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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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悩んでいる件について(仮)


「おはよう」


 かおるは、教室に入る際に、いつもあいさつをする。小声で、これはなぜか欠かさずに行ってきたことだ。そしていつも通りに誰からの返事もない。


 ハルカとは、学校に入ってから別れた。


 かおるは、静かに席に着く。

 

 その際、かおるはまた、岡本からの絡みがあると警戒したが、今日はそれがなかった。彼も昨日のことを気にして、さすがに遠慮しているのだろうとかおるは思った。


(今日一日は平和に過ごすことができそうだ)


 岡本だけでなく、先ほど、江良さんに話しかけられていた人達や、昨日、少し揉めた人達も今日はいつも通りの対応をしてくれる。つまり、かおるを空気として扱ってくれているわけだ。それが、かおるには心地よかった。

 だが、それもおそらく、あの三人組がくるまでの間だろうともかおるは思った。


(今日は休み時間は教室にいないでおこう)


 久しぶりの平穏な生活だ。これを手放すのは惜しい。


 そう決めたかおるは、早速、1時間目が始まるまで、校内を適当に回ることにした。

 かおるが現在いる教室、つまり彼のクラスは四階にある。

 彼はまず、教室を出るとすぐ横にある階段を使って一階まで下りようと思って教室を出た。

 かおる達の在学している高校は、一学年八クラスあり、一年生は四階、二年生は三階、三年生は2階に教室がある。そして、大きな一つの建物が、西と東に分かれていて、東棟と西棟に各四クラスずつ配置されている。かおるのクラスは東棟にあるAクラスだ。その西と東は渡り廊下で繋がっており。その間が一階からの吹き抜けとなっている。

 

 2つの棟にはそれぞれ屋上があり、かおるが正子に、連れて行かれたのは東の棟の屋上である。


 かおるは軽い足取りで、一階までの階段を軽快に降りていく。どうしてこんなにも軽快なのかというと、この階段を件の3人が使うことはおそらくないからである。彼女たちは西棟にあるクラスなので、登校する際は一階から、西棟の会談を使うはずだからだ。


「よっと!」


 かおるは最後の階段を二段飛ばしで降りた。そして、辺りを見回す。念のため、玄関には向かわず。反対方向に歩いていく。


「これも、まだまだか・・・」


 外に出たかおるは、左手に見える崩壊した体育館跡地を見る。

 これは、かおるが、能力を手にして始めて対人戦闘を行った場所である。

 あのときは、相手がいわゆる偽者だったので助かった。今までの戦闘を考えれば比較的楽勝だったものだろう。


「ふっ・・・」


 そこで、かおるは、苦笑する。

 まさか、自分が自分の戦いを振り返ることがあるとは、高校生になったときは思わなかった。それに、その戦闘に対して、自分なりの戦評を下すとも・・・


 上野と、正子との死闘により崩壊した体育館は、残念ながら、あれから二ヶ月たった今でも、新しいものが完成していなかった。なので、今そこには、破片などは取り除かれて、更地に近い状況だ。聞いた話では、夏休みの間に建設するらしい。一ヶ月で、それができるのかどうかは、かおるにはわからないが、あれだけの戦闘を、もみ消した宮内家の力があれば、可能なのかもしれない。


 だから、今、かおる達は体育館での活動をすることができない。軽いものなら、多目的室がある別館とよばれる建物の中で行うことができるが、流石に室内の部活道などはそれができない。なので、そういう部活は、かおる達の街にある民間の体育館を無料で使用することができるので、そちらまで体力づくりのために走っていって、活動をしている。


 かおるは、その変にある段差に腰を下ろした。


 長いようで短い二ヶ月だった。だが、濃厚だったのは間違いない。そして、自分がよくわからなくなったのも間違いない。


 かおるは、ここ数ヶ月の行動が自分ではよくわからなかった。

 彼は全員を救うつもりで行動してきた。だけど、そうは行かなかった。確かに、救えた命はたくさんあるのだろう。だが、正子の祖母や、中根という男、彼らは悪魔を身に宿したために、その命のともし火を消した。


 かおるは空を見上げる。


 今、自分が考えているようなことは、おそらく考える必要がないことなのだろう。だが、最近それを考えずにはいられない。


 かおるは、その視線を右腕に移す。そこには軽く包帯が巻きつけられていた。


 もう、自分は普通の人間ではなくなった。

 かおるはそれが意味することを常に考えていた。


 最近、夜になると腕に激痛が走る。今朝には、ある不安で目が覚めた。

 かおるは、自分がそうなっている原因がなんとなく理解できていた。


 かおるは右腕を握りしめる。


 自分の中でまだ、いろいろと整理ができていない。


「ああ、なんだかなあー」


 かおるは空に対してそう言い放つ。


 キーンコーンカーンコーン!


 そのとき、チャイムがなる。


(そろそろ戻らないといけないな)


 かおるは、ゆっくりと立つ。そして声にならない声を出しながら、伸びをする。


「!!」


 そのとき、かおるの視界に、ある人物が映る。


「あれは・・・」


 間違いなかった。距離はあるが、その人物が誰なのかは、なぜかはっきりとわかる。


「上野?・・・・・」


「やっと、彼の再登場だね」


「実はずっと、作者は再登場させる気だったんだ」


「さて、これからどんな活躍をしてくれるのでしょうか?!」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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