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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第三部 てこ入れ回な件について(仮)
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完璧な男な件について(仮)


 ハルカが遅くに帰ってきたその夜、かおるは右腕の激痛で寝ることはできなかった。


「おはよう・・・」


「おはよう、って、何よあんた。その陰気な顔をさらに陰気にした顔は?!」


 リビングに入って、ハルカからすぐに罵声が飛んでくる。


「いやあ、昨日、パソコンでネットサーフィンしていたら、気が付けば朝になっててさ」


「はあ、あんたは少しはまともになったのかなって思ってたけど、やっぱり最悪だわ。どうして朝から、あんたみたいな人間の顔を見ないといけないのかと思うと、もうやってられないわね」


 かおるはリビングの長机の椅子に座る。


「俺は、そうでもないけどな。むしろ、安心する」


「はあ? 何がよ?」


 かおるは、ハルカのほうを見る。今彼女は、机を挟んだ正面に座って、先に朝食を食べていた。


「ハルカの顔を見ることだよ」


「なっ!」


 ハルカは、席を立ち。かおるの横に回ってくる。


「え?」


 ドコン!


 鈍い音がリビングに響く。

 気が付けば、かおるは、仰向けに倒れていた。


「変なこと言わないでよね!」


 ハルカはリビングから駆け出していき、2階に上がっていく。


(おい、ベルゴ、お前、俺を守ってくれるんじゃなかったのかよ?)


《あれは、愛情の裏返しだろ?》


(そんな、漫画みたいな話あるかよ。少林寺拳法部のエースが、素人相手に全力のパンチかまして来るんだぞ? しかも、いちいち周りこんできて)


《そんなこといいながら、表情がほころんでるぞ》


 かおるの口角はあがっていた。

 別に自分がMだという認識はない。だが、なぜか、彼女に殴られることに安心する自分もいた。


「よっこいしょ」

 

 かおるは起き上がり、倒れた椅子を直して、席に座りなおす。そして、机に残っている朝食を食べ出した。


 そのとき、ふと思う。


(あれ? ハルカが朝いる?)


 今日は土曜日だ。なので、学校は休みである。

 とはいえ、部活道は別である。特に、ハルカが所属している少林寺拳法部はさらに別だ。昨日彼女が言っていたとおり、テストが終わると、その分できなかった分追い込みをかける。

 なので、今日、彼女は七時には学校にむかているはずであった。


(昨日、遅かったのもあるし、休みなのか?)


 だが、昨日遅くなったのは部活以外の原因もあると、かおるは思っていた。


 かおるは、朝食を食べ終わった。


 ピンポーン!


 そのとき、玄関のチャイムが鳴る。

 かおるは、いつもハルカがいるときは、インターホンには出ない。だが、なぜか今回はハルカが上から降りてこなかった。


 ピンポーン!


 もう一度チャイムが鳴る。


 かおるは、インターホンの内部カメラの場所まで向かう。そして、訪問者を見た。


「・・・・・・」


 かおるは、玄関に向かう。

 そして、扉を開けた。


「何でしょうか?」


 かおるがそう問いかけた人物は、かおるを見ると一瞬驚いたという顔をしてから、平静を保った。


「彼女の言葉は本当だったんだね。まったく、驚きだ」


「はあ・・・」


「おっと、すまないね。俺の名前は青沼 正治、男子少林寺拳法部部長だ」


「はあ、まあ知ってますけど」


 青沼、正治は、かおる達の2つ上の高校三年生だ。少林寺拳法部の型で、昨年全国優勝を果たし、団体演舞でも優勝を見事に達成した人物である。

 彼の業績はそれだけではない。その他にも、中学時代には空手で全国ベスト4、柔道で全国大会出場、高校一年生のときには、掛け持ちで所属していた弱小ボクシング部で初のインターハイ出場を果たしている。

 しかも、彼の特筆すべきところはそこだけではなく、勉学もできる文武両道というところである。

 模試ではいつも全国上位10人に名前が載っており、高校卒業後は日本の大学に行かず。海外の大学を視野に入れていて、今年、将来はこの世の中から貧困の子供をなくしたいという作文が、文部科学大臣賞を獲得したと学校で表彰されていた。


 そんな彼を、いくら教室の隅、(最近では中心となりつつあるが)にいるかおるといえども知らないはずはない。


「そうか、なら話は早い。ここは君だけじゃなくて、ハルカ君の家でもあるんだよね?」


「はあ、まあそうですね」


 かおるの態度は横柄なものだった。だが、正治は特に気にしていない様子である。


「彼女を呼んでくれないかな?」


「どうしてですか?」


「君には関係がないことだよ?」


「そうですか。ちょっと、待っててください」


 そう言って、かおるはドアを閉めた。


「ふー」


 かおるは大きなため息をひとつ漏らす。

 目的はハルカか・・・・。


 かおるは2階に向かう。そして、ハルカの扉をノックした。


「ハルカ」


「何?」


 ハルカはドアをゆっくりと開いた。その表情は少し悲しそうな感じであった。


「男子少林寺拳法部の部長が来てる」


「そう・・・」


 ハルカは短くそういうと、部屋から出てきた。そして、玄関へと向かう。


「あんたは、来なくてもいいわ」


 かおるは、彼女の後に続こうとしてそういわれる。


「そうか。気をつけろよ」


「相手は、あの青沼部長よ。変なことはしてこないわよ」


 ハルカはそういい、微笑んでから、下に下りていった。


 かおるは、階段の上から、2人の会話を聞く。


「すまないね。こんなところまできてしまって」


「いえ、私も悪かったですから、あの、ここじゃあれなんで、外でもいいですか?」


「ああ、そうだね」


 バタン・・・


 扉が閉まる。

「かおるに勝ち目はない!」


「おい!」


「でもそれが真実でしょ?」


「まあ、その通りだけど・・・・」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。


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