助けに来たのかどうかという件について(仮)
正子の腕を拘束しているロープは、孝子の力によって燃やされてちぎられた。
正子はふと後ろを振り返る。
そこには三人の人間と、トシコが戦闘をしていた。
トシコは忍術をたくみに使い。
相手をかく乱しながら序所に相手を追い詰めていく。
相手はトシコが常に超近接戦闘を行っているために、銃もちは援護射撃ができないでいるようだった。
(流石、トシコ、こういうのは得意だな)
正子は向き直った。
残る相手は三人、屋根にいた2人は今、正子に向けて銃を向けていた。
前にいる一人が、正子に近づいてくる。
前の相手が腕を軽くあげて下ろした。
その合図に従って、両脇の人間が正子に向かって銃の引き金を引く。
「雷竜の衣!」
正子の全身に電気が纏われる。
これは、かおるの戦い方を見て学んだもので、全身に強力な電気を流すことで動きを高速化させるものだ。
だが、正子はかおるほどこれを長時間使用するだけのタフネスさはない。
なので、これにより一瞬早く移動する。
正子はまず銃弾をよけて、右側の屋根の上に移動した。
そこまで掛かった時間わずかコンマ1秒である。
「な!」
「少し眠っていてください!」
正子は相手の背後に回り、素肌の出ている首元に指を触れる。
そして、相手の内部に向かってスタンガンばりの電流を一気に流し込んだ。
「ぐあああ」
相手がその場に倒れこむ。
近衛部隊は漏れなく対電流、対衝撃スーツを着用している。
そのためただ相手に電流をぶつけるだけでは到底相手を気絶させるだけのダメージは与えられない。
だが、正子の攻撃は全身を回る。
そのため、相手の体に流し込める場所を電流が探して、感電させる。
つまり、相手の対電流スーツは正子相手には意味がないわけだ。
正子はまた、雷竜の衣を纏い、反対側からの銃弾をよけながら相手の背後に移動した。
そして、相手を無力化する。
(何かが、おかしい)
正子は異変を感じ始めていた。
トシコは今、2人をしとめて、後四人というところになっている。
確かに、自分たちは強くなった。
おそらく近衛部隊に対してもそれなりの戦闘はできるし、もしも一対一の戦闘をすれば勝てる自信だってある。
だが、今の相手はあきらかに手ごたえがなさすぎる。
(こんなもんなのかな・・・)
正子は最後の一人に向かっていった。
相手がもしも近衛部隊の中でも優秀ではない部類の相手ならば、それはそれでいい。
もしかしたら、戦争が起こるかもしれにという緊張状態であるがゆえに、特殊部隊に武装したそこまでではない人間を派遣してきたのかもしれない。
正子たちがその姿を見て降伏する可能性に賭けた可能性もあった。
「はあ!」
正子はこれまで通り、雷竜の衣により背後に移動した。
そして、相手に電流を流し込もうと相手に触れようとする。
が、しかし、正子が相手に触れようとしたとき、相手が半身になりながら、正子から距離をとった。
流石に三回目だ。
下からなら正子の動きも見えていただろうから、それくらいは予想の範囲である。
正子はまだ、衣を解除しないで、再度相手に高速で近づく。
相手も、ナイフをくるくると回しながら正子との対峙を選んだ。
(いくら手誰であっても、わたしの高速な動きには付いてこれないはず!)
正子は、相手をかく乱するために、高速で周りを動いた。
そして、あらゆる角度から、相手に向かって小さな電撃を放つ。
これでどの程度反応ができるのは見るつもりだ。
五つの電撃がほぼ同時に相手に向かう。
(うそ!)
その電撃がすべて同時に消えた。
正子には、相手が何をどうして電撃を防いだのかまるでわらなかった。
と思ったと同時に、正子は腕を掴まれる。
「え?」
そして、そのまま壁に放られた。
(相手の動きがまるで見えない・・・)
正子は空中で体制を整えて、壁に激突することなく、壁に足をついてから着地した。
正子は横目でトシコたちをみる。
向こうも、あと一人というところで、かなりてこずっているようだった。
(流石にそう簡単にはいかないか・・・)
正子は、雷竜の衣を強める。
これにより全身に雷撃が走る。
つまり、相手は正子に触れた瞬間に感電してしまうということだ。
正子が相手に突進した。
だが、相手は正子の突進を軽くいなしてかわす。
体にわずかに触れない距離を保っていた。
「まだか・・・」
そう相手がつぶやく声が聞こえた。
と同時に、相手に右腕に炎が纏われる。
(炎?)
正子は宮内家の人間に炎を使う人間を知らない。
つまり、相手は表の人間ではないことがここで証明された。
ということは、最後の一人が本当の特殊部隊の人間であるということだろう。
「ちょっと痛みつけるか」
「え? ガハっ!」
正子は一瞬で壁に背中をぶつけれた。
正子の体は宙に浮いている。
そこで正子は自分が首をもたれて壁に押し付けられていることを理解した。
要の雷撃は、相手の手に宿した炎のせいで、相手を感電されることはできないでいた。
トシコのほうを見ると、トシコもすでに最後の一人に結界で閉じ込められて、孝子が対峙している図であった。
「宮内さん!」
そのとき、かおるが姿を見せた。
「あ、かおる登場したね」
「まあ、主人公なんで」
「僕が主人公になりたかった」
「それはやめて、なんか現実になりそうだから」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。