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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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弱肉強食である件について(仮)


「ふふ、意外に素直なのね」


「礼を言わないといけないところはしっかりしないとな」


「ちょっと待て!」


 そのとき、かおるの右側から、叫び声がする。そこにいるのは、トシコの見合い相手の、阿久津 典夫だ。


「そんな副作用があったなら、どうして僕に教えてくれなかったんですか? それに、その計画についてもまったく教えてくれなかったのはなぜですか?!」


「そんなことか・・・」


 敏夫は、典夫に対して、呆れ顔を向ける。


「俺が、君の、いや、君の家阿久津家の思惑について気が付かないわけがないだろう? 君達の思惑なんて最初から知っていたさ」


「なん・・だって」


 典夫の表情は一気に暗いものになる。


「だから、君にも丸薬を飲ませたんだ。といっても、あれは君が自ら飲んだものだけどね」


 敏夫が木から下りてくる。そして、昭美の横に立つ。


「それと、君には礼を言ったほうがいいのかな? 先ほど、彼にそうしたほうがいいと習ったからね」


「礼?」


 典夫が聞く。


「君が、義信を手にかけてくれて助かったよ。あいつは、この作戦には反対だったからね」


「・・・すべて、あなたの思惑の中だったと?」


「いや、そこまでのものではないよ。ただ、君はよく泳いでくれた」


 敏夫はいやらしい笑顔を典夫に向ける。


「そんな・・・・」


 典夫の表情は絶望に変わっていた。


「さあ、もう終わったことはいい。これからの話をしようか、かおる君」


「これからの話?」


「ああ、俺達はね。これから、あの阿久津家の人間を使って、阿久津家を手中に収めるつもりだ」


「・・・・・」


「それで、君には忍の世界に来ないかとスカウトをしようと思ってね」


「スカウト?」


「ああ、最初は君のことをただの敵としてしか認識をしていなかったけど、ここまでの戦闘を見て考え方を改めた。君の力があれば、忍の世界の頂点を取れる。君も気が付いていると思うが、忍は単純な力では、君のような強大な力を持つ人物には勝てない。それは、他の家とて同じ。いい話じゃないか? 君は忍の世界で王になれる」


 敏夫は意気揚々と話す。


「ふん。王になるのは、俺じゃなくて、あんただろう? 上手いこと言うと俺がだまされるとでも思ったか?」


「つまり、提案には乗らないと?」


「ああ」


「残念だ。できればトシコの友達は殺したくはなかったんだがな・・・」


 敏夫が、かおるに近づいてくる。


「せめて、俺の手で殺してやろう」


 今、かおるはバリアもなくなっている。なので、今はただの人間。つまり、刺されれば死ぬ。


「!!」


 そのとき、かおると、敏夫の間に昭美が入る。


「どうした? 昭美」


「俺は母上じゃねえよ。父上・・・」


 トシコの怒気が強い。


「なんだと? 昭美がお前に負けたのか?」


「そうじゃねえよ。母上から、全部聞いた」


 トシコは真剣な顔だ。


「俺の見ていた2人の不仲は本当だった。だけど、結末が違った。父上は俺達子供を人質に、母上を篠原家に縛りつけていた。そして、母上には、隠密の任務を与え、小さな忍の一族を手中に入れていった。そして、今回だ。阿久津家から、俺との見合いの話が来た。そこで俺を家に取り戻すために母上を使ったわけだろう。しかも、今回は兄上まで直接ではないにしろ手にかけた」


「だから、なんだというんだ? それが昭美がお前に体を預けた理由にはならない」


「何もわかってない! 母上の精神はもうぼろぼろだ! だから、俺が出てきた!」


「なんだ。ただの弱虫だっただけか」


「く!」


 トシコは今にでも襲い掛からん勢いだ。


「お前達が、俺の前に立つというなら容赦はしないぞ」


 敏夫がトシコに近づく。


「一つ聞いていいか?」


 そのとき、かおるが尋ねる。それで、敏夫の足が止まる。


「なんだね?」


「俺が最初、あんたに会ったときの印象は、娘を溺愛する父親っていうものだったわけだけど、あれは嘘なのか?」


「嘘ではない。俺はトシコの幸せをもちろん望んでいる。だが、俺は篠原家の当主だ。家族のことばかり考えることはできない。一族の幸せのために、家族を切り捨てることも大切だ。そもそも、篠原家の本家に属する人間は、自らの我など通してはいけない。大きな幸せのためには、小さな幸せを捨てなければいけないときもあるわけだ」


「つまり、篠原家の忍が幸せになるなら、他の忍が不幸になるのは仕方がないということか?」


「ああ、この世は弱肉強食だ。それは仕方がないことだろう。大なり小なり、世界はそういう社会を許容しているではないか? 別段忍の世界だけの話ではない。大きな会社は小さな会社を買収するし、学校にはスクールカーストが存在する。美男美女が幸せになるし、どうしても天才には凡人は勝てない。それが社会だ。それが、忍の世界でも起きている。ただそれだけだ。そうでないとは言い切れないだろう?」


 敏夫の言うことは正しいのだろう。だが・・・・


「確かにその通りなのかもな。正直、難しいことはわからないけど、そういう雰囲気を感じないわけじゃない。でもそれを否定して生きるのも、また自由だろ?」


「ああ、だが、もしここで、俺を止めたとしても、それは俺が弱かったというだけで、それもまた、弱肉強食の内にあるものだ。否定したとはいえない」


「そうだとしても、俺はそれが正しいとは言わない」


 かおるは、その場に立つ。

「いよいよ、最終ラウンドかい?」


「かもな」


「かおるはどうやって戦うんだい?」


「それはお楽しみだ」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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