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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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よく立ち上がる件について(仮)


 かおるは上野と思われる人物に向かって走っていく。その距離は100メートルほどだろう。


「上野!」


 かおるは叫ぶ。だが、上野は、かおるの目の前から一瞬で消えた。


「なっ・・・」


 かおるはその場で辺りを見渡す。

 だが、なんの気配も感じることはできなかった。


(なんだったんだ?)


 その日のかおるは、目の前にあらわれた上野のことで頭が一杯だった。

 なので、結局その一日、彼の中では平穏を保つことはできなかった。


 キーンコーンカーンコーン!


 その日最後のチャイムがなる。


「起立、礼」


「「ありがとうございました!」」


 かおるは、その日、ずっと教室にいたがなぜか彼女たちはこなかった。だが、かおるは一応、すばやく帰り支度に取り掛かる。そして、誰よりも早く教室を出た。


「かおるさん!」


「おっと、宮内さん・・・」


 しかし、残念ながら、かおる達のクラスよりも正子のクラスのほうが早く終わっていたので、玄関までたどり着いたときに、彼女と出会ってしまった。


「これから、少し、いいですか?」


「え・・・と」


(仕方がないか・・・)


「わかった。なら、一緒にお昼でも食べようか」


「ありがとうございます」


 正子は律儀に頭を下げた。



  -   -   -   -



 かおると、正子は学校近くにあるファミレスに入った。ここは以前、良太郎たちと、宮内さん中二病取り戻そう会議を行ったところだ。


 2人は、席に付いて、かおるはハンバーグセット、正子はBセットを頼んだ。それとお互いにドリンクバーも頼んだ。


 2人はまずドリンクバーで、かおるはコーラを、正子はメロンソーダを入れて席に戻った。


「こうやって、2人で食事するのは初めてだな」


「そうですね」


 かおるは、いきなり本題には入らず。軽い話から入る。

 

「それにしても、今日は後の2人はいないんだね」


「はい、そうですね。巻いてきました」


 正子は微笑む。


「嘘です」


 かおるが、あっけに取られていたので、すぐに正子は表情を変えないで言う。


「今日は2人には遠慮してもらいました。どうしても、2人でお話しをしたかったので」


 客観的に見れば、ものすごい大胆な発言だろうなとかおるは思った。

 だが、正子とかおるの関係は、そんな青春的なものではないと、かおるは思っていた。


「こちら、ハンバーグセットです」


「ありがとうございます」


 そのとき、かおるが頼んだものが運ばれてきた。


「どうぞ。お先に食べてください」


「そう? じゃあ、遠慮なく、頂きます」


 かおるは手を前で合わせて、まずハンバーグから手をつける。

 それから二分ほどして、正子のBセットも運ばれてきた。


「それで、今日は何の話をするのかな? 昨日のこと?」


 正子が食べ終わって、お互いに新しいドリンクを入れた後、かおるが言う。


「もちろん、昨日のお話についてのこともあるのですが、本題はそれではないんです」


「そう・・・」


 かおるの予想外の返答だったので、小さな声が漏れる。


「もちろん、昨日のお話についても、非礼をお詫びしたい気持ちがあります。昨日は、いきなりあんなところに呼び出してしまい。申し訳ございませんでした」


 正子は席を立って、頭を下げた。


「いや・・・!」


 かおるは急いで、正子に手を振る。


「座って、座って、別にそんなにかしこまらなくてもいいからさ。それに、呼び出したのは、宮内さんじゃなくて、良太郎だし、正確には宮内家だろう?」


 正子は、もう一度軽く、頭を下げて、席に座りなおす。


「そうですが、わたしは宮内家の人間ですから・・・、それで、その、昨日の契約のことについてだけど、あの・・・」


「いやなら、断ってくれてもいいって言うんだろう?」


 かおるのその言葉に、正子は驚いた表情をする。


「そんなに、驚くことないって、一応、付き合うは浅いけどなんとなく宮内さんの性格についてはわかってるつもりだよ? だから、そう言うだろうなって思った」


 その場に少し沈黙が流れる。周りにはファミレスのBGMと、周りにいる別の客の笑い声が流れる。


「わたしは・・・」


 その沈黙を破ったのは正子だった。


「確かに、この土地を守らないといけません。そして、現状、正直ずるい言い方をすれば、かおるさんのお力をお借りしなければ厳しいのは確かです。ですが、わたしは、それで、あなたとの関係を変にしたくはないのです・・・。ですから、その断ってくださったほうがわたしはうれしいです・・・」


 かおるは、正子の言葉をしっかりと聞いた。それにより、彼女の思惑を読み取る。

 正子は、かおるに今回の提案というか、脅迫染みたものを断ってもらうために、わざわざ遠まわしな言い方をしているのだろう。彼女が断ることを望んでいるのだから、かおるはそれを選ぶだろうという判断だ。


「はは、本当にずるい言い方だなあ・・・」


 かおるは、ジンジャエールを飲む。

 そして、決心した。


「そうだなあ、わかった。契約の話、俺は受けるよ!」


「え? いや! かおるさん!」


 正子がまた立ち上がる。

 それを、かおるは手でまあまあ、となだめる。


「落ち着いて、宮内さん」

「かっこつけちゃって」


「いやいや、俺は別にそんなつもりは・・・」


「それはどうかなあ?」


「いやな言い方をするなよ!」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。


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