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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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ずっと一緒に住んでいるのにな件について(仮)


 かおるの目に映る正子は、申し訳なさそうに、かおるを上目遣いで見る。


 かおるは、努のほうを見た。


「結論は、今出さないといけませんか?」


「いや、流石にすぐとはいかないだろう。夏休みに入るまでに結論を出してくれればと、こちらもおもっているよ」


「そうですか・・・」


 かおるは席を立った。


「なら、もう帰ってもいいですか?」


「せっかくきてくれたんだから、少しおもてなしくらいはしたいと思っていたんだが、どうだろう?」


 宮内家のおもてなしを正式に受けてみたい気持ちはあったが、かおるは首を横に振る。


「いえ、帰ります。家にハルカが待っていると思うので・・・」


 では、と。かおるは頭を軽く下げて、扉のほうに向かう。

 

「かおるさん!」


 そのとき、正子の声がかおるに届く。

 かおるは軽く振り返る。


「わたし・・・」


「いいんだよ別に」


 かおるは、今にも泣きそうになっている正子に対して、やさしくそう言う。


「特に気にしてないからさ」


 かおるは、そういい。そのまま扉に手をかけて開けて、その場を出て行く。そのとき、扉の横に立っていた竹市と目があうが、かおるも竹市も特にリアクションはしなかった。


 ガチャン・・・


 かおるの後ろで、扉の閉まる音がする。


 そのとき、あることに気が付く。


(あれ? 俺ってどうやって帰ったらいんだ?)


 宮内家はただでさえ、大きな家だ。その中はかおるにとっては迷路みたいなものである。

 一瞬、戻って、誰かに付いてきてもらおうと思ったが、流石に戻りにくい。


「まあ、なんとかなるか」


 かおるは仕方なく、迷路を進む。


 


  -   -   -   -



「遅かったわね」


 かおるが家に帰ると、リビングには夕食の準備を終えているハルカが待っていた。かおるは急いで、スマホの通知画面を見る。いつも夕食の準備が整ったときにかおるが家にいないとき、ハルカはいつになるのかという確認連絡を寄越してくる。

 だが、今日はそれが来ていなかった。


 時刻は午後七時、昼食にはちょうどな時間だ。もしかしたら、夕食が出来上がったタイミングで、かおるが帰ってきたのもしれない。

 しかし、ハルカは「遅かったわね」といった。ということは待っていたということではないか?


 そんな思考が、かおるの頭の中を一瞬のうちに駆け巡る。


「ハルカこそ、早かったんだな。いつ帰ったんだ?」


「そうね。五時くらいかしら? ちなみに、食事は6時にはできていたわよ」


「え?」


 そういえば、机に置かれているお皿には、サランラップがされていた。つまり、ハルカは、1時間ほどかおるを待っていたことになる。


「そ、そうなんだ。その・・・」


「別に怒ってなんかいないわよ。さ、食べましょう」


「お、おう」


 ハルカの態度がどこかおかしい。なんというか、やさしい。それが、かおるには何か奇妙だった。

 

 ハルカは、お皿を一つずつ電子レンジに運んでいき、温めをする。

 そして、すべての料理が、出来立てほやほやのように湯気を立てて机に並ぶ。


 かおるはハルカの顔をじっと見る。


「何よ? 食べないの?」


「いや、食べるよ。腹減ってるし」


 お腹が減っているのは確かだった。

 あの、宮内家の中でかおるは案の定、迷った。そして、結局、家を出るのに一時間、そこからさらに、自宅に戻ってくるまでに1時間近く掛かってしまい。その間、歩いては走り、歩いては走りを繰り返したので、このおいしそうな食事を見て、箸を進めずにはいられなかった。


「な、なんだよ?」


 そんな、かおるのことを、ハルカはにやにやしながら見ていた。


「別に、なんでもないわ。ただ、おいしそうだなって思ってね」


「そりゃ、おいしいから、食べているわけだろ?」


「へえ?」


「だから、なんだよ?」


「別にぃ」


 ハルカは意地悪な笑顔をかおるに向けてくる。

 かおるは、何か照れくささを感じながら、いつもと違う雰囲気に戸惑っていた。

 ハルカの意図が見えない。


 かおるは、話題を変えようと思い。発言する。


「そういえば、何で、お昼、一週間なしなんだ?」


 発言した瞬間、これはあまり良い話題ではないなと思ったが、仕方がない。かおるは続ける。


「部活も最近行ってないみたいだしさ。まあ、なんだ。話したくなかったらいいんだけど・・・」


 かおるは、ハルカの様子を見る。

 彼女の様子は至って変わらなかった。


「お昼っていうか、その、午後? は用事があるのよ。っていっても一週間だけだけどね。まあ、部活はやめようと思ってるわ」


「ふーん。そっか。怪我でもしたのか?」


 ハルカが部活をやめる発言をしたのは、別に意外ではなかった。あのハルカが、二日間も部活をサボるなんてことはない。つまり、それに近いことなのだろうと、かおるは思っていた。


「あんたと違って、至って健康よ?」


「俺も健康だよ」


「あらそう? じゃあ、その顔は病気じゃないのね?」


 また意地悪な顔だ。


「生まれてこの方、そんな診断は受けてないな」


「それは知らなかったわ。ずっと一緒に住んでるのにね」


「俺だって、ハルカのことを全部知ってるわけじゃないよ」


「じゃあ、私の好きな人って知ってる?」


「・・・唐突だな」


 一瞬、かおるは固まってしまうが、それを悟られないように高速で返す。



「ちなみの、俺の好きな人はね。あれ?・・・誰だっけ?」


「自分の好きな人なのに、忘れたのか?!」


「うーん。失念した」


「信じられん!」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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