脱線しまくりな件について(仮)
「こればっかりはあんたも知らなかったよね?」
良太郎は神を見た。
「神といっても八百万の神々だ。数が多ければそれだけ位も多い。つまり、僕たちを大罪にした神よりもんたは下だってこと」
神は良太郎を忌々しげに見ていた。
そこでかおるは一つの疑問を良太郎に投げかける。
「でも、人間として生まれ変わったってことはその能力も、記憶もなくなるはずなんじゃないのか?」
「確かに、普通ならその通り。記憶はもちろんない。でも能力は魂に染み付いたものだから、形を変えて残るんだよ。でも、記憶がないから普通は気が付かないよね。でもね。僕にはある力があったんだ」
「ある力?」
「うん。僕は記憶を譲渡する力を持っていた。だから、生まれ変わり先に僕の記憶を譲渡したわけだよ。そして記憶があれば力も使える」
「どうしてそんなことを?」
「ただ、普通の人間として自分で生きてみたかったからかな。そんな深い理由はないよ。後、大罪たちにあって、彼らにも大罪越えを果たして欲しかったっていうのもある。でも、大罪悪魔が宿ってる人間なんてどこにいるかわからない。だから、正直あきらめていたよ。でも、あるときこの土地で出会ったんだ。ある悪魔に」
そこで、良太郎はかおるをすっと見た。
「それは誰なんだ?」
「ベルフェゴールだよ」
「え?」
「僕はね。ベルフェゴールをその身に宿して、そして、大罪悪魔を身に宿しながらその力を行使できる人間に出会ったんだよ」
つまり、それはベルゴがかおるの中に入る前に話というわけだ。
自分の前にもそんな人物がいたとは、ベルゴは一言も言っていなかった。
「そして、それは、君の父親だったんだ」
「え・・・?」
かおるは思考は一回遮断された。
(俺の父親が、ベルゴの前の持ち主?)
「まあ、混乱はするだろうね。だけで、話を続けるよ。僕はベルゴを宿した君の父親、稲垣章介に出会った。そこで、もちろんベルフェゴルに大罪越えになるように言ったよ。だけど、君の中にいる彼は、もう大罪越えを果たしていたんだ。でも、彼は人間に生まれ変わる選択はしなかった。君の父親の中にいることを選んでいたのさ。僕はその理由がまるでわからなかったけど、やっと今日わかったよ」
良太郎はかおるに、いやベルゴに微笑んだ。
「かおると、彼女を守るためだったんだね」
その目には、優しさが十二分にこめられていた。
「はは、また話が脱線してしまったね。まあ結論から言うと、あの飛行機事故はベルフェゴールを、君の父親を狙ったものだったんだ。あのときから、大罪悪魔を消滅させる計画は始まっていたんだよ」
<><><>
良太郎は続ける。
「漆黒の祭典を行える悪魔は、ベルフェゴールしかそのときいなかった。僕もあのときはできなかったからね。だから、この神はベルフェゴールを手に入れたかった。つまりだね。今のかおるの立場を君の父親にやらせようとしたわけだ。彼には妻も子供もいたからね。脅しやすかったのもある」
かおるは、いきなり濃縮された情報が浴びせられる。
それを、なんとか頭の中で整理しながら、かおるは聞いていた。
「そしてあの日だ。君の父親は神の提案。いや脅迫を拒絶した。そして、神の使徒と戦いとなったんだ」
そこで、かおるはいつか見た夢のことを思い出した。
三人の人間みたいなのが戦っていた。
そして、その戦闘の火種が飛行機に当たり、あの事故となった。
そのとき、最後まで飛行機を落とさないようにしていたのが一人。つまり。あれが・・・・。
「なんとなく、わかってきたみただね」
良太郎はかおるの顔を見て感じたことを言った。
神はまだ黙っている。
「そこで、君の父親は瀕死の重傷を負った。いや、正確にはその飛行機に乗っていた大半の人が重傷を追ってしまった。そこで、君の父親はなぜかベルフェゴールの力を将来君のもとに向かうようにしてくれと、僕に言ったんだ。僕にはそういう力もあったからね」
そこで良太郎はふっと笑った。
「あのとき、僕は何もできなかった。いや動かなかったが正しいかな。神に逆らうことなんてできっこないと思っていたから、だから、最後の罪滅ぼしとして彼の言うとおりにした。だけどその理由はまるでわからなかったよ。どうして息子を自分と同じ目に合わせる可能性のあることをするのかなってね」
「それは・・・どうしてだったんだ? 俺のベルゴの力が入ったからハルカが・・・」
かおるは言いたいことが素直に出てこない。
父親を責めたい気持ちはない。
だが、それでも、どうしてなのか理由が知りたかった。
「まあ落ち着いて、順を追って説明するからさ」
良太郎は微笑んだ。
かおるはそれに小さくうなずく。
そう、冷静にならなければ見えるものも見えなくなってしまう。
「どうして、そんなことをしたのか。それは君たちを守りたかったからだ。僕は最初、かおるに将来ベルフェゴールの力が宿ることを知ったから、井上ハルカを助けて、その身体を奪って見せたと思っていたけど違った・・・」
そこで良太郎が今度は神を忌々しく見る。
「最初から狙いは彼女だったんだよ・・・」
「作者は修正に修正を加えているため自分でも着地点が見えてないみたいだね」
「この作品がしっかり終わることを祈るばかりだ」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。