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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第一部 ハードボイルドがわからない件について(仮)
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4時間とは、随分と長い猶予時間である件について(仮)


 「それが君の力?」


 かおるは何がどうなっているのかわからなかったが、自然とその言葉が出た。


 「そうです。本当にちっぽけな力なんですけどね。」


 そういうと、手から出ている雷光が消えた。おそらく、宮内が自ら消したのだろう。

 

 宮内は先ほどまで座っていた、かおるの前に座る。


 かおるは、まだ頭が現在の状況に追いついていなかった。何をどうすればいいのかわからない。頭の中を整理する時間がほしかった。


 ピロピロピロピローーー


 そのとき、音がなる。


 「すみませんわたしです。」


 宮内が床においていた通学かばんから電話を取り出す。そして、申しわけなさそうに言う。


 「すみません。電話してもいいですか?」


 「ああ、いいよ。」


 かおるは電話をいし出した宮内から目を離す。ちょうどいい。宮内が電話をしている間、状況を整理しよう。


 まず、この変な状況のきっかけは何なのか? そうそれは、この右手から出てきた炎、黒い炎だ。


 かおるは右腕を見る。


 あれはなんだったのか。そこで、かおるはもしかしてと思い。自分の中で念じてみる。


 (炎よ出ろーーーーー。)


 しかし、現在かおるが見ている右手からは何も出ない。手汗しか出ない。


 やっぱり何もでないか。かおるは念じるのはやめた。


 かおるの炎に対しての宮内の反応は予想外のものであった。それからかおるは宮内の力を見せられる。今まで彼女が、いや彼女たちがやってきていることや、その言葉はすべて、中二病からくるもの、個人の幻想から来るものであり、他人にとっては意味のないものだと、自分には特に大事なものじゃないと思っていたが。そうではなかったみたいだ。すべてではないが、ある程度現実から来ているものだったのだろう。


 それにしても予想外のことになってしまった。これまでの状況を整理し考えると、まさか、本当に能力者がいるということになるのか、しかも、それが目の前にいる学校で有名な中二病問題児であるというのか。


 (この世界の異能力がある!!)


 かおるは今までの人生で経験したことがないような高揚に襲われていた。流石に、今すぐにすべてを受け入れることは、今までの人生でいろいろなことを許容してきたかおるでも、もう少し時間がかかりそうではあるが、可能性として見せられた現実には高揚せざる終えない。


 そのとき、宮内の電話が終了した。


 かおるは宮内の顔を見て、声をかけざる終えない。


 「どうした?」


 宮内は顔面蒼白であった。口がわなわなと震える。


 「二人が・・・・・。」


 「二人?」


 「二人が、拘束されました。どうしよう。どうしよう。どうしよう!」


 宮内が動揺しているのがすぐにわかる。なにか、重大なことだ。


 「落ち着け! 何があったのかゆっくり説明してくれるか?」


 頭を抱えて小刻みに震えている宮内の横にかおるは行き。そっと肩に手を当てる。


 それでも、少しの間、混乱を続けいたが、ゆっくりと落ち着きを取り戻していく。その間、かおるは宮内のそばにいた。


 かおるはもう一度聞く。


 「何があった?」


 「としこと、たかこがある人物につかまりました。」


 としこと、たかことは、あの屋上で紹介された忍者の篠原と、魔法少女の川瀬のことである。


 「誰に捕まったの?」


 「それは・・・・。」


 宮内が口ごもる。


 「漆黒の力を持っている人間にです。」


 「漆黒の力? それは俺と同じってこと?」


 俺と同じとは、まるで自分がその力を本当に持っているかの響きだったが、話を円滑に進めるためだ。仕方がない。


 「そうです。かおるさんと同じ漆黒の力です。」


 「漆黒の力は複数あるってことなのか?」


 「それは、わかりません。でも彼は自らの力を漆黒の力であるといっていました。」


 宮内は一度大きく深呼吸をする。


 「ふー。わたし達があなたに接触した。本当のことを聞いてくれますか?」


 宮内は、かおるの目をみて言う。その目は真剣そのものだったので、かおるも、その思いに答えねばと感じた。


 かおるは、宮内の側から離れて、目の前の、先ほどま座っていた席に戻り、言う。


 「時間はあるのか?」


 そう、問題は時間である。現在、宮内の仲間が、漆黒の力を持っているというやつに拘束されている。それがどの程度のものなのかわからないが、そんなにお悠長とはしてられないはずだ。


 「時間なら、あります。」


 宮内はリビングにある。掛け時計を見て言う。そこには、午後8時前を示している。


 「あちらから指定のあった時刻は、午前零時です。おそらく、その時間が漆黒の力が一番強まる時間帯だから、その時間を指定してきたものと思います。わたしみたいな小物に対してでも、万が一がないようにしているのです。」


 その顔は、ほんとに悔しいという思いがにじみ出ていた。


 「そして、場所は学校。なので、充分に時間はあります。」


 「そうか。」


 午前零時まであと四時間あまり、さて、これからどうなるものか。

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