成長すれば変わっていく件について(仮)
映像が、飛行機の機内の中の映像から、外の映像へと切り替わる。そして、それがエンジン付近の部分に移っていった。
「ん? なんだ?」
かおるは、そこで、小さな物体が飛行機の周りを飛んでいるのが見える。小さいといっても、飛行機を基準としたものなので、実際には人と同じくらいの大きさはあるだろう。
その物体に対して次第にフォーカスが合っていく、すると、かおるの予想通り、それは人であり、三人の人間であることがわかった。
(人が中に浮いている・・・)
少し前までのかおるなら、そんなことは信じられないし、この映像に関しても、なんとも思っていなかっただろう。だが、今は違う。
(異能力者か・・・・)
飛行機は地上から、見ればゆっくり動いているように見えるが、実際にはものすごい速さで動いている。その飛行機からピタリとくっついて動かないこの三人も、同等にかなりの速さで飛んでいるということだ。それだけで、かなりの手だれであることが理解できた。
かおるは、さらに映像に集中する。
三人は、それぞれがそれぞれに牽制をし合っているようで、三つ巴の戦いのようだった。だが、その戦いについては、映像が早いのもあるし、戦闘自体もおそらく高速で行われているので、なんとなくでしか見ることはできなかった。
次第に三人はエンジン部分から、燃料タンクがある付近に移動する。
そして、その内に一人が放った攻撃が、飛行機にぶつかった。それにより、飛行機の燃料タンク付近の外装がはがれ、そこから、大量に燃料が漏れ始める。
だが、攻撃を放ったやつと他の一人はそんなことは気にしないで、戦闘を続ける。そして、一人が必死に飛行機に攻撃が当たらないようにする。
それから、映像はまた機内の中に戻った。
「ねえ、お父さんは?」
かおるの声だ。
「今、少し用事を済ましに行っているのよ」
「すぐに戻ってくる?」
「ええ、もちろん」
懐かしい母親の声がした。
「かおる! トランプしようよ!」
子供のころの、無邪気なハルカが、かおるをトランプに誘う。
そのとき、飛行機がガタンという音を立てて、揺れだした。
それと同時に機内放送がかかる。内容はもちろん、燃料タンクから、燃料が漏れ出しているというもので、今から緊急着陸をすると言っている。
かおるの母親が、かおるを抱きしめる。
ハルカは、両親から抱きしめられる。
アラートが鳴り響く機内で、叫び声や、悲鳴、神に祈るものの声が混ざり合い。混沌と化す。
飛行機は、そのまま町に向かって落下していく。
「機長! このままでは、街に落下してしまいます!」
映像がパイロット室に変わる。
「くそおおおおおおお!」
機長と呼ばれた男が、必死に操縦ハンドルを上に向かって押し上げる。
「機長!!」
その瞬間、飛行機が一瞬上昇する。そして、街を抜けて、その先にある山に向かって行く。
そして、そのまま、山の側面を削っていった。
「かおる!」
その先の映像が、流れそうになったとき、その声とともにかおるは、目が覚めた。
目を開けると、目の前に、ハルカがいた。
「何ほうけた顔してるのよ。もう八時前よ? 仕方がないから、起こしてあげたのよ。感謝しなさい!」
「ハルカ・・・」
「何?」
「お前は、昔はかわいい系だったけど、今はきれい系だよな」
「は?!」
ハルカの顔は見る見るうちに赤くなる。
「いきなり変なこと言うんじゃないわよ!」
「うっ!!」
ハルカは、かおるの腹に、蹴りを一発かまして、去っていく。見ると、耳まで真っ赤だった。
「早く、起きてご飯だめなさい。待ってるから」
最後にそういい。ドアを勢いよく閉めた。
かおるは、起き上がり、とりあえず。遅刻でもしたら、ハルカに何を言われるのかわからないから、急いで準備をした。
そのおかげで、その日は遅刻することなく学校に行くことができた。
かおるはその日一日、その日見たのであろう夢について、考えていた。あれが、いったいなんだたのか、本当に起こった出来事だったのかだ。もし、あの映像が本物だというなら、あの事故は異能力者が原因だったというわけだ。しかも、かなりの上級者、それが、なんだというわけではないが、なんとなく気になった。
この時期に、あの映像、何か関係があるような気がしていたからだ。
かおるは放課後、あの事故について、もう一度調べてみようと思った。もしかしたら、あんな夢を見るということは、何か、自分の中でまだ、あの事故について思うところがあるのかもしれない。
だが、まったく関係ないということもある。
最近あった。いろいろな出来事のせいで、あんな変な夢を見たのかもしれない。だから、ハルカに事故のことについて聞こうかとも思ったが、それはやめておくことにした。というか、事故があってから二人でその話をしたことがないことに、そのとき気がついた。
キーンコーンカーンコーン!
最後の授業のチャイムがなる。
かおるは、勢いよく立ち上がり、教室を出て行こうと思ったが、そのとき、自分が掃除当番であったことを思い出した。
「かおるもかわいかったんだろうか?」
「それはそうだろうよ」
「いや、多分、かわいくなかったよ」
「なんでやねん! (なぞの関西弁)」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。