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いきなり漆黒の力手に入れちゃった件について(仮)  作者: 漆黒の鎧
第二部 成長が必要なのかどうなのかという件について(仮)
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格好の悪い男な件について(仮)


「何言ってるんだ。お前は漆黒の力を持ってるんだぞ。こんな崖楽勝だって」


「いやいや、これは関係ないだろ!」


「もう! 早くしないと父上が来ちまう! 行くぞ!」


「ちょ!?」


 トシコはかおるの手を引っ張って、崖がら飛び降りる。


「うおおおおおおおおおおおおおお!」


 かおるの目からは涙が下ではなく上に流れていく。


 これは、どんな絶叫マシーンよりも怖い。そりゃそうだ。だって、本気で死ぬかもしれないから・・・



  -   -   -   -   -


「父上! トシコが逃げました!」


「何!?」


 トシコの父親、敏夫としおの元に、トシコの兄であり、篠原家次期当主、篠原 義信よしのぶが急いで来る。

 彼は2人が捕らえられていた場所の監視を行っていた。


「どうやってあの鎖を・・・、いや、そんなことはいい。トシコはどこに行った?」


「崖に飛び込んでいきました。今、勇次が追いかけています。ですが、トシコは俺達が知っているときよりも大分力を増しているので、勇次ではまかれてしまうかと・・・」


「そうだな。勇次も、まだ数えで14・・・、よし、俺が出よう」


 敏夫は、横に座っている人物を見る。


「そういうことなんだ。すまない、少しお待ちいただいてもいいかな? 典夫君」


 典夫と呼ばれた人物、彼のフルネームは、阿久津 典夫。

 トシコと見合いをする予定であった人物だ。


「そういうことなら、僕も行きましょう、未来の花嫁ですからね。迎えに行くというのも粋ですよ」


 典夫はそういうと、笑顔で立ち上がった。


「君が居てくれると、安心だな。何せあの阿久津家の次期当主で、忍界でも、すでにトップクラスの力を持っているんだから」


「しかし父上! 相手には、あの漆黒の力を扱う者がいるのですよ。いくら典夫殿がいるとしても、何か策を練ったほうがいいのでは?」


「ああ、あの、お前が利用価値があるかもしれないと連れてきたやつか、だが、あのかおるというのと対峙してみたが、しょうもない男だったぞ」


「しかし・・・」


 義信が煮え切らない表情をする。


「まあ、安心しろ。阿久津君がいれば、漆黒の力なんて屁だ。な!」


 敏夫が典夫の肩をポンと叩く。


「ええ、任せてください」


「さ! それでは、2人で行ってくる。義信、後は任せたぞ」


「わかりました」


 敏夫が颯爽と典夫とその場を出る。

 それを、不安そうに義信が見送る。



  -   -   -   -   -


「があ、があ、があ、があ」


「いやあ、いい気持ちだったな!」


 腰に手を当てて、背をピンと伸ばしてトシコが言う。


 怖かった・・・

 今回のダイビングで思ったことはそれだけだ。


 トシコは崖の下の地面が見えた頃に、どこからか風呂敷を取り出して、それをパラシュート代わりにし風の抵抗を受けて落下速度を落とすことによって、着地するという。なんとも忍らしいやり方だったのに対し、かおるは、地面まだ後、二メートルという距離になっても何もできず。最終的にベルフェゴールが黒炎でクッションを作ってくれて、それで着地するというなんとも格好の悪いものだった。


 そして、現在かおるは、地面にひざを着き、手を付き、自分の命があることに心から神様に感謝をしていた。


(サ・・・サンキュー、ベルゴ・・・)


《構わん・・・、ここでお前に死なれても面倒だからな》


(はは、流石だぜ・・・)


 かおるは、なんとか息を整える。


「ふー」


 着地から数十秒経って、やっとかおるの息が整う。


「それで、篠原、これからどこに向かうんだ?」


「そうだな。まずはここがどこなのか、詳しく知りたいところだけど、俺の予想だと西にいるわけだ。ってことは東に向かえば、どこか知っている場所に出るだろう」


 そういうと、トシコは胸から方位磁石を取り出した。


「こっちだな」


「え?」


 トシコがいきなり走り出す。かおるもあわてて後を追う。


「それ正確なのか?」


 かおるは獣道を走っていくトシコに必死についていきながら聞く。獣道でかおるに当たる木の枝などは、かおるが張っているバリアで防がれるので、彼に傷は付かない。


「これは、特殊なやつで、どこでも正確に北を示してくれるんだ。安心してくれ」


「それと、もう少しペース落とせないか? ちょっときつい」


 かおるは、普段運動しない帰宅部で、しかも休みの日はゲームをしているというインドア派だ。漆黒の力を手に入れてから、体力がなぜか上がったが、それも忍であるトシコに比べれば、素人に毛が生えた程度のものだ。流石にきつかった。


「匂いから、後少しで川にたどり着くと思うから我慢してくれ」


「わ、わかった」


 トシコは後少しだといったが、それから、結構な時間が経ってから川にたどり着いた。


 かおるは、すぐに川の水を飲む。

 かおるが水を飲んでいる間、トシコは周りを見渡していた。


「はあ、はあ、どうかしたの?」


「いや、少し誰かに見られてるような気がしたんだ」


「誰かに付けられてるってこと?」


「いや、もう視線は消えた。もしかしたら、たまたま俺達を見つけた他の忍かもしれない」


「そっか。よし、俺はもう大丈夫だ」


 かおるは伸びをする。 

「ナイスダイビングだね!」


「マジで死ぬかと思った・・・」


「またまたあ」


「いや、マジで、どんな戦いよりも怖かった・・・」


 小説の中身で気になることがありましたら、感想でもなんでもお尋ねください。書けていない裏設定など、そこで説明したいと思います。

 お読みいただきありがとうございました。


 二十四日まで、感想のご返事が遅れるかもしれません。申し訳ありません。

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