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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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新の計画を発表する件について(仮)


 良太郎のその言葉で神の表情がより一層険しいものとなった。

 かおるにはそれが、その言葉の信憑性を高める結果となった。


「ハルカが目的だった・・・・?」


「そう。僕も最初そんなことは考えもしなかったよ。だけど、今日かおるが、この傲慢な神に対して放った一言で改めて考えてみると、その結論にたどり着くんだ」


 そう。

 かおるは、江良さんと戦う前に神に対して、ハルカの体が必要なのではないかといった。

 それに対しての神の反応が良太郎には引っかかっていたのだ。

 別にあそこであそこまで動揺する必要がないはずなのに、神は動揺した。

 ということはつまり、そこに真実があるということ。

 あそこで、わざわざ動揺してミスリードを誘う場面ではないからだ。


「井上ハルカ。いや、井上家は元来巫女の家系の人間なんだ。巫女といえば何がある?」


「シャーマン・・・」


 かおるはつぶやくようにして言う。


「そう。シャーマン。つまり、神がかりを行うんだ。今はある程度その伝統は廃れてきているけど、昔は盛んだった。つまり、井上ハルカの体は、その神がかりを行うのに適しているってわけだね」


「でも・・・」


 かおるは、神を見た。


「どうして、いちいちそんなことをする必要があったんだ?」


「つまり、それは、ベルフェゴールを狙ったと思わせておいて、どうして、井上ハルカの体をわざわざ奪うために十年も要したかってことかい?」


 かおるは首肯した。


「それは神様に直接聞いてみようよ。流石にここまでくればちゃんと僕たちに対して、神様らしく教えてくれると思うよ」


 良太郎は神を見て微笑んだ。挑発するように。


「・・・・」


 神は少しの間沈黙をする。


 おそらく、良太郎はすべてをわかっている。

 ということは、ここで嘘をついても意味がほぼないということだ。

 だが、ここで真実を話してしまえば、稲垣かおるはこちらには来ないだろう。

 そうなれば、後は脅迫をするしかなくなる。


(しかたがあるまい・・・・)


 これまで十年もの歳月をかけて行ってきた計画がここで崩れてしまうが、大枠としては変わらない。なら、少しくらいかまわないか。


「良いだろう。教えてやる」


 神が口を開いた。


「ルシファーごときに、我の計画が見破られるとは、少しショックだぞ?」


「そっちが勝手にぼろを出したんだ。責めるなら自分を責めなよ」


「まったく、憎たらしいやつだ。今にでもミンチにしてやりたい気持ちだ」


 神はかおるを見た。


「まあ。良い。教えてやろう。我のこれまでの計画、そしてこの体をのっとった意味を、それを聞けばお前はおそらく怒り狂うだろうな。稲垣かおるよ」


 神はそういってかおるに不適な笑みを向けた。

 それにより、かおるの全身は寒気に襲われる。



<><><>




「まず。我がどうして、この体を欲したかということだ。我はどうしてもこの大木の中から出る必要があった。だが、ただの人には懸かったとしても数時間しか懸かれない。つまり、そやつのいった通り。特別な人間が必要だった。しかもかなり霊力の強いものだ。それがこの体だったわけだ」


「どうして、ハルカの体を奪うために、そんな大掛かりなことをする必要があったんだ!」


 かおるが、少し怒気を強めた言い方をする。

 だが、神は別に動じない。


「そやつもいっていただろう? 神は八百万いると」


「だから、なんだっていうんだ・・・」


「つまり。他の神に対してのカムフラージュってわけだね」


 良太郎が補足した。


「カムフラージュ?」


「そう。つまり、他の神に自分が人間の体を求めているということを知られたくなかったんだよ。知られれば必ず邪魔が入るからね」


「どうしてなんだ?」


「神は自分が定められた場所から移動することを基本的には認められていない。少しの間ならいいけど、長時間は駄目だ。なぜなら、神が移動すると、人間の世界に影響を少なからず与えてしまうからね」


 良太郎がかおるを見ることはしないで、神に視線を向けたまま言う。


「そういうことだ。だから、我が一件、大罪悪魔を葬るように動いているように見せた。それくらいなら、他の神も文句はいわない。そのための犠牲に対しては何か言ってくるが、それはもうすでに我がこの体に入った後の話。人間の体に入ることさえできれば我は自由に動くことができる。つまり、どの神よりも我が上位となるわけだ」


「自由に動けるのがそんなに特別なのか?」


「ふん。まったく愚かな人間よ」


 神が鼻を鳴らしてかおるを嘲笑した。


「神はある意味でその土地の中で我のように大木や湖に縛り付けられている存在。膨大な知識と力があれどもそこから動くことは愚か、その力を行使することもままならない。つまり。ただの置物とほぼ一緒だ。だが、自由に動くことができればそのすべてが容易になる。したがて、我はどの神に対しても常に優位に立てるわけだ」


 かおるは神を黙ってみていた。


「まだわからぬか?! 我はこの世界をすべる力を持ったことに等しいんだよ!! はははっはははははははははあははっはは」


 神の汚い笑い声が、大きくその場に鳴り響いた。


「神様なんだから、世界をすべてるんじゃないの?」


「だから、神様でもたくさんいて、順列もいろいろとあるんだよ」


「ふーん」


「興味なしか!」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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