驚きを隠せなかったが、それは特に暑熱くも痛くもないものだった。
そして、手を拘束していたものが解かれる。
「びっくりしたわ!」
上野が、かおるに言う。
「いきなり黒炎なんか出すなよ! まさかこの3人のこと消す気かと思うじゃねえか!」
「いや、拘束を解くはこれのほうが手っ取り早いと思ってな」
その状況に正子たちは少しあっけに取られる。
まさか、あの上野とかおるがこんなにも和気藹々とする図は想像できていなかった。
(いったい何があったんだろう?)
かおるが上野と会話を終えて、正子たちに向き直る。
「ごめんね、3人とも、いきなりこんなところにつれてきてしまって」
「いえ、それよりも本当にかおるさんなんですか? あの、先ほどもかおるさんを見たので良くわからなくなってしまって」
「本当だぜ。そこんとこちゃんと話してるんだろうな?」
「わたくしたち、本当に心配したんですわ? それにおねえちゃんまでここにいるなんて、何がなんだかですわ」
かおるが、3人の言葉を受けて、苦笑した。
「そうだね。ちゃんと説明しないとだな。って言っても、ちょっと待ってもらってもいい? そろそろだと思うからさ」
「え?」
かおるは腕時計を見ていう。
そのとき、かおるの背後に、正子たちがここに来るときに入ったものと同様のワープホールみたいなものが現れた。
そして、そこから二人の人物が飛びだしてくる。
「あっぶなかった!」
「流石だわ!」
そう叫びながら出てきた二人の人物のことを正子たちは知っている。
一人は同じ高校の同級生で、もう一人は正子たちの高校の先生である。
「どう?」
その二人にかおるが聞く。
「危なかったけど、完璧だよ。これで・・・」
「戦争の、のろしの準備は完了か」
かおるが冷静にそういった。
「戦争開始?」
「どうだだろうね」
「え? ここで始まらないの?」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。