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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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どこで間違えたのかな件について(仮)


「はあ、もういいよ」


 かおるは、敏夫をその場に投げ捨てる。


「もう、トシコに手は出すなよ。そう誓うなら、俺ももう篠原家には手を出さない。それと、昭美さんも自由にしろ。もう篠原家から解放しろ」


 かおるは、敏夫を見据える。

 正直、忍の問題をかおるは解決したい気はある。だが、それをできるだけの余裕がかおるにあるわけではないし、敏夫も変わるタイプではないだろう。それなら身近な人間を救うことだけをする。

 歯がゆい気持ちはあったが、かおるはそれを耐えていた。


「く・・・いいだろう。もうその2人は篠原家とは関わりのない人間だ。だが! 必ず将来、お前達は忍の世界に戻って来ざる終えなくなる。ふはははははははは!」


 静かな森林に、敏夫の叫び声が響き渡る。


 かおるはトシコに元に行く。


「ごめん。あんまり上手くはできなかったみたいだ」


「いや、かおるは十分やってくれたよ。父上のことはあれだが、仕方がない・・・」


 トシコの表情は、悲しいとも、むなしいともいえないものだった。複雑な感情が混ざり合っているのだろう。



  -   -   -   -   -


 目の前には、怪物がいる。一旦ここは退散して、後でさらに軍備を整えて、再度攻撃してやる!

 敏夫は目の前にいる稲垣 かおると、自らの娘、篠原 トシコを見ながら思った。

 彼は、今回のことで少しも反省などしてはいなかった。むしろ、これから、もっと篠原家の力拡大に向けて精進しようと考えているほどであった。


 敏夫はその場に立ち上がる。

 これから、忙しくなるな。だが、阿久津家との婚約の件はどうにかしないといけない。まあ、今、後ろで伸びている典夫をどうにかすれば可能か・・・・。


 ぶす・・・・。


 そのとき、敏夫の背中に人の体重が乗りかかってくる。

 典夫は、ゆっくりと後ろを見る。 

 そこには、右手にクナイを持った典夫が、その顔を憎悪に染めて敏夫に寄りかかっていた。


「典夫・・・くん・・?」


「阿久津家は、僕が守る・・・」


 敏夫は、そこでやっと典夫の持っているクナイが、自分の腰に刺さっているのを認識する。認識した途端、下半身の力が抜けて、敏夫はその場い崩れ落ちる。


「父上!」


 敏夫の耳に、娘の声がする。

 崩れ落ちた敏夫の体に、典夫は容赦なく、その憎悪をぶつけてきた。それにより敏夫の体は何度も跳ねる。


「くそ!」


 しばらくして、典夫は、その場から吹き飛んだ。おそらく、漆黒の力を持っている、かおるがやったのだろう。


「あなた!!」




 気が付けば、目の前には、トシコではなく。妻の昭美がいた。

 ああ、愛しい昭美。

 俺達が出会ったとき、篠原家は本当に小さな一族だった。だが、昭美の一族はもっと小さかった。その一族を手中に収めるため、俺は父の命令を受けて、昭美との婚約をした。

 だが、俺はそれはラッキーだと思った。

 俺は昭美を見た瞬間、恋に落ちた。所謂一目ぼれというやつだ。それからは、家のことなど関係なしに、彼女との仲を深めていった。

 そして結婚した。

 だが、父はそれをいいことに、彼女の一族を奴隷のようにして扱った。父は裏で、昭美の一族を手中に収める動きをしていたのだ。

 俺は、そこで初めて父に逆らった。

 俺は忍の制度に反対だった。

 そこで、俺は初めて身内を手にかけた。これは誰も知らないことだ。昭美も知らない。

 それから、俺は篠原家の人間と昭美の家を守ることに、扮そうした。

 だが、最初は、忍の制度に捉われず。様々なやり方でやった。いろいろな忍の一族と提携したり、相手を手中に収めるのではなく。同盟関係を築いたり、その他いろいろと・・・。

 しかし、それがすべて上手くいくわけではない。

 元来、忍の世界は排他的で、他の価値観を入れない世界だ。だから、俺の考えはなかなか理解されなかった。

 そんなとき、子供が生まれた。

 そして、ある一族から攻撃を受けた。

 俺は、子供を守るために一生懸命になった。

 そして気が付いた。やはり力がなければ、愛する者は守ることができない。

 そして、俺は変わった。

 トシコが生まれる頃には、その考えが強力になっていった。

 だが、そんな俺を妻は否定した。

 だから、俺は妻を縛り付けた。

 妻は俺の愛する人間だ。

 そして、子供もそうだ。

 

 だが、今にして思えば、俺はもっと周りを見るべきだったのだろう。俺が凝り固まった考え方になってから忍の世界は変化をし始めた。今では、篠原家と阿久津家くらいが、凝り固まった考えをしている。

 もう、そんな時代ではなくなっていたのだ。

 俺の中の家族を失う恐怖が、いつのまにか、家族を傷つけることになってしまった。

 盲目になり、ただ力を求めたしまった。

 それが、偽者に力だとは気が付かずに・・・・。

 

 ああ、やり直せるなら、やり直したい。

 俺はただ、何事もなく素直に、家族に愛を伝えたかっただけなんだ。


 もう、だめだな。体が冷たくなってきた。

 妻と、娘の泣き声が聞こえる。


 泣くな。

 

 俺は死んで当然の人間だ。

 お前達は、これから自由に生きていくんだ。


 最後にこれだけは言わせてくれ・・・・


「あ・・い・・・して・・・る」



 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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