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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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身に刻まれる件について(仮)


 かおると江良さんとのど突き合いは続いた。江良さんのほうは、一見吹っ飛ばされたりしているので、ダメージがあるように見えるが、傷などはまったくといっていいほどついてはいなかった。

 対照的に、江良さんよりもくらった手数が少ないはずのかおるは、見る見るうちにその体の表情に疲労とダメージが蓄積されていた。かおるはそれを回復系魔法でなんとか保ちながら、戦闘を続けていた。


 そんな二人のことを、良太郎は遠目から見ていた。


「お前の作戦は、これでしまいか?」


 良太郎の隣に神が近づいてくる。そして、顔をにやつかせながら良太郎に聞いてきた。


「僕の作戦のことなんて、神様が聞いたところで意味がないでしょ? それに、ここで僕が何を言ってもお前がすることは変わらないはずだよ」


 良太郎は、冷徹な声で言った。


「ふん。かわいげのない悪魔だ。・・まあ良い」


 神も二人の戦闘に目を向ける。


「それよりも、あの戦闘はどうだ?」


「戦闘?」


「ああ、お前は、あの稲垣かおるが我の江良に勝つと思ってるのか?」


「はっ!」


 良太郎は、彼には珍しく吐き出すようにして笑った。


「何をいってんるんだい。誰もあの江良さんに勝てるわけがないじゃないか。もし、かおるが大罪の力をすべて集めたとしても無理だろうね」


「ほう。なら、どうして戦闘を止めない?」


「止めるも何も、僕はあの戦闘の中に入ることができない一般人だよ? ここは彼を見守ることくらいしかできないよ。それよりもいいのかい? 今なら僕を倒すチャンスだよ?」


 良太郎は、神を見た。そして、まるでいじめっ子のような笑みを向ける。


「ふん、もしもここで我がお前を倒して消滅さしたところで、大罪悪魔は必ず復活する。それでは意味がない」


「でも、それは漆黒の祭典を使っても同じはず。それでも結局は一人の大罪悪魔が残るだけなんじゃないのかい?」


 良太郎はその理由はわかっている。だが、ここはあえてそのことを神に聞いていた。相手がどう答えるのか気になったからである。


「最終的に本当の意味で消滅するお前が気にすることではない」


(ちっ! 期待はずれだ)


 良太郎は、また二人の戦闘に目を移す。


 かおるは、江良さんの攻撃をギリギリのところでよけながら攻撃をする。だが、その攻撃はもちろん江良さんにダメージを与えられない。


「お前の仲間を今、呼び出して助けたほうがいいんじゃないのか?」


「それこそ愚作だよね。こっちの戦力が無駄に削られるだけだ」


「だが、稲垣かおるを失うことこそ愚作ではないか?」


「かおるを失えないのは、どちらも同じだろう?」


 そこで、神は黙った。

 良太郎は、そこで神に対して口撃をする。


「ここまで来て、隠し立てをする理由もないから言うけどね。もちろんこっちだってそっとが何を考えているかなんて知っているんだよ。かおるを使って、大罪悪魔をすべて彼の持ち物にする。そして、君はその体。いや、井上ハルカを交渉の材料とすることで、かおるに対してなんらかの処置をする。それが封印系なのかどうなのかは知らない。けど、それで大罪悪魔を抹消しようとしているんだろ?」


 神は最後まで黙っていた。


「本当に傲慢な考え方だ。神ってやつは・・・」


「そこまで知っていながら、どうしてのこのこと稲垣かおるをここまで連れてきた?」


「そこを教える義理はないね。でもそうだな。正直ここまでの展開は僕の予想外だ。だけどまあ丁度よかったよ」


「よかった・・・?」


 良太郎はそれからは神の言葉をすべて無視した。もう神なんかと話すことはない。後は自分の使命を全うするだけだ。


 そのとき、ちょうどかおるが良太郎の目の前の付近まで飛ばされてきた。



<><><><>




 かおるは江良さんの攻撃を顔面にくらい、吹き飛ばされた。

 もう体中がどうなっているのか自分でもわからない。そして、自分の限界がもう迫っているのも理解していた。

 だが、相手はまだぜんぜん余力がある。

 しかも、先ほどから、攻撃の重さ速さが、どんどんあがってきている気がしていた。


(おいおい。マジかよ・・・)


 かおるは、ゆらりと体をゆらゆらさせながら、立ち上がる。


「ふうう、ヒール(回復)・・・」


 これももう、効果があるのかないのかわからない。


「もう限界かい?」


 そのとき後ろから声をかけられた。

 かおるは少しだけ振り向く。一瞬幻聴かと思ったが、そこには良太郎がいた。


「はは、ちょっとやばいな」


「もうあきらめたほうがいい」


「え?」


 良太郎は、かおるに近づいてくる。


「江良さんには誰も勝つことはできないよ。君もそれはその身で十分なほど経験しただろう?」


 かおるは黙って、良太郎から視線をはずした。


 良太郎の言う通りだ。かおるはその身に刻まれるほど、江良さんの強さを感じた。

 だが、彼を倒さないことにはかおるの大事な人を救えない。


「かおる、もう今日が終わるよ。後、五分だ。君はその間に江良さんを倒して、さらに神と退治しないといけない。そんなのは無理だよ」


「黙ってろ!!」


 かおるは叫んだ。




「黙らないよー」


「うわあ、いるよなそういうやつ」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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