言葉にはいろいろな捕らえ方がある件について(仮)
異様な空気感がリビングに漂う。リビングにはかおる、ハルカ、宮内がいて。かおるの前に宮内がいて、かおるの隣にハルカが座っていた。普段ならハルカは隣ではなく、今の宮内の席にいつも座っているのだが、今日はお客さん仕様の席順である。
「こんな豪華な料理、私が一緒にいただいてもいいんですか?」
「いいのよ。それにぜんぜん豪華なんかじゃないわ。宮内さんの家のほうが、もっと豪華な料理でてくるでしょ?」
宮内の中二病モードは解除されているようだった。それにしてもハルカが怖い。
「確かに、食材とはを考えれば、私の家に出てくるもののほうが値段が高く、高価なのかもしれないですけど、私はこちらのほうが、豪華だと思います。」
「あら、宮内さんにそんなこと言われると、少しは自信をもってもいいのかしら。」
かおるは、会話に入るかどうか考える。でも、一見雰囲気がよくないように見えるが、内容は宮内がハルカの料理をほめているわけだから、悪くはないだろう。そう思い。かおるは話に入る。
「宮内さんの家のことハルカは知ってるのか?」
そのとき、ハルカの顔が一瞬固まった。
「知らないの?」
「何を?」
かおるは何のことはさっぱりわかっていない。
「宮内家と言えば、この辺じゃ有名な資産家一族よ。たまに、テレビで出ている宮内っていう女性アナウンサーいるでしょ? あの人は目の前にいる宮内さんのお姉さんだし。私がよく来ている服とかも、横文字のMIYAUCHIブランドのものよ。あんた、そんなことも知らないで宮内さんと話してたの!?」
かおるはハルカに捲くし立てられる。そんなにすごい家の人間だとは知らなかった。だが、普段の話方から、その雰囲気は出ていたでの、まあ、そんなものかとは思う。
「本当にごめんなさいね。内の馬鹿が。」
ハルカがあきれたという顔をして、宮内に謝る。
「いえ、私は別にお家のことはあまり持ち出したくはないので、かおるさんのような方は私の中では好印象な部類に入りますよ。」
宮内がにっこりと微笑んだ。これは営業スマイルなのか、それとも本心から出る笑顔なのかどっちなのだろう。相手がお金持ちの家の人間だと思うと、いらない思考が働くなとかおるは思った。
「で、宮内さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。いいかな?」
ハルカが3人が一通りご飯を食べ終わって、食器を片付けたとき、改まって宮内に聞く。
「なんでしょうか? いいですよ。」
かおるは何を言い出すのか心配になる。ハルカにかぎって変なことは言わないだろうが不安だ。
「昨日、この馬鹿に話しかけたって本当だよね?」
「ええ、そうですよ。」
かおるはさらに不安になる。
「そのとき、告白したって本当? それで、今日も内に来たってことなの?」
かおるの顔が青ざめる。まさか、ハルカがこんなことを面と向かって聞くなんて、驚きだ。昨日の俺のがんばりはなんだったというのか。
宮内はそれに、特に表情を変えることなく答える。
「いえ、告白は今日しようと思っていました。」
「えええええ!!!!」
かおるは、あまりの驚きのことで、叫んでしまった。と同時にハルカの方を見る。
「・・・・・・。」
固まっていた。ハルカも予想外のことだったに違いない。こんなにも堂々と言うなんて、流石、お金持ちは怖いとかおるは思った。
しかし、ハルカが放心してしまっているので、かおるは会話を引き継ぐことにする。なにせ、かおるは当事者になるわけだ。
「あの? 告白って、あの告白?」
「流石、かおるさんで、告白といっただけで、わかりますか。今日は私だけでなく。あの二人もかおるさんに、ちゃんと告白する気だったのです。」
「へ?」
なんだ、急にモテキでもやってきたのかやはり、あのとき感じたものは勘違いではなかったのか!
そのとき、かおるはハルカが心配になった。告白という一言だけでもあのダメージである。
かおるがハルカを見る。そこにはまるでここ数分で何歳年ととってしまったのだろうと思うほどのハルカがいた。そしてつぶやいている。
「さ・・ん・・に・・ん・・・。」
かおるは思う。よかった。足し算をする能力はまだ残っている。でも、完全に崩壊寸前だ。
でも、何かおかしな感じではある。かおるは宮内に向き直って、再度聞く。
「あの、告白だよね? ここでは、できないものだよね?」
「そうですね。ハルカさんが、こちら側でないかぎり、しないほうがいいかと、なにかと迷惑がかかるかもしれないですから。」
(ん? 何か変だな。)
そのとき、ハルカが急に立ち上がった。
「いいのよ! 私は自分の部屋に行っているから!・・・。好きに何回でも告白でもなんでもして!」
そういうと、ハルカは呆然と歩いて、リビングを出て行った。
それを見て宮内が言う。
「流石ですね。」
「え? 何が?」
「私たちの状況をみて、自分はいてはいけないと判断して出て行かれるとは、流石、漆黒の力を持ちしものと同居しているだけはあるなと、ただの人間ではないなと思いました。あなたが彼女を選んでいる理由をここで垣間見たと思いました。」
この子の目はどうなっているのだろうか? かおるは素直にそう思う。あの状況をみて、心配するわけではなく、感心しるとは、やはり馬鹿の子なのだろうか?
そのほかにもいくつか突っ込みたいことはあったが、それは今は後回しだ。そう思い。かおるは本題に入る。
「告白ってやつをしてもらえるかな?」
おそらく、先ほどまで自分たちが思っていたものではない。それは、さっきの会話で感じた。でも、かおるはもしかしたらという期待は捨てきれていなかった。
「わかりました。もうわかっていると思いますが、一様最初から言おうと思います。」
そういうと宮内は一度深呼吸した。その緊張感がかおるの期待感をさらに上げる。
「私たちの能力についてです。」
かおるは、それを聞いて、うん。そういう落ちだと思っていました。と心の中で一人つっこんでいた。
と同時に、神様にささやかな感謝もしていた。
(一時の夢をありがとう。)