碇さんですか?な件について(仮)
午後三時ごろ、かおるは自宅の戻った。
家に入ると、中にはひと気がなかった。
(ハルカはまだ、帰ってないか・・・)
そのとき、ふと脳裏にハルカと、青沼が一緒にいる絵が浮かぶ。
「ふう」
かおるは自室には行かずリビングに向かう。そして、先ほどコンビニで買った昼食を長机の上に置く。
「よっこいしょ」
椅子に座り、テレビのリモコンを使いテレビをつけた。
テレビでは、最近よく見る芸人が、最近の話題のニュースについてコメントをしている場面だった。
それをぼんやりと見ながら、かおるは昼食のパンを口に運んだり、紙パックの飲み物を飲んだりする。
そのとき、制服のズボンのポケットから振動を感じる。
かおるはポケットの中からスマホを取り出した。
「?」
スマホの画面には、良太郎の文字が表示されている。電話だ。
かおるは、画面を指でスワイプする。
そして、スマホを耳にあてた。
「どうしたんだ?」
『今、大丈夫かな?』
「大丈夫だよ」
『よかった。今から、すぐに、宮内家に来れたりしない?』
「別に構わないけど、あの迷路はどうしたらいいんだ?」
『向かいをやるよ。いつものようにね』
向かい・・・、ああ、竹市か・・・。
「わかった。急いだほうがいい?」
『できれば』
「わかった。じゃあ、チャリで行くよ」
かおるは通話を切る。
そして、急いで残ったパンを飲み物で流し込む。
(服装は・・・、まあいいか)
急いでといわれた。別に大丈夫だろう。
かおるは制服のまま、家を出た。
- ー -
「相変わらず大きな家だなあ」
かおるは、宮内家の正門を眺めながら言う。
「それはそうだろう。この土地は宮内家があってこそ成り立っているわけだからな」
「まあ、そうか・・・」
こんな家に何度も足を踏み入れるようになるなんて、つい数ヶ月前のかおるには想像がつかなかったことだ。こんなこともあるんだなとかおるは思った。
かおるは今、自転車をこいではいない。
ここまではこの前と同じく、宮内家の周りに張り巡らされている結界の前で竹市と合流した。そこからは、決まった手順で獣道を進むことによって、宮内家本家にたどり着くことができる。
その際、自転車はその入り口近くの駐車場においてきた。
彼らが通ってきた道は、入れる規模が決まっているものだ。
だから、自動車も結界の外の駐車場に皆停めている。そして、入るときにかおるはその数の多さにビックリしていた。
おそらく、何か重大なことが起きているのだろう。
竹市がインターホンを押して、かおるを連れてきたことを言う。
門が開く。
「行くぞ」
かおると竹市は中に入っていく。
2人は、本家の中を進む。
「あれ? 今回は前とは違うところなのか?」
「ああ、今回は正子様の個人的な呼び出しではなく、宮内家としての呼び出しだからな」
「ふーん」
つまり、公式というわけか。
そして、ある大きな扉の前にたどり着く。その先の光景には予想が付いていた。
竹市がそのドアをノックする。
「稲垣かおるを連れてきました」
「どうぞ」
正子の声で、入室が許される。
ガチャー・・・
重厚感のある音がして、扉が開けられ、かおるは竹市に続いて中に入る。
目の前に飛び込んできた光景は、まるで、かおるがこれから尋問でもされるのではないかというものであった。
ぐるりと一周、楕円形の机に、かおるよりも歳が結構上である人物達が座っており、全員がかおるを見る。その視線には、様々なものがあるが、その中に好意的なものはないように、かおるは感じられた。
部屋は大きく、人も多い。おそらく大事な会議はここでいつも行われているんだろうと、かおるは思った。
「久しぶりだね。稲垣君」
かおるから一番遠い席、机の端にいる人物が言う。
彼とは過去に一度、敵として対峙したことがある。正子の父親で、土地管轄理事代理の宮内 努だ。
「どうも」
かおるは軽く一礼する。
かおるに一番近い場所、努とは逆の机の端に、正子、良太郎が座っていた。竹市は扉の近くで立っている。
おそらく入り口から遠い順に努筆頭に偉い人というわけだろう。つまり、正子達はこの部屋の中で一番低い立場というわけだ。
「まあ、座ってくれたまえ」
努に言われ、目の前の席にかおるは座る。
かおるの一挙手一投足に皆の視線が集まっているのをかおるはビシビシ体に感じていた。
「どうして呼ばれたのか、わかるかね?」
努が、碇 ゲンドウポーズで言う。
「いえ、特には・・・」
「だろうね。説明を頼む」
「わかりました」
努に言われて、彼の後ろに控えていた人物が前に出てくる。そして、それと同時に、努の後ろにスクリーンが下りてきた。
そして、右側にある窓にシャッタが下ろされ、スクリーンの周りが薄暗くなる。
その人物にもかおるは見覚えがあった。少しだけだが・・・。
「稲垣様は、机にあるタブレットを見てください」
そういわれて、かおるは机に設置されているタブレットに目をやる。それはスクリーンの映像とリンクしているようだった。
「現在、我々が暮らしているこの土地ですが、今、その安全が危ぶまれています」
いきなりな言葉であった。
「この作者、碇 ゲンドウ好きだよね」
「そういうお年頃なんだよ」
「ええ、引くわあ」
「やめてあげて!」
小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。