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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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最終手段を行使する件について(仮)


「もう、何やってるのよ。本当食事もろくに取れないの!」


 危ない危ない。

 まさかの質問に取り乱してしまった。


 かおるはなんとか、自分の口の中身を処理して、ハルカを見る。


(ここは冷静に、相手に悟られてはいけない)


「ひや、しらにゃい」


(何やってんだよー!)


 かおるの声は見事に裏返った。


「何よ。何か知ってるんでしょ?」


(まずいまずい。さっきはいきなりだったから心の準備ができてなかっただけだ。次でなんとか挽回すれば疑いも晴れるはず)


「だからー」


(よし。いいぞ)


「しらにゃいって」


(うおおおおおお)


 何をやってるんだ。そんなキャラじゃないだろ!


 かおるは心の中で一人もだえる。まさか自分がこんなにも柔軟性のない人間だとは知らなかった。いや、しらにゃかった。


「もう、何か知ってるなら教えなさいよ。あんたがそこまで動揺するってことは私に関係があることなんでしょう? さ、白状しなさい!」


 ハルカは引き下がる気がない。その目でじっとかおるを睨み付ける。


(まずい・・・)


 このままではせっかくのサプライズが台無しだ。いや、正直かおるはばれてもいいとは思っていた。サプライズでなくても誕生会自体はハルカは喜んでくれるとは思っていたからだ。

 しかし、それはかおる一人の考えで明かしてもいいものではない。みんながここまで協力をしてくれたんだ。ここでその労力を無駄にすることはしてはいけない。ハルカの様子から、正子はハルカの友達にしっかりと声をかけてくれてようだし、ここは踏ん張らなくては。


 かおるはリビングの時計を見る。時刻はまだ一時前だ。かおるの目の前には少し昼食が残っており。ハルカの前にもある。


「ハルカ・・・」


 かおるは真剣な表情をして、声も低くする。


「何よ?」


「俺は今、お前のすばらしい料理を食べている途中だ。まずはこの料理を堪能したい。これが俺の中で至福の時間ランキングトップレベルなんだ。頼むからその話はお互いが昼食を終えた後にしないか?」


 ハルカは一緒ほほを紅く染める。がそれはすぐに収まった。


「わ、わかったわ。存分に至福の時間を楽しめばいいわ」


「ああ、楽しむよ」


 かおるは残りに手を付ける。


 まずは時間稼ぎに成功した。これで、今後の展開を考えることができる。さて、どうしたものか・・・。


 かおるは出来るだけゆっくりと、料理を堪能して食事をしたがそれでも数分で食べ終わってしまった。

 ハルカが二人の食器を片付けて、席に戻る。


「それで? あんたは何を隠してるのよ?」


「俺は・・・」


 かおるは思考をフル回転する。


「ハルカ、これから外に行こう」


「へ? いきなりどうしたのよ?」


「散歩がしたい気分なんだよ、いいだろ?」


「いやよ。暑いじゃない」


「なんでだよ?」


「何? あんたどうしたのよ。暑さにでもやられたわけ?」


「おかしくなってなんかないって」


「だったら、なんで急にそんなこというのよ?」


 ハルカの表情はかおるを疑っている。

 このままでは埒が明かない。最終手段に出るしかないか・・・。


「買い物に行きたいんだ」


「なにまた、ゲームでも買うわけ? それなら却下よ。あんな高いものそう何個も買っていたら家計が持たないわ」


「ゲームじゃない」


「じゃあ、何よ?」


 かおるは、間を空ける。ここで一発決めてやると意気込む。


「今日はなんの日だ?」


「終業式でしょ?」


「違うな」


「え?」


 かおるは、ハルカの目を真剣に見つめる。ハルカの目が一瞬たじろぐのを感じた。


(今だ!)


「ハルカの誕生日だ! 今年は俺は覚えていた! そして、これからその誕生日プレゼントを買いに行く! いいか!?」


 かおるは立ち上がりながら言う。


「え・・・、覚えてたの?」


「もちろんだ」


 本当は昨日思い出したけど。


「私てっきり、昨日の感じからまた忘れているんだと思っていたわ」


 ハルカがつぶやくようにして言う。

 かおるが昨日忘れていたことはばれていたみたいだ。


「ほら、行くぞ」


「あ、わかったわ。少し着替えてくるから、待ってて」


 ハルカは急ぎ足で、リビングを出て階段を上がっていく。


(一応、俺も着替えるか・・・)


 かおるは自分の服を見て思った。

 これで正子たちに対する目はなくなっただろう。後はこれからの買い物をどうするかだな・・・。





 かおるとハルカの二人は、街にある大型ショッピングモールにやってきた。ここには電車で一駅なので午後二時前には着くことができた。


「うへえ、今日はまた多いな」


「まあ、この近辺の学校は今日が終業式だから、みんなはねを伸ばしに来たんでしょうね」


 ショッピングモールは平日なのに休日さながらの人の多さだった。


「それで? かおるは私に何を買ってくれるのかしら?」


 ハルカがかおるの顔をのぞきこむようにして言う。


「正直に言おう。俺はハルカが何がほしいのかわからない。だから、今回は二人で周りながら二人で考えたいと思う」


 かおるはそこで正直に話した。ここで変につくろっても仕方がない。


「まあ、そんなことだろうと思ったわ。じゃあ、今日は私の一日奴隷ってわけよね?」


「奴隷・・・?」


「存分に付き合ってもらうわよ」


 ハルカは不気味な笑みを浮かべて先を歩いていく。

 奴隷って、まさか変なことされないよね? かおるに不安が襲ってきた。




「そしてかおるは死ぬまで奴隷として生きていくのでした」


「そんなオチいやだわ!」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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