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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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一礼は必要な件について(仮)


 かおるは次の日の朝、午前3時ごろに突然目が覚めた。そのとき感じたものは、何か嫌な予感がするというものだ。


「な、なんだ?」


 かおるはそこで、脂汗が顔ににじみ出ているのに気が付いた。

 その汗を手で拭う。


「ふう」


 かおるは、その後、朝まで眠れなかった。



「どうしたのよ。その顔?」


 案の定、朝七時、珍しくちゃんとした時間に、リビングに下りてきたかおるにハルカが言う。


「まあ、あんまり眠れなくてな」


「まあた。ゲームとかしてたんでしょう? 本当に、いい年して、何やってるのよ・・・」


 ハルカは、かおるの顔を見て、あきれたという感じで、朝食の準備をすぐに始めた。

 かおるは、重い頭を揺らしながら、いつもの席に座り、テレビをつけて、それをぼうっとした頭で見る。

 テレビでは、将来有望な青年に対しての密着取材の映像が出ていた。なんとなく見ていたかおるだったが、テレビに映っている人物に見覚えがあるのに気が付く。

 

(おいおい、マジか・・・)


 かおるは、しばらくしてやっと、脳が動き始め、テレビに映っているのが、誰か認識する。

 

 青沼だ・・・・。


 テレビで密着を受けていたのは、間違いなく、青沼だった。なんでも少林寺拳法関連の大会での実績などから、取材を受けているようで、現在、将来の夢についての取材を受けている。


「そうですね。将来は、貧しい子供たちのために活動できたらと考えています」


 青沼がさわやかに言う。

 その彼に、もう取材をしている女子アナの顔は、ホノ字である。


「その、青沼選手は、好青年で、学校でも人気なようですが、お付き合いしている人もいるんじゃないですか?」


 かおるは、その質問は、女子アナ個人でも聞きたかった意見だろうなと思った。もしかしたら、アドリブなのかもしれない。


「はは、いや、残念ながら、それは今はいません。好きな人ならいますけどね」


 そういい。青沼は微笑んだ。それがなんともさわやかだ。


「え? それは、誰ですか?」


 おいおい、アナウンサー、マジ驚きじゃないか、とかおるは思った。


「それは、その・・・、後輩ですね」


 青沼は頭をかきながら恥ずかしそうにして言う。


「それは、同じ部活のですか?」


「そこまではいえませんよ」


 そこで、かおるはテレビのチャンネルを変えた。

 なぜなら、ハルカが、キッチンからリビングに戻ってきたからである。

 その行動は無意識のものだった。


「さ、食べましょう。って、どうしたのよ? リモコン握って固まって・・・」


「ん? ストレッチ?」


 ハルカはその言葉に、とうとう頭がおかしくなったのかと、本当にかわいそうな目でかおるを見て、彼の前の席に座り。一人でいただきますをして、食べ始めた。


 かおるも、少しの恥ずかしさを覚えながら、リモコンから、箸に持ち替えて朝食を頂く。


 今日の朝食は、食パンと、スクランブルエッグと、サラダという組み合わせだった。

 かおるは、スクランブルエッグとサラダを、食パンで挟んで、ほおばる。


「うん、うまいな」


「それは、ほとんど素材の味よ。生産者にお礼を言うのね」


 


 その日、2人は一緒に登校することとなった。かおるが珍しく朝起きてきたのもあるし、ハルカが自由な時間が増えたのもある。


 2人が、学校に向かって歩いていると、後ろから、かおるに対しての小言が聞こえてくる。相手はおそらくクラスメイトだ。内容は、どうして井上さんと、青沼先輩とがいい感じなのに、空気を読めないのか、と言ったような内容だった。おそらく、朝のテレビをクラスメイトが見ていたのだろう。あれを見た人間なら、必ず青沼の好きな人というのが、ハルカであると予想できる。あんなものは、所謂公開告白みたいなものだ。

 かおるに対しての言葉が聞こえているのか、いないのか、かおるの隣に歩いているハルカの機嫌は悪くなっていっていた。時折、かおるのクラスメイトを睨む視線を送るが、彼女たちは、かおるを見ているので、それには気が付いていない。


「かおる!」


 そのとき、後ろから声をかけられる。そして、その声は聞き覚えのあるものだ。


「あ、江良さん。おはようございます」


 かおるは足を止めて、あいさつをする。その横で、ハルカも軽く頭を下げた。


「なんか、見んうちに、有名人になったのお」


「え?」


「だって、さっきあの子達がお前の話しとったで、なんやったかな?」


 そういうと、江良さんは、小言を言っていたクラスメイトたちに近づく。


「君ら、なんかいいたいんやったら、直接本人にいったりいや! ほら!」


「え・・・いや、ちょっと・・・」


 江良さんは、それを、他の小言を言ってた人達にもする。それを受けて、彼らは江良さんから急ぎ足で逃げていく。

 江良さんはかおる達の元に戻ってくる。


「なんやろなあ、皆にげてしもたわ」


 そう言うと、江良さんは大声で笑った。

 それにつられてかおるも、軽く笑う。


「じゃあな、かおる」


「え? 学校に行かないんですか?」


「今日はちょっと、用事済ましてから行くねん。まあホームルームには間に合うから大丈夫や。元気でな!」


 江良さんは、颯爽と走っていってしまう。


「なんか、豪快な人ね」


「だな、なんか助けてもらったな」


 かおる達は、江良さんに向かって、一礼した。





「かっこいいねえ」


「だよなあ」


「俺もああなりたい」


「俺も」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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