本当の強さは何かな件について(仮)
《俺がやろう》
「え?」
かおるの中から、独立した黒炎が出てくる。
《俺がルシファーを取り込んでやろう》
「おい、待て。それは俺が・・・」
「かおる」
良太郎が優しい声でかおるに話しかけた。
「ありがとう。もういいよ。多分君は僕を殺すことをできない。それはわかっていたんだ。それは弱さじゃなくて強さだと僕は思ってる」
「そんなこと・・・」
「いいや。そうだよ。だから、このことをこの先に後悔することはないからね」
良太郎がにっこりと微笑み。独立した炎を見た。
「じゃあ、頼んだよベルフェゴール。君になら喜んで任せられるよ」
《ふん。できるだけ一瞬で終わらしてやろう》
「面倒だから?」
《そんなものじゃない。ただ最後くらい苦しまずにということだ》
「はは、君がそんなことを言うなんてね。最後にいい言葉を聞けたよ」
《そうか・・・》
「後は頼んだよ」
《ああ・・・》
黒炎が良太郎に向かう。
「待て、待ってくれベルゴ、俺が・・・」
かおるが声を震わせながら言うが、黒炎は止まらない。
「おい! おい!」
「じゃあね。かおる・・・。君なら勝てるよ」
黒炎が、良太郎を包んだ。
「あ・・・・」
かおるはその光景を呆然と見つめていた。
そして、目を強く瞑った。
自分に対しての自責の念は後だ。
今できることをすることが大事だ。
かおるは自分にそれを言い聞かした。
黒炎がかおるの元にもどっいく。
かおるは、それにより自分の中に新たな力が入ってくるのがわかった。
そして、それと同時に良太郎の記憶も入ってくる。
(・・・・わかったよ。やればいいんだろう・・・)
良太郎の記憶には最後に、かおるに対してのこれからのことを指示した言葉があった。
かおるはここでやっと本当の覚悟を決め。
進むことを決意した。
黒炎がかおるの中に入りきり。
それにより、漆黒の祭典が終焉を告げた。
今までかおるを守っていた結界が解ける。
「これで、貴様を守るものはなくなったわけだがどうするんだ? 同胞を手にかけた先に何があるというんだ? 我を殺すなどという夢を見るのはよせ。そんなことをしてもこの体は喜ばないぞ?」
天邪鬼からのかおるを動揺させるための言葉がかおるに襲ってくる。
だが、そんなものはすべて今のかおるには効かない。
かおるは、ゆっくりと目を開いた。
「俺はお前を殺して見せるよ」
「我にたてつくと?」
「ああ」
「まったく。ここまで親切心でいろいろと助言をしてやっているというのに・・・・。我は悲しいぞ」
天邪鬼が江良さんに目配せをした。
江良さんが、かおるに突進してくる。
「たかが、一人分の力が入ったくらいで何ができる!!」
「今は何もできないさ」
「観念せえ! かおる!」
「でも、またお前の前に必ず来るよ。そこでお前を殺してみせる」
江良さんがかおるに対して鉄建を振るう。
だが、それは目標物が消えたことにより、不発に終わった。
その場から、かおるが消えた。
「テレポートか・・・・」
かおるはまず撤退することを選らんだということだ。
(ルシファーを取り込んでから、何か雰囲気が変わった・・・。いったい何が・・・)
だが、気にすることはないか。
所詮は人間、神にどう歯向かおうが世の摂理である神と人間の絶対的差を生めることなどできない。
しかし、念には念を入れなくてはな。
「おそらく、これからあやつらは戦争を起こすつまりだろう。お前も戦闘に加わってもらうぞ」
「わかったよ」
かおると江良さんの戦闘でその場はすでに荒地となっている。
その中に突然、一人の小柄な人物が出てきた。
「いろいろと、裏で行動をしていたみたいだが、今からは我の言うことは絶対だ。いいな?」
「了解しましたよ。天邪鬼さん」
フードを深くかぶった少女がそこにはいた。
「わしはこれからどうしたらいいですか?」
「お前は我の元にいろ。念のため我の護衛だ」
「わかりました」
(せいぜい楽しませてもらうぞ・・・・)
<><><>
「はあ、はあ、はあ」
かおるは自宅のリビングに戻ってきた。
そしてキッチンに行き。冷蔵庫を開けて水を取り出し一気のそれを飲み干した。
「ふー」
そこで一呼吸落ち着く。
ピーンポーン。
かおるはインターホンのカメラに映る人物を確認した。
彼はすぐリビングから玄関に向かう。
そして、そのドアを開けた。
「驚きましたよ。まさか、あなたがベルゼブブだったなんてね」
「良太郎との約束でずっと力を隠していたからね」
「まあ、とりあえず入ってください」
2人は、リビングに入り、長机に対面して座った。
「あなたも大罪越えなんですよね?」
「ああ、そうだ。私も良太郎と同じように大罪越えを果たした。だからつい最近まで自分が元は大罪悪魔だったなんて知らなかったよ」
「それを良太郎が呼び起こした」
「ああ、ルシファーの力は特殊だ。彼はその人間の先祖がえりを呼び起こすことができる。それで私の中にある本来の魂を呼び起こしたわけだね」
「みたいですね」
「君にはすべてわかっているんだったね。良太郎の記憶を引き継いでいるから」
「ええ、でもまだ鮮明ではないです。だから、いろいろと混乱はしてますよ。でも、覚悟は決まっています」
「つまり、戦争を起こすんだね」
「はい」
「わかった」
そこで相手が立ち上がった。
「もう準備はできている。いつでも私たちは反乱することができるよ。といっても心もとない人員しかいないがね」
「いえ、助かります」
かおるは頭を下げた。
「それで、今彼女たちはどこに?」
「じきに君に合流するだろう」
「わかりました」
「じゃあ、私は行くよ」
「はい。本当にありがとうございます」
その言葉ににっこりと微笑んで、尋ね人がその場から去っていった。
「あれ? 本当にいなくなっちゃったよ?」
「これからこのコーナーどうなるんだろうな?」
「もしかして交代ですか?」
「次は誰かなあ?」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。