気に入れらてよかった件について(仮)
「ハルカ!」
かおるがハルカの前に行く。
「これ、俺からの誕生日プレゼント。ちゃんとしたのは、また2人で買いに行くとして、俺からもちゃんと渡して置こうと思ってさ。まあ、なんていうか。これは普段の感謝の気持ちをこめてって感じかな」
かおるは、ポケットとから出した細長い箱をハルカに向けて渡す。
ハルカは少し驚いてそれを受け取った。
その箱を、ゆっくりとハルカは開く。そしてその中からかおるが、ショッピングモールに先ほど買いに言ったときに、こっそり買った二つのハートが絡まったネックレスが出てくる。
「まあ、そのたいしたもんじゃないんだけど・・・」
「いえ、ステキじゃないですか!」
正子が、ハルカの持つそれをきらきらとした目で見る。
ハルカはそのネックレスを見てとまっていた。
(あれ? もしかして気に入らなかったか?)
かおるは不安になる。
ハルカが、そのネックレスをかおるに向けて渡してくる。
「え?」
もしかしてマジでいやだったのか?
「付けて」
「え?」
「だから、付けてよ」
「わ、わかった」
かおるは手に取ったネックレスを、後ろを向いたハルカに手を回して付けた。
ハルカがさっと振り返る。
「似合うかしら?」
「ステキです!」
正子がくい気味に言う。
ハルカはそんな正子に微笑んだ後、かおるを見た。
「に、似合ってるよ・・・」
「そう。ありがとう。うれしいわ」
ハルカはかおるに対しても満面の笑みを見せる。それを見て、かおるは心のそこから安心して、今回のサプライズは成功したと思った。
では、わたし達は失礼します。といって正子たちは午後9時ごろに片付けを終えて帰っていった。
かおるとハルカは彼女のたちを玄関まで行き見送った。
そして、今、かおるたちはリビングで2人きりとなった。
「まさか、あんたがこんなことをしてくれるなんてね」
椅子に座って、先ほど作ったハーブティーを片手にかおるに微笑んだ。
「まあ、喜んでもらえて何よりだよ」
かおるは照れくさそうに鼻を掻きながらそっぽを向いた。
そこからはなんでもない時間が流れた。
いや、正確にはいつも通りの時間だ。
最近はあまり感じることがなかったが、かおるは自分がこの時間が一番心地いいのだと感じた。最近は自分でもわけがわからないがいらいらしていた。それがこの時間で一瞬ですっきりした気分だった。
(本当、俺って単純なのかもな)
気が付けばそれから一時間も経ち午後10時を超えていた。
「私、上に上がってるわね」
「ん」
ハルカが階段を上がっていく音が聞こえる。
かおるは、リビングのソファーに背中をめいいっぱいあずけて腰掛けた。視線は天井を捉える。
(今日は、まあいい一日だったろう)
それから、かおるは身体の疲れから眠ってしまった。
- - -
ここは、この土地に大きな山。彦山にある誰も知らない場所。
私はそこにある樹齢何千年の木の前に立っている。
【約束どおり来たな】
どことなく空間から声がする。いや、直接脳の声が届くような感じか。
「当たり前でしょ。そうしないと、私の大切な人が危険な目にあうじゃない」
【ふん、相変わらず口の悪い女だ。せっかく命を与えてやったというのに、感謝が足りないな】
「感謝も何も、私はあんたと契約を結んだだけ、私の六才までの記憶と引き換えに10年間私を生かしてくれるってね。あんたも利益を得たんだから感謝なんて必要ないでしょ?」
私は相手に対して悪態をつく。もう、少ない命だ。最後くらい相手に言ってやってもいいだろう。
【最後だからと、神に向かってよくもまあ、そこまでいえるものだ。あの男もお前と共に暮らしていて大変だったろうにな】
「知ったふうなことを言わないでくれるかしら?」
【知っているさ。すべてみていたからな。この目を通して、なにせ我は神だからな。それにあの男は我にとっても重要な人間だ。常に彼のことをわれは見ている】
「監視しているの間違いでしょ?」
私は結局、こいつから彼を助け出すことはできなかった。
結局は神と人間ということが、自分にはなんの力もない。
後はあの子に任せるしかない・・・。
「まあ、いいわ。こんなやりとりをしても不問よ。どうせ後少ない命なわけだし、最後は静かにしてもらえるかしら?」
【まあいい。時間がくるまでせいぜい待っていることだ】
その声を最後に、私の周りが静寂に包まれる。
私は目の前の木にもたれかかり、ゆっくりと座った。
今日で、私の人生が終わる。まあ。充実した人生だったろう。
私は時計を見た。時刻は午後十一時、後一時間か・・・。
それから、首に掛かるネックレスを手に取り見た。
あいつは私がいきなり消えたらなんて思うだろう。悲しむのかな。それともなんとも思わないのかな。それだと悲しいな。
最後の日である今日は楽しかった。
後願うのは、あいつにいい未来が待っていることだけだ。
私は静かに目を閉じた。
- - -
かおるは午後十一時前に目がさめた。
身体が少し重たかったので、ゆっくりと身体を起こす。そして、心臓が急に心拍を増す。
「お前・・・」
「やあ、この前ぶりだね。あえてうれしいよ」
そこにいたのはフードの人物だった。
「やっと、物語が動き出す!」
「長かったな!」
「こて入れ回が一番駄目だった気がする」
「それは言ったら駄目なやつだから」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。