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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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敗北は決定的な件について(仮)


 かおるは良太郎に叫ぶと同時に走り出した。

 

 良太郎があきらめろというのもわかる。

 すでに、かおると江良さんとの戦闘の結果は目に見えている。自分にもう彼に抗うだけの力がないのもわかっている。普通ならこんな勝負とっくの昔にあきらめているだろう。かおるだって、自分がそこまで熱い男でないことは自分でも理解していた。

 

 だが・・・。


 頭ではそれが理解できていても身体を止めることが感情が許さなかった。


「はあああああ!」


 かおるが、江良さんに向かって拳を突き出す。

 だが、その拳にはもう先ほどまでの力はなかった。

 江良さんが、かおるの拳を簡単に、つかむ。


「くっっそ!」


 かおるは今度は江良さんのわき腹にけりを放つ。

 だが、そのけりも江良さんに簡単に防がれる。


 江良さんはかおるのその足をつかんで、かおるを放り投げた。

 かおるは、ぼろ雑巾みたいに地面に落下する。


「かおるは、お前はようがんばった。もうええやろ」


 江良さんが、かおるに対してかなしい表情をした。


 かおるはそれでも、口から嗚咽を吐きながら立ち上がる。


「ヒール(回復)、ヒール、ヒール・・・」


「それももう無駄や。お前に自分を治すだけの力はもう残ってない」


 だが、それでもかおるは、ヒールを口にしながら江良さんに近づいていく。

 かおるが、もう上に上げることも厳しい腕を体を回転させて江良さんに放つ。

 だが、その攻撃はピシという乾いた音をたてて、江良さんの顔に当たるだけで、何もできない。もう、相手が江良さんでなくてもダメージを与えることはできない。


「はあ、はあ、はあ・・・」


 かおる目からはもう精気が感じられない。

 息をするので精一杯、立っていることさへ奇跡に等しい。


「もう、ええやろ・・・」


 江良さんが諭すような口調で言う。

 彼も、もうこれ以上かおるを痛みつけることはしたくなかった。


「俺は・・・、ハルカを・・・・」


 かおるの体はとうとう崩れ落ち、地面に膝を着いた。


 江良さんはそんなかおるを上から見下ろす。


「残念やけど、お前の負けや」


「俺は・・・」


 


 -はは、もう体に力が入らないや。っていうか、視界ももう見えない。こんなことは初めてだな。結局俺はハルカを助けることはできなかったのか。俺は結局・・・。何もできないのか・・・。



 無常にも、かおるが膝を着いたと同時に、その日が終わった。



<><><><><>




「これでわかっただろう。お前たちは我の言うことを聞くしかないということを」


 かおるの近くに神がやってきた。

 だが、かおるは一ミリも動かない。

 そんなかおるを、神は鼻を鳴らして見下ろした。


「本当に愚かな人間だ。こうなることはわかっていただろうに、だが、いいことを教えてやる」


 それでもかおるは動かない。


「この娘を助ける方法はまだある」


 かおるの体がその言葉に少し反応した。

 それを神は確認して、微笑した。


「何、簡単だ。我がこの身体から出て、井上ハルカをの精神を再生すればいいことだ。簡単な話だ。肉体さえあるならば、精神くらい回復できる。我は神だからな」


 かおるは、ゆっくりと顔を上げて、神をみた。


「・・・それは。本当か・・・?」


 かおるは声を振り絞る。


「ああ、だが、もちろん条件がある。まあ簡単な話だ。我の僕となり、我の言うことを聞け。それだけだ」


 かおるは一度、神から視線をはずす。


 僕になれ。

 つまり、それはおそらく大罪悪魔と戦って、彼らを倒せということだろう。

 それだけなら特段難しいことではない。

 だが、その中の一人は良太郎だ。

 かおるは、今まで確かに大罪悪魔を宿した2人と戦ってきた。でも、それは彼らと戦ってその力を奪いたいという理由で戦ったわけではない。彼らがかおるの身近な人たちを傷つけたからだ。だがら戦った。

 でも、もし神の僕となれば、かおるのほうから戦わなければならない。つまり、今までの大罪悪と自分との関係が逆になるということだ。

 相手だって、自分と同じようなものだっているかもしれない。ただ普通の生活をしたいだけの人間だっているかもしれない。

 それを、かおるが崩す可能性があるということだ。


 かおるは葛藤する。


 ハルカという自分の大切な者を助けるために。他の人の大切な者を犠牲にする。 

 それは善なのか? 悪なのか?

 それは簡単だ。悪だ。

 だが、そうしなければハルカを救うことはできない。

 だったら、自分が悪になってもいいんじゃないのか?

 誰だって、大切な人のために生きているはずだ。少なくともそのために何かの犠牲は払っているはず。

 ならば、俺がそうすることだってある意味で正しいものなんじゃないのか?


「傲慢な神が、本当に果たして約束を守ってくれるのかな?」


 その言葉で、かおるは戻ってきた。


 かおるは言葉のするほうに顔を向ける。うっすらであるが人影が見える。


「かおる。君はまだ負けてないよ」


「なんやお前? まだ、かおるに戦いをさせようってのか!」


 江良さんが言う。

 言葉の主は、三人のもとに近づいてきた。


「かおるはここまでがんばったんや。もうええやろ」


「何がいいんだい?」


「は?!」


 江良さんは、言葉の主である良太郎に詰め寄る。


「お前は、これ以上かおるに傷ついてほしいっちゅうんかい?」


「誰が傷つけたんだろうね? あ、君か」


「お前!」


 江良さんが拳を振り上げた。


「やめろ!」


 その言葉で、江良さんの拳が止まる。


「何がいいたい?」


 神が良太郎に問う。


「かおる無残にも敗北!!」


「やめろ。いまシリアスなシーン!」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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