表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
155/227

魔王降臨な件について(仮)


 終業式当日、かおるは緊張していた。それはもちろんハルカの誕生日パーティーのこともあるのだが、そのほかの成績の返却があるからである。いわゆる通知簿というやつだ。

 その通知簿の良し悪しもまたハルカの機嫌を左右するものとなる。

 通知簿の成績は十段階評価だ。なので、かおるが目指すものは平均して5! それさえあればハルカの怒りも収まるだろう。


「じゃあ、呼ばれたやつから来いよ」


 担任からのその言葉で出席番号順に次々と呼ばれる。かおるは稲垣なので、すぐに呼ばれることになるのだが、いつもこのときだけ自分の名前をうらんでいた。何せ心の準備ができないうちから呼ばれることになるのだから。

 

 中学校三年生のときの一学期は、通知簿の成績がよろしくない。アンド、誕生日を祝わなかったことから、ハルカから見事なラリアットを食らったことをここにきて思い出す。


(ああ、どうか神様!)


「稲垣」


 担任のその言葉で、かおるは席を立ち。前まで行く。


「最後、踏ん張ったな」


 担任からの言葉を受け、通知簿を受け取り席に戻る。


(よし、開くぞ・・・・)


 席に着いたかおるはしばらく通知簿とにらめっこをしていた。回りではそれぞれの人間が自分の成績wを見せ合い。歓喜するもの、意気消沈するもの、相手を嘲るものなど、様々な反応が繰り広げられていた。

 だが、かおるにそんな相手はもちろんいない。


 震える手をなんとか押さえて、かおるは二枚折になっている通知簿をいっきに開く。


「・・・・お?」




 

 終業式の日、学校にあるうわさが広まった。

 それは、あの学校のマドンナ宮内 正子、雷竜使いが友達を募集しているというものだ。しかもなんとパーティーを開くのでぜひ来てくれと女子陣を誘っているというものであった。さらに、そこには篠原 トシコ、川瀬 孝子も参加するということで、学校では女子だけでなく男子もなんとかその輪に入ることができないものかと躍起になっていた。


 だが、かおるにそんなことなど耳に入るわけもなく。彼も正子たちが置かれている苦境を知ることなく自宅に戻っていた。

 そして、リビングに鎮座する。魔王に向かって正座をして、今、通知簿を見せている。


「ふーん」


 ハルカがそう鼻を鳴らす。

 それがどちらの意味なのか、かおるはどぎまぎしていた。


「まあ、及第点ってとこね」


(助かったああああああ)


 かおるの評定平均は見事5を達成、なんとか死刑宣告は免れることとなった。


「じゃあ、お昼にしましょうか」


 ハルカの通知簿はリビングの机に置かれている。

 かおるは彼女がキッチンに向かう隙にそれをさっと盗み見た。


(おう・・・)


 かおるはそれをすぐに閉じる。

 見てはいけないものを見た。自分には毒だと感じたからだ。


(10しか見えなかったぞ・・・、どんな生活してんだよ)


 かおるは、自分の彼女の大きな差にダメージを受けながらもなんとか気持ちを整理する。

 なにせ、今日の本当に一大イベントは通知簿なんてチンケなものではなく。もっと壮大でロマンチックなものなわけだ。


 かおるはリビングにある時計を見る。

 現在の時刻は正午だ。そして、かおるがハルカを外に連れ出すのが午後二時ということとなっている。それから適当に時間を外でつぶしている間に、正子たちがこの家の内装を少しパーティーチックにして、二人が五時ごろに帰ってきてサプライズという流れだ。

 もちろん二人が外に出ている間にハルカの友達や、かおるがなんとか誘うことができた二人の人間も入る手はずとなっている。


 ここでの問題はひとつだ。


(ハルカをどうやって外に連れ出すかだな・・・)


 かおるが考えているのは二つ、一つはかおる自身が買いたいものがあるから付いてきてくれといって連れ出す方法。何せ、この家の財政はハルカが握っている。つまり、かおるが彼女を連れて自分がほしいものを買ってもらうのはこれまでにもあったことだ。

 次は、ここは素直に彼女の誕生日プレゼントを買いに行くという選択肢。このことにより、この後のサプライズが少し落ちることになるかもしれないが、まあ無難だろう。

 良太郎が言ったように後で二人で買いに行くということもいいかもしれないが、やはり、誕生日プレゼントは当日のほうがいい気もする。


「はい。これ」


 かおるの目の前にお昼ご飯が運ばれてくる。


(問題はどうやって切り出すかだな。とりあえず外にさえ連れ出せば後は、なんとかなるだろう)


 そこで、かおるは昼食を外で食べることにすればよかったとここで思った。そうすれば簡単に外に連れ出すことができたのに・・・。


「どうしたのよ? 食べないの?」


「あ、いや。食べるよ。いただきます」


 かおるは急いで、目の前にあるピラフに手を付けた。本当、ハルカの料理の腕には毎度びっくりするばかりである。


「ああ、そういえば、なんか今日宮内さんが私の友達に話しかけてたんだけど何か知らない?」


「ぶふ、うgへうえhふぇりえ」


 かおるは、その場で咳き込み。危うく口から見事に吐き出す寸前になる。






小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ