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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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対象的な涙な件(仮)


「ってなことがあって、なんとか街に下りてから、みんなのところに直行したんだ」


 かおるは、夜中に経験したことを一通り説明し終えた。


「でも、どうやって、アリスとわたし達が戦闘を開始していた場所まで辿りついたんですか?」


「それが、俺にもよくわからないんだ。とりあえずトシコに着いていってたらいつのまにか着いてたって感じかな・・・、だから、そのことも含めてトシコに聞きたかったんだけど、まだ眠っているみたいだからな」


「そうですか。それでその・・・、トシコのことを名前で呼ぶなら・・・」


 正子が、少し頬を赤らめながら口ごもる。


「ん?」


「あ! いえ、なんでもありません」


 かおるは、うつむく正子から、視線を横に移す。


「あの、近くない?」


「そんなことはないですわよ」


「いや、そんなことあるだろう」


 かおるの左横には、孝子が座っているわけだが、明らかに距離が近く、今にも肩が触れ合いそうになる。

 

「え!?」


 すると、気が付くと右横には正子が座っていた。今まで正面に座っていたはずだが・・・


「あの? どうしたんだ?」


「いえ、その・・・、わたしのほうが先に助けていただいたので・・・」


(どういうことだ?)


「そ、そう・・・」


「罪な男だよねえ」


「まったく、なんでこんな男を・・・」


 良太郎がにやにやといい。竹市が呆れ顔で言う。

 何か、自分が中心にいる気がしないわけではないが、まあ、いいかと、かおるは思い。話題を戻す。


「だから、とりあえず。トシコの身をできるだけ安全なところにしておいて欲しいんだ。まだ、トシコの件は片付いてないし、相手は忍だ。隠れるのは上手いだろうからな」


 かおるが、真剣な表情になる。


「そうだね。この氏宮病院に侵入は結界が張ってあるから無理だろうって言う驕りも捨てたほうが良さそうだ。単純な火力なら、かおるがいるから大丈夫だろうけど、おそらく、一度戦っているから真っ向からは勝負を仕掛けてこないか、そもそも、かおると戦わないようにするかもしれない。・・・とりあえず。俺が彼女を警護するよ。この中じゃ一番弱いけど、一番ダメージがないからね」


「それなら、俺も行こう」


 竹市が言う。


「でも、君も大分消耗したはずだよ?」


「いや、この3人に比べれば、俺も、もう傷は大丈夫だ。それに、今回はあまり役に立たなかったからな。少しでも動けるならそうしたい」


「わかった。じゃ、俺達は行くね。3人はとりあえず休憩しておいて」


 良太郎と、竹市は部屋を出て行った。


 


 2人が出て行って、数分したとき、部屋の扉がノックされる。


「はい!」


 それに正子が答える。


「失礼するわ」


「「「!!」」」


 扉がガラガラと音が鳴って、ある人物が入ってくる。その人物に3人とも驚いた。


「そんなビックリした顔をしないでよね。別に同じ病院に入院しているんだから、会いにきてもいいじゃない」


 その人物が、かおるの目の前に座る。


「いや、まだ目が覚めないと思っていたからな。もう体はいいのか?」


「ええ、大丈夫よ。少し体がだるい感じはあるけれど、話すくらいなら大丈夫よ。あなたも無事でなりよりだわ」


 その言葉をかおるに向けて言ったあと、その人物は孝子を見る。


「あなたも・・・本当によかった・・・」


「お姉ちゃん・・・」


 そう呼ばれて、アリスは目に涙を浮かべる。

 孝子が、立ち上がり、アリスの傍により、アリスの抱擁する。


「たくさん迷惑をかけてごめんなさいですわ。本当に無事でよかったああああ」


「そんなことないのよ。あなたが無事なら、これまでの苦労すべてが報われたもの」


 2人は抱き合い、一方は大泣きをし、一方は和やかな顔をしながら涙をこぼしている。


 かおるは、正子を見る。すると彼女もかおるを見て、2人でその光景を見て微笑む。


  -   -   -   -


「ごめんなさい。見苦しいところを見せたわ」


「見苦しくなんかないさ。美しい光景だったよ」


「やめてよね」


 今、部屋には、かおるとアリスの2人だけだ。

 正子と孝子は、検査の時間になり、先ほど部屋を出て行った。孝子は、先ほどの大泣きで目がはれているので、向こうで何か言われるかもしれないなと、かおるは思った。


 アリスは先ほど、かおると、正子に謝罪をした。事情が事情だったとはいえ、ひどいことをしてしまったと。

 だが、かおると正子は、気にしていないと、すぐに許した。孝子が無事であり、アリスが無事ならいいと。


「それで、アリスはこれからどうするんだ?」


「そうね。私は行くところもないし、しばらくはここにいるかしらね」


「別にずっと、この土地でいればいいんじゃないのか? 川瀬さんもそのほうが喜ぶだろうし」


「そうね。それもいいかもね」


 そういうとアリスはにっこり微笑んだ。

 

 今のアリスに、つい数時間前までの凄みはない。だが、今のアリスのほうが、かおるは好ましいと思った。彼女の歳相応の本来の姿が・・・


「そういえば、あの忍者の子、狙われてるみたいね。あ! 勘違いしないでね。あの子が攫われたのを知っていたから、そうかなと思っただけだから」


 かおるは、別にアリスがこれから何か企んでいないと確信しているので、勘違いなどしないのだが、まあ、仕方のない反応か・・・。


「ああ、忍、いや異能力の世界じゃ、いろいろと大変なことが多いみたいだな」


「かおる君」


 アリスが真剣な表情になる。


「素敵な展開だね」


「ああ、心から良かったと思う」


「そして、君は罪な人間だね」


「・・・・・・」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。

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